古民家
私達夫婦は、静かな場所に住みたいと山奥に忘れられた誰も住んでいない村へと来た
ある夜、家の周りに人が歩くような音がした
「ねぇ、誰か居るんじゃない? 泥棒かしら? 見てきてくれない?」
「泥棒なんて放っておけよ。別に取られるようなものも置いてないし。それに、泥棒じゃなくて肝試しか何かしにきた若者だろ」
「やだ。撮影とかされていたらどうしましょう。お化粧もしてないのに」
「それこそ、無意味だろ」
「なんですって!」
私が夫に突っかかる時、部屋のものを何か倒してしまった。外に居た何者かが、その音に気が付いた様で、私の家に足音が向かってきた
「おい、こっちの方から何か音がしなかったか?」
「したした。誰も居ないはずなんだけど……」
「ねぇちょっと、家に来ちゃったわよ。ちゃんと見てきてよ」
「分かったよ……」
夫が玄関の方へ向かう。ちょうど、玄関のドアが開く音がした
「ぎゃー、でたー!」
2人の若者は、夫の姿を見て逃げていった
「やっぱり、肝試しの若者だったよ」
「せっかく静かなところを選んで住んだのに……。また、移動かしら」
「はははっ、地縛霊になった俺たちが移動できるもんか」




