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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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ささやき声

最近、何かをしようとした時に、ささやき声が聞こえる


「おい、今日はこっちから帰れ、そっちは通行止めだ」


最初に聞こえたのはこんな声だった。子供のかすれたような声で、耳元でささやかれた


振り向いたけど、誰も居ない


気のせいかと思っていつも通りの道へ帰ると、通行止めだった


あとでニュースでやっていたが、事故があってガソリンが漏れ出したため、封鎖していたらしい


次にささやかれたのは、学校で掃除をしていた時だ


「今日は西の階段を使うな」


西の階段に何かあったかな? そう思っていたが、掃除をしているうちに忘れていた


最後にゴミ捨てをしに階段へ行った時だ


ささやきがあったことを忘れて、ゴミ捨て場に近い西階段を通ろうとした時だ


走って階段を降りようとした男子学生が、階段で足を滑らせた


誰かがワックスをこぼしたらしく、滑りやすくなっていたらしい


男子学生は、左手首のねん挫と、肩の打撲でしばらく通院するほどの怪我を負っていた


この声は、幸運を運ぶ声だと思い、喜んだ


それからも何度か危機を回避した


今もささやき声があった。「早く帰れって?」


「おい、お前、何を付けているんだ?」


体育の教師に後ろから呼び止められた


そして、俺の耳に手をかがすと、何かをつまんだ


その手には、ハエのような小さな生き物がつままれていた


体育の教師はそれをティッシュでつぶした


それ以来、ささやき声は聞こえなくなった

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