新天地へ
「おし!終わったし行くか!」
「あっ、シロ君って、野営セットって持ってる?」
「いいや、持ってないけど」
「あっそもそも、分かる?」
「もちろん」
野営セットとは
街の外で安全にログアウトするためのテント型のアイテムだ
グレードによって安全にログアウトできる時間が変わる
ちなみに時間が過ぎると
プレイヤーに物を盗まれたり、設定によってはプレイヤーにあんなことやこんなことをされる
モンスターに発見されれば、無防備な状態でタコ殴りに遭うことになり
ログインした時に最後にリスポーン設定した場所に飛ばされることになる
それとプレイヤーはログアウトしている状態のプレイヤーを殺すことはできないらしい
「あっ!!」
「うおっ!!いきなりどうした?」
「リスポーン設定してない!」
普通のゲームは宿屋で寝たらそこの位置にリスポーンするのだけれど
このゲームだと、街や村の中心付近にある目立つ建物でリスポーン位置の設定を行う
噴水や井戸だったり、銅像とか神殿、あとは目立つ木とか岩の場合もある
らしい
「どこにあるんだ?」
「あっちのほうに噴水あるからそこでできるぞ」
「分かった、ついでに野営セット買ってくるわ」
「いってらー」
結構遠いらしい・・・
そういや、最近アイリスと喋ってないな
「アイリス、いるか?」
『だから何回も言ってるけどフレンド欄から呼んでよ』
「別に呼べるからいいじゃないか、今までちゃんと反応してくれてる訳だし」
『あんまり呼んでくれることがないからすぐ反応しないと、忘れられそうじゃん!』
「結構呼んでると思うぞ?」
『私にとっては少ないのよ』
「そうなのか、お前暇なんだな」
『そっそんなわけないじゃない!』
「そういや、お前って何の女神なんだ?」
『んー、秘密!』
怠惰の女神なんですね
分かります
『そういえば、何の用だったの?』
「ああ、久しぶりに声聞きたかっただけってのもあるけど、野営セットのグレードってどれがいいのかなあって思って」
今さっき出たときには言わなかったが
アイテムの価値を決める要素は三つあって
グレード
レア度
付加価値
である
グレードはそのアイテムの出来のことを指す、全部で10段階あって数字が大きいほどグレードが高くなる
レア度はそのアイテム全体の価値を指す、下の方からC、R、U、E、L、F、M、Gの8段階存在する
付加価値は色々あり、色や模様が珍しいものや、本来そのアイテムにない能力を持つものに付けられる、他には製作者が関係したりするそうだ
『5ぐらいでいいと思うよ』
「分かった」
『ねえねえ、なんかもっと聞きたいことないの?』
「ホントに暇なんだな・・・もっと女神の仕事やれよ」
『みんな有能だから仕事が来ないんだよねー』
「あっそうだ、お前に相談してどうするって話だけど、うちのパーティーに魔法が使えるやつがあんまりいないんだよ、どうしよっかな」
『それなら眷属を作ればいいじゃない』
「眷属?」
『本当に何も知らないのね、眷属っていうのは、プレイヤーが一回だけ生成することができるキャラクターよ、協力してくれるというよりかは友好的なキャラっていう感じね。』
「ガチャみたいだな・・・」
『眷属のタイプは二種類選択出来て、可もなく不可もなしっていうのと、物凄く成長するけど、最初は物凄く弱くて馬鹿っていうのがが選べるの、後者をみんな選びたがるけど凄い弱すぎるっていうのとある程度賢くならないと進化すらできないって理由で段々みんなやらない方がいいって結論になったみたいね』
「へえ」
『前者は最初はまあまあ強いけどある程度プレイヤーの方が強くなった頃には足手まといになるの、後者は育成が難しいけど物凄く強くなるし賢くなるの、どれぐらいかというとね』
一回言葉を切ったと思うと
