MMORPGで
俺たち4人は、仲が良かった
大学のサークルで知り合った俺たちは、仮に俺、コウ、サヨ、ウミと呼ぶ事にする
俺とウミが付き合って、続くようにコウとサヨが付き合っていた
俺たちの楽しみは、皆で一緒にMMORPGをすることだった
俺はシルダー、コウはバーサーカー、サヨはソーサラーでウミはヒーラーだった
俺がウミを守り、コウとサヨがスキルで攻撃しまくるプレイスタイルだ
バランスも良い俺たちのPTは、結構強かった
休日のたびに、皆で夜遅くまでプレイしたり、チャットで雑談したりして過ごした
そんな俺たちの仲は、ウミが交通事故で死ぬまで続いた
いつも通り、俺の家でゲームをするために向かっていたら、よそ見運転の車に轢かれたらしい
ウミの49日も終わり、なんだか気が抜けた日が続いた
その後、皆で遊ぶことが減り、MMORPGもヒーラーを野良で入れる気にもならず、自然消滅していった
忘れたころに、MMORPGから大型アップデートの通知が来た
アップデートで、ログインしていないフレンドから一人だけ、AIが代わりにキャラを操ってくれるらしい
俺は久しぶりにコウとサヨをゲームに誘った
俺はフレンドリストからウミを選ぶと、久しぶりにウミのヒーラーが現れた
4人でPTを組み、モンスターと戦う
ヒーラーのぎこちなさは、AIが悪いのか、最初の頃のウミのプレイを思い出した
俺たちは、ひたすら狩りを続けた
エリアモンスターとして、ソウルイーターという死神のようなモンスターが出た
今の俺たちにとっては大した敵ではないが、昔は強く感じたモンスターだ
あと少しでとどめと言うときに、ソウルイーターが魂抜きという即死スキルを使ってきた
3秒の詠唱の後、飛ばされる人魂に当たると必ず死ぬ
AIであるヒーラーは狙われているが、回避する様子はない
俺は、ヒーラーを庇う様にキャラクターを動かすと、ヒーラーの代わりに人魂に当たって死んだ
俺が死んですぐにソウルイーターは倒されたが、ヒーラーは蘇生呪文を唱える様子はない
やれやれと思って街に戻るボタンを押そうとしたとき、あり得ないことが起こった
ヒーラーがチャットで「守ってくれてありがとう」と打ったのだ
俺はなぜか涙が出て、現実では守ってあげられなくてごめんと呟いた




