修行その2
おはようございます、ゲーム内的に何時かは知らないですが
『おう、坊主早速始めるか?』
「ちょっと改造してからでお願いしたい」
【自己改造】で宝珠を柄の中心から柄頭に移動させ、
柄を少し長くする、そして峰両刃造に変更して、改造は終了だ
「おお!こっちのほうが何となく手になじむな!欲を言えばもう少し長い方がいいんだが」
『おい坊主、あんまり形を変えるなよ?感覚が狂うからな』
「もう、ここからは少し伸ばすくらい程度しか形は変えねえよ」
『そうかそんならいい!さっそくいくぜ!』
昨日と違い指定を受けながら本格的に指導された。
『坊主!もっと力を入れろ!片手じゃあ無理だ!ぞ!』
「やってるって!くっ!手が追い付かねえ」
上からの振り下ろしを体を斜めにして刀を斜めに構えることで流す
そして下からの切り返しで切られる
意識が移動し【人型生成】をまた発動する
『坊主、流して終わりじゃねえんだよ、そこからの追撃を防ぐと同時に攻撃しないと』
「そんなことできるの師匠しかいないって、多分、知らんけど・・・」
『うまく流せば今のは切り返しできなかった、でも最初の角度が大きすぎたんだ』
「難しいな、かなりうまくいったと思ったんだがなあ」
『それと今から休憩だ。』
「いや!まだいける!やらせてくれ師匠!」
『損傷度が今、ぎりぎりだぜ?刃こぼれしまくってる、そのカタナが折れないように力加減はしてきたが損傷度までは抑えられない』
「なるほどな、しょうがない【念力】の練習でもするか」
昨日全く使わなかった【念力】は純粋な武器のみの戦いには向いていないが
周りに何かあるときや武器を落とした時に使えるかもしれないからな
「【念力】」
いつもは一気に抜ける魔力がゆっくりと抜けていく
だが魔力が少ないからか剣でさえも持ち上がらない。性能は微妙だな、石でもあれば色々動かせたかもしれないが
そしてゆっくり抜けていることにより・・・
「おおー!これが魔力か、ふむふむ、むず痒い様な心地いい様な不思議な感じだ」
魔力を感知できるようになれた
ただ【人型生成】を使ってからあまり時間が経っていないため、
「うん?もう無くなっちゃったかー」
残っている魔力量の感知を早くできるようにならないとやばいな
そんなことを思いながら時々思い出したように【念力】を発動させる。
『おい坊主、もう損傷度は全部回復したぞ』
「おっと、もうそんな時間が経ったのか、それじゃあ、師匠頼む。」
訂正する、損傷度もだ
『損傷度を回復するってのは便利だな、その能力がなけりゃあ、一回分の時間が二時間ぐらい短くなっちまってたぞ?それとなんかアイテムを使わなけりゃいかんかった』
「そうだろう?まあずっとその剣を振るっている師匠に言われたくはないがな」
『そう言うなって、これは一種の反則だからな、それじゃあいくぞ!』
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大剣による突きを体を斜め前に移動させながら手をかすらせることで回避しつつ
カウンターとして同じく突きを放つ
「どうだ!」
『うまくなったもんだ!だがな坊主!最後まで油断するなよ!』
普通なら突きは当たるだろう
しかし、師匠、いやライオスは普通ではなかった
平然と剣の腹を押しそらした
「化け物め!」
『その通り!俺はモンスターだぜ?』
「くっ!なんも言い返せねえ」
俺も剣だから化け物といえば化け物だろうが・・・
『ひとまず!俺から教えることは教えた、それじゃあお前の指南役としての役割は終わりだ』
『それで私の出番っていう訳よ』
師匠二号という訳ですね
『私の名前はルージュよ、剣以外のことを少しだけ教えるわ』
「だがそれも、ライオスにも教えてもらったぞ」
『あれは今から教えることの基礎なの、それじゃあやりましょ!』
まあ、基礎ができてないとダメなんだろうと強引に納得して剣を構える
『まあ、ライオスと私の教えることは沢山戦えば学べることなんだけどねー』
今さっきと同じ調子で喋っているのに攻撃は休まず繰り出される
「あんたらマジで化け物だな」
『あなたも十分化け物よ!』
あっ・・・また人型消された。
『坊主、普通ここまでスパルタで指導したら、逃げ出そうとするぞ?』
『殿下もここまでの修行だったら逃げてた』
「そこまでなのか・・・」
別に化け物なわけないと思っていたんだがな、種族は別として・・・
殿下っていうのは王様?いや王子か?姫かもしれねーな
それとスパルタの語源って古代ギリシアの都市の名前だったはずなんだけど・・・
『ルージュ一回あれやっとけ』
『うーん、ほんとにやるのか可哀想なんだけど?』
「いや、色々今更ですって」
『それもそうね』
人型をまた出して、剣を構える、何度もやった動作だ
『それじゃあいくわよ、死なないでね?』
「は?」
一気に師匠の威圧感が膨れ上がり、体が固まる
『動けるかしら?』
「いっ一応!」
『これでやるわよ』
「え?ちょっ!待っ!」
今さっきよりは若干抑えられていると思われる攻撃が繰り出される
水の中で動いているような感覚と後ろに下がりたくなるような気持ちの中でやる修行は地獄だった
だが途中で、威圧感が和らいだ
恐らくこれがスキルを獲得したということなんだろう
ここまで三体の人型を消費したが・・・
『慣れてきた?』
「少しだけな」
『それじゃあ、我慢してね』
ガキンっ!
