体温計
入り口で検温をしている
感染症が広がってから、人が来る場所では消毒と検温が当たり前になってきた
「なあ、あれって体表の温度を測るだけの機械じゃね?」
「ああ、みてーだな。それじゃあ全く意味ないな」
お店の人もそれが分かっているのか、真夏に並んでいた人に機械を向けるが、たまに出る37.5度にも気にせず店内へ入れていた
「何度になったら引き留められるんだよw」
「だなw じゃあ、おでここすって40度目指すか?w」
なんてやり取りをしていた
すると、俺達のうしろにいつの間にか女の人が立っていた。いつのまに居たんだ?
友人は有言実行と、体温を測る前におでこをごしごしとこすっていたが、普通に36.7度だった
「無駄な努力だったなw」
「うるせぇよw」
測った体温は、横のモニターに表示されるのですぐにわかる
次に俺の後ろに立っていた女性が測られる
俺はなんとなく気になって見ていた
すると「35.2度」だった
「は?」
「どうした?」
「あの女性……」
友達に「体温低いぞ」と、そう言おうとした時、女性がこちらを睨んできた
その目は濁っていて、まるでゾンビのようだった
俺は怖くなって足早に人の多い店内へ入っていった
それから、店内でその女性を見かける事は無かったが、時々後ろが気になった




