ペンダント
彼女の誕生日プレゼントに何か送りたいと思い、街をぶらつく
初めての彼女という事もあり、最初くらい奮発したいとおもった
バイト代で稼いだ金を3万もち、貴金属店や小物屋で指輪やイヤリング、ネックレスなどを見たがどれもピンとこない。おっ、いいのがあると思ったら、予算の10倍くらいのものばかりだった
「やっぱりいい物は高いか……」
がっくりとしてトボトボと歩いていたら、質屋があった。こうなったら中古でも何でもいいから予算内で買える良い物を探そうと思った
「いらっしゃい」
「彼女の誕生日に贈れる様な品物はありますか?」
質屋がどういうところか分からずに入った俺に対して、店主はきょとんとした顔になった
店主は苦笑した顔になってここがどういう店か説明してくれた。質に入れる様なものを何も持っていない俺は顔を真っ赤にして立ち去ろうとした
「ちょっとまちなさい。丁度、質流れにする品物がいくつかある、それでよければ見て行くかい?」
せっかくきたのだし、見るだけなら無料だろうと、見るだけ見てみることにした
時計やネックレス、指輪やバッグなどがあるが、自分の予算で買えるものは他の店と同様でなんとなく安く見えるものばかりだった。それを店主に伝える
「そうか……、そうだ、とっておきのがある。質流れの期限は明日だが、この感じだともう引き取りに来ないだろう」
そう言って奥から出してきたのはこじゃれたペンダントだった。5cmくらいのひし形で、青色の宝石のように光の当たる角度によってきらきらと輝く。これなら彼女にもぴったりそうだ
「これ、いくらですか?」
「本人は20万の価値があると言っていたが、10分の1の2万円を提示しても文句を言わずに置いて行ったから、ちょっと不安ではあったが、本物は本物だ。担保にした2万でどうだい?」
店主はあえて正直に教えてくれたので、二つ返事で買うことにした
誕生日に彼女に渡すと、ものすごく喜んでくれた。一応、「20万の価値があるらしいぜ」と嘘ではないが本当の事でもない事を伝えると、抱き着いて喜んでくれたほどだ
しかし、1週間後の休みの日にあった彼女は目の下に隈を作っていた。俺のあげたペンダントは気に入っているらしく、小ぶりの胸の前で存在を主張している
「どうしたんだ、その顔は?」
「うん……最近寝れなくて。寝ようと思ったらどこからか視線を感じて寝付けないの。一応電気をつけて確認しても当然誰も居ないし、念のため盗撮を疑ったけど機械の反応も無かったし」
「そうか……そんなに寝れないなら、もう帰って休むか?」
「ううん、せっかくだから遊ぼうよ、きゃっ」
彼女は段差につまづいて手をつくと、その拍子にペンダントがそばにあった鉄の棒に当たって嫌な音がした
「ごめん、大丈夫かな……」
「君こそケガはないか?」
彼女の心配をしつつ、ペンダントの事も気になる。ペンダントを見ると、青色の宝石部分が少しはがれそうになっていた
「ああ、ちょっと修理に出そうか。貸して」
彼女は申し訳なさそうにペンダントを外し、俺に渡した。それから1日遊んだ後、帰り際にあの質屋に向かった
「これ、直せるかい?」
「うちは修理はやってないんだがね……貸して見なさい」
修理はやっていないと言いつつ修理してくれるらしい
「ここが外れそうだな。一旦外して調整しよう……うえっ!」
店主が変な声を出したのでペンダントを見ると、外した宝石っぽいものの裏にお札が張ってあった
後日、店主が調べたところ、あのペンダントは盗品らしく、持ち込んだ人物の身元は分からなかったが、知り合いの警察に盗難届が出ていたと聞いた。その宝石は、遺骨で作られていたらしい
お詫びもかねて店主が別のものと交換してくれたが、何かいわくがありそうなブレスレットだったので彼女には渡していない
それに、あれいらい彼女は見られている感覚が無くなってよく眠れているようだし




