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これは・・・ですが  作者: 斉藤一


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車中泊

私は、車中泊をしていました


仕事は、建設時の足場を組む事です


仕事柄、県外に移動することも多く、ネットカフェよりも安く済む車の中で生活をしていました


着替えや道具などは全てハイエースの中に積んであります


風呂は、1週間で2回銭湯へ。夏場は公園などで夜中に水浴びをして済ませたりもしました。洗濯物は溜まったらコインランドリーで洗いました


ある時、トイレのある道の駅の駐車場に車中泊をしていた時の事です


夜中に、車に近づいてくる足音が聞こえました


不審車両として通報されたのかなと思いました。数日泊めていると、さすがに無断駐車とバレますので


ハイエースの後ろ側はすべてスモークが貼ってあり、外の様子は見えません


めんどうな事になったなと、その時は思っていました


大抵、警察であればガラスをコンコンとノックして、声を掛けてきます


私は、寝袋から出ると、様子を見ました


すると、いきなりガラスにバンッと手のひらで叩く音がしました


警察よりもやっかいな、不良や私以上の不審者に絡まれる可能性を感じました


私は、せめて無人車両を装うように、息を殺しました


すると、車を一周するようにバンッ、バンッと叩いてきます


これは絡まれたかな? と冷や汗を流しながら、フロントを見つめました


フロントにもバンッと手の跡が付きました。しかし、肝心の手が見えません


「なんだこれは!」


私は思わず声を出してしまいました


「いるじゃん」


私の背後から、そう声が聞こえた瞬間、意識が遠くなるのを感じました


気が付くと、朝になっていてすでに駐車場には車が入ってきています


私は車の外に出ると、昨日の出来事が夢ではないようで、車に手形が残っていました


幸い、手形自体は拭き取ると消えましたが、それ以来、私は車中泊を止めました


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