始まりと修行
「ここがダンジョンかあ」
俺は今、学校の教室ぐらいの大きさの部屋にいた
あるものは、
俺が刺さっている台座と左右にある二つの宝箱だけでかなり寂しい
とりあえず視界の端にあるアイコンを押そうとする
「おっと、手がなかったな」
だがアイコンを押したことになったようだ
アイコンを消してもメニューと念じるだけで開けるとメッセージが来たので、アイコンは非表示に設定して
色々と書いてあるが
ひとまず、ステータスを確認しよう
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名前:【シロ】
種族:【粗悪な剣 lv.1】
クラス:【見習い lv.1】
スキル:【自己改造 lv.1】【技能適合(下)lv.1】
【人型生成 lv.1】【全・微量自動回復 lv.1】
【魔力技能 lv.1】
HP:30/30
MP:15/15
STR:27 DEX:25 DEF:20 SPD:40
INT:20 MND:20 CHA:3
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スキルなどの詳細は、
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【粗悪な剣】
知性ある武器の一種。
伝説の剣、古代の遺産、神の遺物と呼ばれる存在。
ただ今は、錆びてしまい最低品質の剣となってしまっている。
【見習い】
全ての職業の始まり、
使用する武器やスキルへの制限がない
ほとんどの【見習い】と付いている職業に転職することができる。
【自己改造】
自身の素材、形状を改造できる。
【技能適合(下)】
種族に対応した武術スキルとなる。
ただし、このスキル以外の武術スキルの習得ができなくなる。
現在:【剣術】
【人型生成】
魔力を使い、意識を移すことのできる人型を作ることができる。
生成速度、本体から受け継ぐことのできるステータス、クオリティはスキルレベルと魔力に依存する。
【全・微量自動回復】
全ての消費系ステータスを少しずつ回復させる。
回復量はスキルレベルに依存する
【魔力技能】
魔力を使うことに補正が入る。
効果はスキルレベルに依存する。
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短すぎてほとんど分かんねえな【自己改造】
だが使ってみれば分かるだろう
「【自己改造】」
目の前にメニュー画面と同じような見た目の板が出てきた
素材はないから形状だけか・・・
ん?外側だけ素材が違うのか?多分外側は酸化しているんだろうな、その部分だけを取り除けるか?
ほお、排出と収納って感じか
収納っと!
きれいな部分しかないようになったな?
ちなみに金属の種類は分からない、だが刃が二種類の金属で構成されているということは分かるようになっているようだ
歪な形になってしまった、ひとまず、元の形と同じような感じにして、
まずい!
抜ける!
小さくなるんだからよく考えてやるんだったな・・・
からんっ
おっと?
思った以上に軽いんだな、ひとまず
「【人型生成】」
・・・え?出てこないぞ
バグかな?もしかして魔力足りなかった?
初手で詰んだか?
うわあー、念力取っとけばよかった・・・
うおっ!?幽霊かと思ったわ
これが人型かな?
時間が掛かったのはスキルの説明にあったように魔力が少ないのとスキルレベルが低いからだろうな
「ふむ、錆びていたらしいが思ったよりも立派だな、もうちょっと貧相かと思っていたんだが」
それじゃあ、まず初めに【見習い】から【見習い剣士】になってと
詳細はwebで!
・・・間違えた詳細はこちら
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【見習い剣士】
全ての剣士系統の基礎となる職業。
剣の使用と物理系ステータスへの補正。
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宝箱を順番に開けてきますかね、今さっきメニューを開いたとき見たマップではここは
ダンジョン【王家の墓地】の10階層、【秘宝庫】だと表示された
つまり、ここにあるのは昔の宝物それも最上級ということだろう
右側から開けようか
うーん、ビンに入った血か?
・・・飲むのか?それとも何かの素材?
うん?ふたが開かない、恐らくこれ一つで完結しているアイテムなんだろう
鑑定を取らなかったのが痛いな
まあいつか使い方がわかるだろうし、インベントリに入れておこう
あれ?入らないのか
うーん入れれないのは困るな
入れっ!
はは、念じても入るわけ・・
〈称号【尊き血】を獲得しました〉
〈ワールドアナウンス:プレイヤーからの初の【王の資格】の獲得を確認しました。それに伴いヘルプに【王の資格】についての記述を追加しいます〉
〈初の【王の資格】の獲得者へ報酬としてスキルポイントが5ポイント贈られます。〉
んん?ワールドアナウンスってかなりやばいよな、
多分ゲーム内のプレイヤー全員へ通知が行くんだよね
それとこんな速さで手に入れるべきものじゃないよね?
