表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは・・・ですが  作者: 斉藤一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
364/862

助手席

俺は駅前で暇そうな女性を見つけたので声を掛けてみた


「ドライブに行かない?」


女性は最初、用事があるとか、待っている人が居るとか、いろいろと言っていたが、結局は根負けし、ドライブだけという事で誘う事に成功した


セダンタイプの助手席に乗せ、軽く街中を走る


その間に、職業や趣味などを聞いていた……大学生らしい。趣味は特にないが、風景を見るのは好きと言っていたので、どこか店に入るよりも山の方で景色を見る方がいいだろうか


電話番号を聞いたが、電話は持っていないという。本当かどうかは分からないが、本当であれば珍しいと思う


「ところで、なんで駅前でぼーっと立っていたの?」


そう、俺が声を掛けるまで、駅前で歩く人たちをひたすら見ていただけだったのだ。だからこそ声を掛けたと言うのもあるが


助手席を見ると、彼女は風景の方を見て返事をしなかった。答えたくないのだろうか?


高速道路近くの道の駅へ寄る。トイレと、何か軽く食べ物でもと思ってだ


「トイレは大丈夫? 何か買ってこようか?」


「大丈夫よ、気にしないで」


彼女はそう言って車から降りようとしなかった。さすがに、車を乗り逃げするとは思わないが、キーだけは俺が持っておく


俺は缶コーヒーを2つと、サンドイッチ、おにぎりなどを適当に買う。あっ、コーヒーよりお茶が好きかもしれないから、お茶も買っておこう


車に戻り、彼女に飲み物を渡そうとしたが


「今は大丈夫よ。そこに置いておいて」


と、言うので、飲み物入れの所へ入れておく


そして、キャンプ場があるというので、そっちのほうへ向かう。大して高くはない山の中腹ほどにキャンプ場があった。山道を登るだけでも、景色はよく見える


「綺麗ね。もっと早く、こういう場所へ来たかったわ」


「よかったら、また連れてきてやるよ」


あわよくば、このまま彼女になって欲しい、と思って声を掛けた


キャンプ場へ着き、駐車場へ車を入れる


「降りないの?」


「降りられないみたい」


そんなばかな、と思って助手席をあけ、手を引こうと思ったら、手がすり抜けた


「え? なんで?」


「気が付いていなかったの? 私、あそこの地縛霊よ」


見た目が全く普通の人間と区別がつかないくらい、綺麗だった


「離れすぎたみたい、引き戻されるわ」


そう言うと、彼女はうっすらと薄くなり、消えてしまった


助手席には、彼女が生前つけていたのであろう香水の匂いだけが残った


あれから、たまに駅の方へ向かう事があったが、もう彼女を見かけることは無かった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