「は!?」
ちょっ!折れた!?
やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!
しかもなんか痛い!
『大丈夫だって、死なないから。それに【全・回復】系のスキル持ってるだろ?あれはスキルレベルが上がりにくく手に入れにくい代わりに、部位欠損や損傷も直すんだよ、分かったかい?』
「大丈夫って言われても!」
折れた剣先と根元をくっつけて、放置・・・
もう念力の練習しよ・・・
今さっきの修行で出た石畳の欠片を持ち上げる、意外に難しかったです
『今後はたまに折るから』
「怖いなっ、おい!」
『色々鍛えれるからねえ、レベルアップだけでもステータスは上がるけど、それ以外でも鍛えとかないともったないからね』
強くなるのは大歓迎だがそこまでスパルタだと嫌だぞ?
筋トレみたいなのも意味があるのか、すごいな最近のゲームは
『治ったでしょ?』
「あっ、ああ、ちょっと待ってくれ」
念力で、剣を持ち上げようとする
持ち上げれはしないが練習のおかげか引きずるぐらいはできるようになった
「おおー!微妙だけど動かせるようになったかあ」
『よかったわね、それじゃあやるわよ』
なんか冷たい目で見られた気がする、
『動きながらききなさい、今後は剣以外もどんどん入れてくわよ』
「分かった!」
そんなこと言われても余裕がないからなあ
剣の重みを利用して回し蹴りを放って来たり
剣をそらしてもそのまま前に来て膝蹴りを入れられたり
そんな容赦のない攻撃を受け、稀に真似して反撃する
それを繰り返していった
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そして体が重くなってきた、威圧とはまた違う感覚だ
おそらく脳の疲労だろう、
シロは読んでないが注意書きに外部時間で6時間を超えるプレイは原則禁止と書いてあったのである
そして現在ログインしてから6時間を少し過ぎたあたりなのだ
本来なら9時間まで連続でログインすることも可能なのだが、激しい戦闘を長時間繰り返してしまったため
脳の処理能力が落ちてしまったのだ
『大丈夫?』
「そうおもうならけんをとめてくださいよ」
『なるべく追い込んだ方がいいと思ってるから、特に非人種にとっては』
「おいこんだほうがいいのはどういしますけど、たいちょうをわるそうにしてるのにそのままつづけるのはちがうとおもいますよ」
『体調が悪くっても剣を振り続けてるのは立派と言っておこうかな!』
「あっ、もうちょっとまじでやばいんでいしきがなくなりそうです」
『しょうがないなー』
師匠が動きを止めことを確認すると
すいませんと心の中で思いながら
台座に剣を刺し、
「ログアウト」
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やばいな、時間加速って
まだ昼すぎなのに、もう眠いぞ
いや、食後だと考えればわんちゃん?
時間加速の睡眠への影響とか知らなかったな
まあちゃんと考えれば分かるけどな・・・
知らないのは危ないからな説明書読んだ方がいいか
読んどこ・・・
おっ!内部睡眠もできるのか
ひとまずログインして寝よ
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「師匠、寝ます」
『え?』
『は?』
台座に刺さっていると寝袋に入ってるみたいで気持ちかったです
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『坊主、起きろ』
「んー、あと三十五分・・・」
『具体的すぎないか?おっと、起きろよ坊主、叩き折るぞ』
「怖いこと言わないで下さいよ、あれ結構痛いんですから、それとおはようございます師匠」
【人型生成】の生成速度に不満を抱きながら
剣を振って体をほぐす
『結構様になってるじゃねえか』
「ありがとうございます」
『それじゃあルージュに代わるぞ』
「はい」
『そんじゃあいくよ、シロ』
初めて名前読んでくれた!