称号の詳細は、
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【尊き血】
【王の資格:尊き血脈】を得たものに贈られる称号。
その身はもはや王であり、忠誠を注ぐに値するだろう。
この称号を持つものは、嫉妬と尊敬をその身に集めることになるだろう。
死亡した場合、この称号は失われる。
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かなりやばいな、別に王様になりたいわけじゃないんだけどな
しかも序盤にこんなのゲットするとかすぐ死ぬにきまってるのに
それとスキルポイントか、今のうちに使っておこう
生存率を上げないといけない理由ができてしまったからな
それじゃあ【念力】を取るのと
【隠蔽】は後で取るか、戦闘系のスキルが今は欲しいからな、
よし、決めた!
【弱点打ち】にすることにしよう、名前が弱そうだが侮ることなかれ、弱点を狙ったときに与えるダメージが微増するというスキルだ
スキルがない状態でも弱点を的確に攻撃するとダメージが上がるところに補正が入るのだからかなり強力なスキルだと思う
まあ上手く当てないと完全な死にスキルとなるが
それとこれを選んだのは、集中した状態で冷静にスキルの使用は難しいと思ったのとどんな相手にも効果があるからだ
【念力】と【弱点打ち】で4ポイントだから
1ポイントで取れるものは・・・
後で使えそうなものはあるけど、戦闘で使えそうなものはないな
取っとこうか
詳細はこちら、
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【念力】
魔力を使い、不可視の力によってものを動かすことができる
効果はスキルレベルと魔力に依存する。
【弱点打ち】
弱点を攻撃した際、与えるダメージに補正が掛かる
効果はスキルレベルに依存する。
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さて、もう一つを開けようか
「うーん、玉?ビー玉じゃないよな宝珠ってやつかな?」
ヒュッッ!!
「おい!初見殺しやめろって!」
宝箱から玉を出した途端に首狙ってきやがった
勿論、普通なら死んでいただろう、だが隠し部屋なのに守護者がいないはずがないと思って覚悟していたから無事だっただけだ
鑑定は取れなかったからわからないがこいつは
アンデット系のモンスターだと思う
お決まりの光魔法みたいなやつは持っていないからかなり厳しいかもしれない
だが、アイリスは俺にぎりぎりと言ったのだ、
そして、最初から詰むようなことをするはずがない
それならば、抜け道はある!
「来いよ!でくの坊!」
ひとまず煽っとけ
とはこのソフトをくれた友人からの言葉だ
煽りが聴くのかは分からないが・・・
『ガァァアアァァァアァアァァアアァ!!!!!!』
何重もの絶叫が来たような不快な声が返ってきた
そして戦闘が始まった、それはまさに・・・
子供が遊具に戯れるようだった
「えっ?こんなに強いの?」
『ガァァアァァアアァァ・・・』
俺が攻撃している間、敵は、せっかく意気込んだのに・・・というような雰囲気になってしまっていた
だがそれも仕方がないのだ、平和な世界で剣道のようなものもやったことがないのに
剣が十分に振れるだろうか?