『神と比類する』
「は?」
『文字通りだよ、ちなみに両者は素材によって知能とか能力が変わるよ』
「へえ」
『後は【七色の武器】のパーティーメンバーに聞いてねー、ばいばーい!』
「あっちょっ!」
パーティー名はまだ教えてないはずだけどな・・・
しかもアイリス、眷属を作ること自体へのデメリットをさらりと言わなかったな・・・
「あっこれか」
結構話していたみたいだな
まあまあ遠かったはずだからな
「リスポーン地点に設定、と」
これで終わりか、かなり簡単だったな
「野営セットはどこで売っているかなー、そういやこの前のおばちゃんの所でなら売ってるかな」
戦闘しなくても耐久度が減っていくからついでに装備の回復も頼もう
街の外に出れば装備を脱ぐ選択肢もあるが・・・
「よしいこう」
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「おばちゃんいるー?」
「おおこの前ぶりだね、坊や」
覚えてんのか、ボケが始めっててもいいはずだが・・・
「失礼なことを考えてるんじゃないだろうね」
「いやいや、全然、それで装備の回復と野営セットのグレード5を頂戴」
「分かったよ、しめて10万だね」
「へー・・・」
金は沢山あるけど貨幣価値が分からないな・・・
ファンタジーに貨幣価値を求めるのはなしかな?
「結構立派だな、畳んでても結構でけえ」
カウンターの上にあるものを見ながら呟く
「また来な、強そうな坊や」
「はは、俺は弱いって」
「坊や、過ぎた謙虚は失礼になるってことを覚えておきな」
「肝に銘じるよ」
さて、みんなの所に行くか・・・
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「おーい、戻ったぞ」
「おかえりなさい」
「あれ?あおいとサイトは?」
「二人なら、あっちの方でデートでもしてるんじゃない?」
「で、本当は?」
「食料を買ってきてもらってるの」
食料がいるのか
有機物は大変だな
「そういえば、眷属って知ってる?」
「一応知ってるわよ」
「作ってみる?」
「変態なの?」
「は?」
「ああ、ほとんど何も知らないんでしたっけ?」
「恥ずかしながら」
「先に色々調べてから人に聞きなさい、それでなんで変態って言ったのかっていうとね」
「あっ、教えてくれるんだ」
「普通に難易度が高いし、異性にその提案をしたからよ」
「異性とかそんなの関係あるのか?」
「基本的に1人で眷属は作れるんだけど、ある程度以上のレア度とグレードが必要になるの。でもなるべく強い眷属を手に入れたいからクランやパーティー全体で作ることが多いわ、で2人きりで異性に対してその提案をするということは、一種のプロポ-ズなのよ」
「へー、俺と一緒に子供を作らないかって話だからな・・・セクハラ案件だ」
「あと、1人のプレイヤーで一体の眷属を作れるんだけど、2人以上でも一体の眷属を作れるの」
「んん?そりゃあ、材料は複数名で集めれるだろ?」
「そうじゃなくて、1人につき、一体分のキャパシティーが存在しているの」
あっなんとなく分かった
「2人以上で協力して二体分以上のキャパシティーを使って眷属を生成できるの」
「そりゃあ、すげえな」
「文字通り、共同作業になるから、余計にセクハラよ」
「うへえ、そりゃあセクハラ案件だわ、すまんな」
「いいわ、気にしてないから。それとパーティーメンバー全体で眷属を作ってみる?」
「そうするか、でもレアな素材がいるんだろ?」
「確かにそうね、まあ気分的にレアな方がいいからって思ってるだけってことの方が大きいけど」
「はあ?」
つまり、強くしたいならレアな方がが良いっしょ?
ってだけでレアな素材を使ってるってことか?
