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幸せな毎日に

短。

獣王と姫様は睦まじい夫婦になられ、お可哀想なお姫様は、お幸せな王妃様になられました。






 私は相変わらず姫様のお靴を磨き、お衣裳を仕舞い、御髪を梳かします。時々カナンの様子を見て、それもあっという間に立派に独り立ち。季節が巡る頃には姫様の周りには獣人の傍仕えが何人か配属されて、髪も衣装も彼らが用意します。

 どこかホッとした様子の同僚の事を横目に私は靴にクリームをつけ柔らかな布で拭きます。少し小さな姫様の靴。靴擦れもなさそうだと安心して知らず笑みを浮かべていたようで、「気持ち悪いわね」と同僚が吐き捨てて衣裳部屋から出て行きます。



穏やかな時間。

ずっと、続く時間。

獣王様は姫を慈しみ、お二人はず~っと幸せに暮らしました。







 陶器の割れる音は磨かれた床に良く響くと思いました。


 姫様のティールームは全てが絨毯敷きでは無いので砕けた陶器と中身の薬湯がとろりと散ってしまっています。

 驚いた姫様と、捧げたばかりの姫様のカップを持ったままの形の私の手。



 目の前で、最近入った新しい侍女。もちろん獣の国の方です。が、姫の飲もうとしたカップをはたき落したのです。

 ああ、勿体ない。


温めに作った薬湯でしたのに。


寒さに体調が優れない姫を思って、爽やかな甘さの蜂蜜とぴりりと刺激の効いた生姜、東方の甘味の強い茶葉。母国の国産のハーブをたっぷりと。


「ケイラ?」


新たな侍女の名を姫は呼ばれました。


「アズル!姫様を医師の所へ!」

アズルも、新しい騎士です。獣の国の。

「お前!」

『ケイラ』は私を睨みつけました


動揺したような侍女長に他の騎士達。

でも、獣の国の方はそうではない様です。

あっという間に他の騎士によって私は押さえつけられました。


姫様に毒を盛り殺そうとした罪で。


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