答えは否、振れるわけがない、スキルによる補正も一レベルでは微妙だ
それに、どこで読んだかは忘れたが『cross world』などのVRゲームの武術スキルというのは動き方に対する補正をあまりしないと聞いたことがある、無理に動き方を補正してしまうとプレイヤーの自由度を下げることになるからだという話らしい
閑話休題
剣を振ってすぐはそのようなものだろう
しかし、十分も二十分も振っていればある程度変わってくる
受けも流しも攻撃も確実に上達する
ほんとにわずかだが・・・
〈スキル【全・微量自動回復】のレベルが上昇しました〉
〈スキル【技能適合(下)】のレベルが上昇しました〉
思ったよりも上がるのが速かったな
それにしても、敵がこちらを倒そうとしているようには見えないのだ
まるで弟子を鍛えるかのように見える、
例えば、流しやすいように振り落とすような力しか入れていない剣を攻撃してくるように、攻撃するとまるでお手本のように防御してくるそれもここを攻撃すると防御しにくいなと言ってくるかのように分かりやすい隙を開けながら、流しにくい攻撃も受けやすいように分かりやすい予備動作を入れながら、
勿論、普通なら俺が一瞬で死ぬようなスピードでだ、
だが、死ぬかもしれないという恐怖が剣術の習得を後押しする
死なないと分かっていても目の前に迫る剣は今は本物だ。それは間違いなく俺を殺す事のできる一撃
「何でこんなことをしてくれるのか知らないが感謝する!」
このようなことをシロが知る訳がないが
このアンデッドは近衛騎士であり、王の指南役であったという設定が与えられている複数の人物の意識が重なっている存在であり、彼もしくは彼女はこのダンジョンのボスと同じかそれ以上の強さを誇る、指導NPCだ。
通常の指導NPCでも指導してもらうのは難しいが
何人もの意思の塊である彼もしくは彼女に気に入られるのはもっと難しくもはや不可能である
本来の攻略は攻撃を避け出口から出ることなのだ、が
シロはこの本来の攻略法では基本的にダンジョンから出ることができない
当たり前だがレベル一で中盤のダンジョンを探索できる訳がない、その救済策として置かれているのが彼もしくは彼女なのだ。
ただし上手く気に入られず、指導を受けることができなければ詰むという訳である
「はぁはぁ、一撃も入らねえ」
『ねえ、あなたは王の剣そのものよね?』
「あんた喋れたのか?」
『そうだぞ』
「それじゃあ、なんで絶叫を上げてたんだ?」
『アンデッドっぽくないか?喋ったら雰囲気でないなーって思って叫んでたんだよ、そしたら、みんな怖がるから面白いなーって思ってやってただけだ』
『それであなたは剣なの?』
「ええそうですよ」
『やっぱり!それじゃあ、後で開けた方の宝箱に入ってた宝珠を取り込んでみて』
やっぱり宝珠だったのか
やってみるか、
『おい、場所は考えろよ?割れたらもったいないからな』
「そういやこれはどんな能力があるんだ?」
『知らん、鑑定系の能力をもってねえからな』
ひとまず、柄の真ん中に固定する
今は諸刃の剣だからな
刀身にはめ込むようなことはしにくい
〈■■■【■■■】を獲得しました〉
ノイズが混じったような、いくつもの言葉が同時に発せられたような
そんな言葉で告げられた
ログを見てもステータスを確認しても黒く塗りつぶされて分からないようになっているようだ。
不気味だが、それは悪いものではないことが宝珠から伝わってくる!・・・気がする
『おお!ちゃんと適合してやがるな!無理だったらどうしようかと思ったぜ、がははは!』
「安全かもわからなかったんですか?」
『そんなやばいことにはならなかったと思うぜ、たぶん、知らんけど・・・』
「まあいいや、得られる能力はどんなものなんですか?」
『宝珠はいろんなタイプがあってね、身体能力を上げたり、特殊な能力、例えば冷気を操るようなものを得ることができたり、魔力をため込むことができたりするの、それがどんな能力があるのかは分からないけど』
『それじゃあ、再開するか』
「あっちょっと待ってくれ」
やはり、刀の方がいい気がしたから変形させておこう叩き切るのは性に合わないからな、
それと今さっき見た時に魔力が完全に回復していたので一度人型を解除して作り直しておこうと思ったのだ
スキルレベルを上げるにはたくさん使わなければならないだろうからな
解除して・・・
「【人型生成】」
やはり、数十秒の間があってから出てきた
「心なしか輪郭がはっきりしてる?」
『おい坊主、そりゃなんだ?』
「【人型生成】っていうスキルだよ、魔力を消費して意識を移すことのできる人型を作るっていう」
『お?それじゃあ、その体が壊されても死なないってことだよな?』
『【王の資格】を持っているってわかった時は悩んだんだけどね、問題も解決したし、遠慮せずに指導しちゃうわね』
『腕が鳴りますね』
あっ、
今初めて出てきた人いるだろ、よくわかんないけど多重人格みたいだし
「それじゃあよろしくお願いします」
『おっと、自己紹介してなかったな、俺はライオス、他にも人格はいるが今は俺が指導する、お前は食事の必要がないだろ?ぶっ続けでやるからな』
「自分は別の世界から来た人間なんですよ、ですからたまにいなくなるのでぶっ続けは無理なんです」
異邦人とか異世界人とかいうのだと思うが通じるかわからない
ゲームはあまりやらないがそういうようなまとめサイトや小説はたまに読むからな!
