おぎゃー
私はトイレで産まれた
父親は誰か知らない
母親も誰か知らない
産まれてすぐに捨てられたからだ
しかし、運よく生きたまま発見された私は施設で育てられた
生き延びる事が出来た
そのせいなのかは分からないけれど、トイレで赤ん坊の泣き声を聞くことがある
「君も、捨てられたの……?」
そう話しかけると、ピタリと泣き声が止む
そして、私の背中が重くなる
重くなると言っても、産まれたばかりの赤ん坊だ
だから、私が体重測定をすると測った人が首をかしげる
見た目よりも体重が重いからだ
どう見てもすらりとした体型の私を見て、想像よりも20kg重かったら不思議だろう
「私、こう見えても筋肉が多いんですよ」
そう言ってごまかしている
嘘だと思っても、体重計の数値が変わるわけじゃ無いから、ほとんどの人は納得してくれる
しかし、一人だけ納得しない人が居た
「あなた、背負いすぎよ。背負ってあげるよりも、成仏させてあげたら?」
そう言って、お祓いをすすめられた事があった
しかし私は、無理やりお祓いをしたく無いと思っていた
母親の愛に飢えている赤ん坊
満足したら勝手に成仏していってくれる
そんな私だけど、一人だけお祓いしてもらった事がある
「おぎゃー、おぎゃーって言うから、赤ん坊かと思ったらおじいちゃんだったんだもの。さすがに背負いきれないわ」




