ヘルプコール1:冒険者様
何にもわからない。雰囲気で異世界物を書いている。
「はい、第3銀河ヘルプセンターです。ご用件をお伺いします」
呼出音もなく、平坦などこかやり取りを面倒くさがるような声が男の耳に届いた。
「何がどうなってるんだ、一体」
どれだけ放浪しただろうか、故郷を出発して幾年。
大した成果もなく、背嚢の重量が膝に来る日々。
たった今も、そう難しくない依頼に盛大に失敗してきた帰り道。
溜息の深さが、男の歩みを止めさせる数が増えたとき不可思議な気配を感じた。
首を片方に傾げたまま、近寄ってくる存在に男は咄嗟に身を引いたが、
避けられたゆらゆらとした浮遊物に動揺はない。
人と戯れるようにゆらゆらと揺れている。
男の背丈より大きい、そのモニュメントの上側をよく見ると、電子版に字が泳いでいる。
「お困りのようですから、是非当社の<キャンペーン>をご利用ください」
そんな一文だ。
「おわっ」
急な音声に驚くと、仮想体の絵が浮かんできた。
ポリゴンに映し出されるのは、襤褸切を纏った怪しげな老人。
声は妙に若かったがに貝殻を歪に加工したような珍妙な<カラクリ>をもっていた。
使い方も分からず機械を繁々と眺めていると、
途端に起動したのか、冒頭の声がした。
ーー。