浮かれてると殺されるだろうけど・・・
ツンデレってやつですね!
『何ばかなこと考えてるの?』
ばれてた、
最近、心を読まれがち
『体術を混ぜるのもましになってきたし、パリィを教えます』
ルージュの説明によると
パリィとはただの防御ではなく相手の攻撃にタイミングを合わせて盾や武器を当てて敵の攻撃をはじく防御法らしい、今まで教えなかったのは単純に俺が技量不足だったかららしい
それとパリィされないような剣の振り方や当て方があるらしいので過信しないことと言われた。
「よくわからないけどよろしく頼む」
基本的に肉体言語なのであんまり教え方に期待しないことにしている
ルージュはライオスに比べるとちゃんと言葉に出してくれるから比較的わかりやすい
そこからは
力を抜いた状態の攻撃をすくい上げるようにはじくことをずっと繰り返す。
こっちからもまれに反撃するが全部パリィされる
「ほんとに化け物みたいだな」
『女の子にそんなこと言っちゃダメだよ』
「え?」
ぱきんっ!
「ぐはっっ!」
え?また折られた、結構痛いんだよな、割とマジで
もう四回も折られてるけど・・・今回で五回だった
そして、痛くて、治りにくい折り方された、八つ当たりでそこまでやらなくてもいいじゃないか
まあ【念力】の練習をする事にする、魔力を意識しながら・・・
【念力】を使うときの魔力は対象に向かって徐々に広がりながら向かう、その広がる魔力を減らせることができれば燃費が良くなると思うのだ、ただ自分の中の魔力でさえも満足に操作できないのに外の魔力が満足に操作できる訳もなく・・・
「ぬうー、難しい」
『もっと体の中で慣らしてからがいいわよ』
「まあその通りなんだがなあ」
そういえば、折れた剣先と根元を魔力を流すことで修復を早くできないかな?
血液の流れを増やすようなイメージで
失敗は成功の母と言うしやってみよう
「おー!お?」
魔力の流れが途切れてそれ以上流れないようになっている、恐らくここが切断されてる部分なのだろう
そこを強引に穴を開けるように魔力を流す
今更だが人型の状態で魔力を循環させたことはあったが剣の中で循環させたことはなかったな
ようやく穴が開いたような感覚があってから
爆発した・・・
『なにやってるの?シロ?』
「えっと、あのですね無理やり魔力で元の形状に修正してやれば速く治るんじゃないかなーって」
『せめて先に言ってからやってください、一気に魔力が解放されて外に出るんだから何かが起こるのは当然でしょ?』
絶対一気に体力と魔力と損傷度が減ったな
いや、損傷度だけは増えるのか・・・
『また修行の再開が遅れるじゃない』
「折ったのはあんただがな?」
『くっ』
まあ今さっき俺が下手に煽ったからだけどなあ
かなりの部分がさっきの爆発でなくなってしまったので
剣先をくっつけて治すことができなくなってしまった
【自己改造】で剣先を回収して元の形に戻せばいいと思うかもしれない
しかし、それでは消滅した分や細かくなってしまった分までは戻らないし、スキルのレベル的に勿体ない
閑話休題
「はあ、人型のみで適当にやるかー」
『手伝ってあげる』
「何やるか言ってないのにそんなこと言っていいんですか?」
『あっ・・・』
「適当に手を抜いて攻撃してください、まあ消されても死ぬことはないから本当に適当でいいですよ」
『わかった』
足捌きで避けつつたまに手で逸らす
そしてたまに消される。
数十分経っているがまだ剣は治らない
「うー、まだ治らないか」
『もうちょっと治ったら剣先と合体させれるんだけどね』
「そういえばそうだった」
これぐらいだったら剣を【念力】で持ち上げれるかな?
大きさが半分ぐらいになったから持ち上げれた
振り回せないけど・・・
これを頑張って維持するか、
魔力をなるべくまとめて
少しだけ魔力の消費が減った気がする、ほんとに少しだけ、もはや気のせいだと思うけど
『ねえ、シロ?もう付ければいいじゃない』
「あっそうですね、もう治るかな?」
折れてから完全に治るまで何時間もかかったのに
折れる前と見た目が全く変わっていないのはありがたい、怖いけど
『それじゃあ再開するよ』
「お願いします」
『私からの指導を乗り越えれないと次には進めないからね』
「それならなおさら頑張らないとっ!な!」
喋りながら攻撃するのはどうk
あっいえなんでもありません
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『うん、パリィもなかなかうまくできるようになったんじゃない?』
「ありがとうございます、剣を折った後に言われるセリフじゃないですけど」
『まあステータスの差もあるししょうがない』
同じステータスになっても勝てる気がしないんだけどな
『さっさと治して次行くよ』
少しでも接着?したら魔力をそこから流す
そうすることで・・・
何も変わりませんでした、スキルのレベル上げに少し意味があったかもというところです
『まあ、私から教えることはもう終わりよ、次はカタナについて教えてもらいなさい、まあ最後にこれを耐えれたらね?』
はい、嫌な予感がぞわぞわと
毎回折られた後はなにかあるんですよねえ
悪いことばっかじゃないんだけど
「それじゃあ、最後の指導お願いします」
『一発合格できるといいけどね』
絶対一発合格してやる!