『坊主は異界人なんだろう?』
「ええ、恐らくそれです」
『もう、そんな時期なのか、大丈夫だ、でもなるべくたくさんこっちにいてくれよ?よし、やるぞ!』
そういってライオスは剣を構えた
『たしか坊主のそれはカタナなんだろ?俺からはカタナの扱いは教えれねえからな、他の技術を叩き込んでやろう!』
「ライオスさんいえ、師匠お願いします!」
『!!ふははは!いいだろう。指南役としての誇りにかけてお前を鍛えてやろう!』
そこから始まったのはぎりぎりの修行
俺が死なないと分かったので遠慮が完全に消えたようだ
耳が切れそうな位置に剣が来ることも腕が飛びそうなこともあったが
余裕が出てきたところで毎回消すのはやめて欲しい
心臓が止まりそうになる、文字通り鉄の心臓だから大丈夫だろうが
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数時間たったころには動きはましになり、ある程度ならば反撃ができるようになった
〈スキル【全・微量自動回復】のレベルが上昇しました〉
〈スキル【技能適合(下)】のレベルが上昇しました〉
〈スキル【魔力技能】のレベルが上昇しました〉
〈スキル【回避】を獲得しました〉
〈スキル【防御】を獲得しました〉
〈スキル【人型生成】のレベルが上昇しました〉
〈スキル【全・微量自動回復】のレベルが上昇しました〉
〈スキル【回避】のレベルが上昇しました〉
〈スキル【防御】のレベルが上昇しました〉
新しいスキルの詳細はこちら
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【回避】
回避行動に補正が入る、また回避後の攻撃に補正が入る。
効果はスキルレベルに依存する。
【防御】
防御に補正が入る、防御した際の損傷度の上昇を抑える。
効果はスキルレベルに依存する。
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スキル的にも経験的にもいい時間が過ごせた
念力を使うのを忘れていたが・・・
「師匠また戻ってくるがさよならだな」
『おう、坊主いつ戻ってくる?』
たしか、時間の加速は三倍だった気がする、それなら
「明日は戻ってこれないだろうけど明後日には戻ってくる」
『おう、分かったぞ、それと全員の指導が完了するまではステータスを確認するのは禁止だ』
「スキルのレベル上昇とかもか?」
『おう、全部だ、もちろん魔力の残量を確認するのもなしだ、損傷度を確認するのもな、自分で回復できるんだろう?それなら心配いらないだろう。一応俺たちが気にしてやるから心配しなくていいぞ、でも一応今の自分の残量ぐらい感知できるようになれ』
早速メール以外の通知を切り、
元々刺さっていた台座に自分を指すことにする
ゆれたりするかと思ったがぴったりと動かないようになった
「それじゃあ、ありがとう師匠、また頼む」
『おう!そういや坊主の名前を教えてもらってなかったな』
「シロだ、ただのシロ。」
『黒いのにか?』
そんな言葉を聞きながら、俺はログアウトした
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うーん、やりすぎたな
ちょっと遊ぶぐらいにするつもりなんだったんだが
師匠たちはAIで動いているはずなんだがな、人間らしいというかなんというかだった
「最近の技術はすごいもんだ、あっちのAIが全部同じぐらいの性能だったらやばいな、文字通りもう一つの世界だ」
そう言いながらストッレチをし、献立を考える
今日の晩御飯は少し豪華にすることにして
考えるのをやめる
「飯を炊いて、風呂に入って、飯を食べて、寝るか」
朝早くからログインしたいからな
それとなるべく早くダンジョンから出ておきたい
SNSで友人からいつ合流できるか早速聞かれてしまったからだ
途中で休憩しつつ頑張ってやればなんとかなるだろう
そうしてこの一週間はゲーム漬けに決まったのであった
終わった時点での
シロの情報書いときます
能力値は【自己改造】を使うと一部を除いて変化してしまうということなので書かないことにします
基本的にスピードタイプの戦士だと思っててください
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名前:【シロ】
種族:【粗悪な剣 lv.1】
クラス:【見習い剣士 lv.1】
スキル:【自己改造 lv.1】【技能適合(下) lv.3】
【人型生成 lv.2】【全・微量自動回復 lv.4】
【魔力技能 lv.2】【念力 lv.1】
【弱点打ち lv.1】【回避 lv.2】
【防御 lv.2】
称号:【尊き血】
■■■:【■■■】
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黒いのは思いつかなかったからじゃありませんよ(;'∀')!