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第四十二話「今日は楽しい休息日アフター(バスタイム編1)」


 と言う訳で。

 手洗いうがいをした後で気付いた。


 なんか臭わね?


 そう、俺もティエラも全力で訓練して汗をかきまくっていた。


「この後って食事やっけ?」

「うん、そうだね」

「お風呂……借りさせてもろうてもかまへん?」

「うん……一緒に入ろっか」


 本来ならば美少女特有のフルーティな香りではあるものの、さすがにかきすぎていてはちょっとはしたないし、さすがに(くちゃ)い。


 二人で一緒に、まずはお風呂に入り汗を流す事にするのだった。



 大理石めいた美しい純白の床や壁。

 鹿角翼獅子(ボルタレン・ガマク)を模した高そうな彫像の口から吐き出される大量のお湯。


 スターフィールド家自慢の風呂場である。


 このお湯は当然の事ながら魔法によって生み出されている。

 というか、なんか精霊の世界的などっかから精霊さんが転移させてくれているらしい。

 精霊界の自然温泉のようなもののようで……。


「癒されるねぇ~……」

「ほんま、極楽や……」


 二人、ゆっくり湯船に浸かりながらまったりとする。


 当然、体はしっかりと洗ったぜ?


 ちなみにシャワー的なお湯を放出するマジックアイテムも存在する。

 そいつも同じように天然精霊温泉由来のお湯が出る。

 石鹸もちゃんとある。

 それらを使ってしっかりゴシゴシした。


 だから、もう(くちゃ)くない。



 そして……。


 隣には柔らかな輪郭の可愛らしいお顔。


 燃える様に赤い美しい赤色の髪はしっとりと塗れ。

 湯船の熱で頬はほんのりと朱に染まり……。


「……ん?」


 健康的な小麦色の肌。

 しなやかにしてなめらかな、鍛えこまれた筋肉に包まれた体躯は、しかし鍛えすぎた三角筋のせいか肩がやや少年染みた印象をもたらしている。

 ふっくらと成長しかけた、柔らかな曲線を描きつつも、しかし平坦なまな板状の存在はさらにそのボーイッシュな印象を加速させる。

 うっすらと割れたシックスパックの腹筋に到っては、もはや美しい少年と見違えてもおかしくない程だ。


「な、なんやねん」


 されど……されど! そのなだらかな丘の上に咲く小さな蕾はしっかりと少女であることを主張していて……。

 当然の如く、それが無い事で成立される、彼女がいたいけな少女であるという事を主張しているその部位は、如実に乙女たる美しさを証明している訳で……。


 あぁ、そのアンバランスな美の極致……ご理解いただけるだろうか!?


 くびれの少ない幼さの残るウエスト。まだ成長過程で完全な丸みを帯びきっていない未熟な果実。

 スレンダーで美しいその曲線美たるや……まさに両性的美の極致たる禁断の芸術美。


「な、何みとんねんって……っ」


 いじらしくも手で体を隠そうとする仕草もまた初々しく、乙女を感じさせる。


 あぁ、このまるで性の未分化な頃合の中性的な印象を与える部分をわずかに持ちながらも、それでいてしっかりと少女であるとしか言いようの無い、恥じらい持つ乙女の内面を併せ持つ少女。このギャップ。


 ボーイッシュガール。バット、ピュア・ガーリィハート。


 それこそが、ティエリア・ウィンドスレイヤーという少女であった。


 これが……ギャップ萌えか……。


「み、見んなやっ……」


 ついには両手で体を覆い隠しながら顔を真っ赤にして顔の半分まで潜って隠されてしまった。


 かわいい……。


「ナイス肉体美」


 小指を一本上げた握り拳を見せる。


 元の世界で言う所の、親指だけ上げてグッド、っていうアレと同じ感じの意味のポーズだ。


「何がナイス肉体美や……こんなん、全然可愛くあらへんもん……」


 ブクブクと湯船に泡を散らしながら呟くティエラ。

 強くなりたい。けれど可愛くありたいという両極端たる欲求。

 その狭間で悩むティエラにとっては、自身の体は美しいとは認めがたいものであるようだった。


「……なんやおだてられてマッスルポーズとかキメてた時もあるけどな? ほんまは、ちょっとコンプレックスなんやで?」


 そんな姿が、とても愛おしく感じられた。


 だから――。


「可愛くないなんて、全然そんなことないよ」


 ぎゅっと優しく抱きしめる。


「むぅ……」


 ふんわりと柔らかな感触。

 優しくて甘ったるい、果実にも似た香り。

 ほら、しっかりと女の子だ。


「ティエラは充分、可愛いよ」

「むぅぅ~」


 顔を真っ赤にしながら湯船に沈んでブクブクと泡を散らかすティエラ。

 本当に可愛らしい。


「なんやもう自分……自分こそっ。このっ。プニップニで可愛らしいなぁっ。もうこのっ。憎たらしいっ」


 照れ隠しか、二の腕をプニプニ摘んでくる。


「あははっ、くすぐったいよ~」

「それに比べて、うちのはなんや……? 鍛えとったらいつの間にかこないにバッキバキになってもうてん……」

「それはそれで魅力的だよ~」

「ほんまか?」

「うんうん」

「……ほんまに?」

「当然。可愛い可愛い」


 頭を撫で撫でする。


「……えへへ」

「あぁ~……」


 そして感極まったのか――。


「んもぉぉ~……っ! ティエラちゃんはぁ~……かぁいいなぁ~っ!」



――俺の中で、私ちゃんが暴発した。



 抱きしめてティエラをわしゃわしゃする俺の体。

 あ、これ完全にコントロール権剥奪されてる。


「あぁ~もぉぉ、かぁぁいいよぉぉぉっ!!」


 頬ずりスリスリキメながら壁際に追い込んで押し倒すように壁にもたれさせながらぎゅーっと抱きしめつつも手をわしゃわしゃさせ色んなところを撫でくりまわしている。


「やめっ……っ、こらっ、くすぐっ、もう……やめぇっ、ってぇっ……!」


 そして感情が臨海突破したのだろう。

 唇に向けて唇が……。


「んなぁぁぁっ! やめぇやぁぁぁっ!」


 すんでの所で手で遮られてインターセプトされる。

 さすがに始めての相手が同性というのは嫌だったのだろう。


 多分。初めて……だよな?


 知らんけど。


 それでも諦めずに口を尖らせむちゅ~っとさせながら抱きしめてはスリスリ撫で撫でを続ける俺の体。


 やべぇっ! コントロールがマジで利かねぇ!!

 今までは自分の一部としてしっかりコントロールできたのに!?

 完全に精神が分離しかかってねぇかこれ!?


「ええ加減に……せぇやっ! にゃぁぁぁぁっ! ふかーーっ! きしゃーっ!!」


 軽く本気モードの威嚇をされて、さすがに私ちゃんは臆したのか満足したのか引っ込むのだった。



 っておいおい、このタイミングでかよ……。



「ふーっ! ふーっ! かるるるるっ!!」


 目が結構マジだ。


 当然、しばらくの間お冠モードなティエラによるお説教が風呂場内に響き渡ったのは言うまでも無い。


 そしてひたすら謝り続けたのは俺だった。


 解せぬ……。




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