無理ですよね、知ってました
えー、ただ今三度目の挑戦中でございます
「さすがにこれは予想外と言いますか」
『誰に言っているの?』
「いえ、なんでもないです」
最後の試練の正体は・・・
パリィだった、ただし剣を折るときと同じぐらいの力の大きさの剣をはじく
はっきり言って無理だろう、ただ師匠がやれと言ったのだからやらなければならない
ん?もしかして俺逆らえなくなってる?調教というやつですな
新しい扉は開けたくないんだけど・・・
『まじめにやりなさい』
「大真面目ですよ。俺は」
『ふーん』
もしかして心が読める?
いや、読めてないな、絶対読めてない、読めるわけがない、読めないでほしい!
「というかできるわけありませんよ」
『あらかじめどんな攻撃が来るかわかっているだろう?当たるタイミングでちょっと工夫して動けばいいだけじゃないか』
この人にちょっとなんかじゃないですよなんて言った時には粉々に砕けることになるだろう・・・
たしかにすることはちょっとだけだ
降りてくる剣に合わせて少し剣を下げ、一気に跳ね上げることで
パリィができる
ちなみにだがパリィというのは本当に難しく、器用極振りのカンストならまだしも初期状態では成功率は宝くじが当たる程度の確率しかない、ただそれは同格相手の場合であり、完全な格上に成功することはない
これが常識なのだ、なぜシロが成功できるのかというと一般的なプレイヤーは
降りてくる剣に合わせて少し剣を下げるなんてことはできないからだ。というよりもしようとしない。パリィというのは、スキルレベルとステータスさえあればタイミングを合わせて跳ね上げるだけでできるのだから、わざわざ苦労する必要はないし、やってみたとしても成功できずに諦めるのが関の山だろう。
シロのやっている方法なら初期状態でも格上にパリィできる
ただ、剣を下げた時に完全に衝撃を吸収し
剣を下げ切った時に来る一瞬の脱力するタイミングで跳ね上げなければならない
ただ脱力する瞬間というのは本当に短い、瞬きのような時間だ。
それが達人級ともなれば当てるのは困難を極める。
ちなみに脱力するのはゲームの仕様だ
現実ではそんなことは起こらない、まあ振り抜いた後になら脱力は起きるだろうけど
『下げるまではいい線言ってるんだけどね』
「までは、まではね。そしていい線と・・・」
全力でやっているのに、その程度の評価で傷付く・・・
『4回目行くよ』
ごくり
『声に出さなくてもいいじゃない』
おっと、
今回でクリアしたい
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えー、ただ今16回目でございます
恐らく一番うまくいったのは13回目ですね
19回ぐらいでできるようになりそうですね
はい多分、恐らく、きっと
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『26回目行くよ』
はい、無理でした、19回目で行けると思ったけどな
上から来た剣を自分の剣で受け、
下がりながら衝撃を吸収、剣が止まる少し前で自分の剣に入れている力をなくす
そして、相手の剣が止まったあたりで一気に跳ね上げる!
そして・・・折られる
いつもは
「うっしゃあああああああ!」
『そんなに私の修行嫌だった?』
「そういう言い方すんなって・・・」
こいつ性格悪いな、
何はともあれ、合格だな
師匠の気が変わらない限りは・・・
『合格だよ』
「うっしゃ!」
『次はカタナについて教えてもらいな』
「はい!ありがとうございました、師匠」
『うん』
峰両刃造は
刀の先端近くが両刃になっているやつです
一部の日本刀にそのような特徴がみられ、大陸から伝わってきた剣が刀となる過程でできたもの
だそうです、きちんとは知りませんが・・・
両刃になっている部分はものによって範囲が変わり、拙作では5から10センチの範囲が両刃となっていると思ってください
長さとしては刃の部分が80センチほどです
拙作では主人公が少し短いと発言してますので
恐らく最終的に85センチほどになるかと、
まあそこまで気にしなくていい話です・・・
85とかになると抜刀術とか使えるか怪しいですし・・・