「まあ強いかどうか別にして、レアな素材を使った方が珍しいスキルを持ってることが多いわ」
「そうなのか」
「ひとまず、移動しながら話しましょ、2人とも用事が終わったみたいだし」
「分かった」
眷属か
ワクワクするな
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「はあ!?」
「眷属を作りたいの?」
「ああ、魔法を使えるのはお前らだけだし、本職は物理だからな」
「まあそうだけどな、それで魔法職の眷属を作ろうと」
「ああそうだ」
街から出て少し経った頃に話を出してみた
「あっそうだ、装備を変えるか」
「え?」
えーっと
隠者の服を脱いで、これでいいか
「へえ、スキルの影響の話か、確か損傷度を常時消費するんだったよな」
「ああ、鑑定されないための対策だが、ここでなら他人に見られることはないからな」
「なるほど」
「完全に初期装備以下だよね」
「ああ、下着は持ってないから、全裸だというわけだ」
ちなみに外套なども着ることができるがそれ専用のスキルを取らなければならない
それと重い金属装備を着るためにもスキルが必要になる
一部の種族や職業ではスキルがなくても装備できるが、あった方がいいらしい
「モード的に全裸ではなくなっているけどな」
設定によってはパンツだけっていうのも可能だそうだ
「そんな紙装備でいられると気が散るのですけど・・・」
「そこは慣れてくれとしか言いようがないな」
「本当に大丈夫なのか?」
「ああ大丈夫だって新しい能力でより死ににくくなってるから」
【インビジブル】と【朧月】、【半転移】の能力によって、攻撃とかを無効化できるようになったからな
「眷属の話は街に入れたらにしようか,さあ最初の戦闘だ」
それは暗い色をした四枚の翼をもつ鷹だった
「もしかしなくても、俺を狙ってるか?」
「そうだな、がんばれ」
「はあ、【インビジブル】」
ガンッ!ズサーーー
「やわらかいんだな」
いや、一撃必殺の効果かな?
「なあ、三体倒したのか?」
「うん、そりゃあ全部倒さないと」
「これどうやったの?」
「スキルですり抜けて、振り返りながら峰でガツンと、それで地面に激突して死んだわけよ」
「意味が解らないからどうでもいいよ」
多分、峰で叩いたのと衝突したのが一回分の攻撃とみなされて【一撃必殺】の対象になったみたいだな
そうでないとこんなに攻撃力が高い理由がわからないからな
「それじゃあ、進もうか」
モンスターには二種類いる
種族全体が敵対しているか、敵対していないかだ
前者の呼び名は基本的に灰色だとか、グレイだとかで、後者の呼び名は白かワイトだ
これらはモンスターの体色に由来する、前者は体色が暗く、後者は体色が明るいからだ
グレイは言葉を操ることができても、話は通じない(場合によっては取引には応じるらしいが)
ワイトは敵対的な行動をとった場合や、クエストが進行している際を除いて敵対してこない
ダンジョン内では、この常識は崩れるが基本的にこうなっているらしい
「これのグレードは、7ね」
「まじか、一回で仕留めれたからか?」
「多分そうね」
「鑑定持ってるんだ」
「素材鑑定だけだけど」
そうだったのか
「ダウト」
流石にそこまで簡単に騙されない
「俺の事、俺が装備脱いですぐに一回だけ鑑定しただろ?」
「何を言っているのか、分かりません」
「そうか、まあ忘れてくれよ?気のせいだったみたいだからな。恥ずかしいだろ?」
「え、ええそうですね」
ちゃんと、隠蔽のレベルを上げないとな・・・
〈スキル【素材鑑定】のレベルが上昇しました〉
そっちじゃないんだよ、上がってほしいのは
「どうしたんだ?」
「いいや、なんでもない」
コモン=量産品
レア=希少
エピック=叙事詩級(英雄詩級)
レジェンド=伝説級
ファンタズマ=幻想級、幻夢級
ミソロジー=神話級
ゴッズ=神級
叙事詩には神話や伝説なども混じるので英雄詩という解釈とさせていただきました
(英雄詩も伝説の一部だったり?)
ファンタズマは本来は亡霊という意味なのですが、拙作ではどれだけ求めても手にすることはできなかった、という感じにさせてもらいます




