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獣の王

淡白な感じで超短ですが、よろしくお願いいたします。

 今や姫に従う使用人は少数。姫付きの侍女長、騎士が二名。姫の政務を司っていらっしゃった侍従様と補佐様。侍女は私と後一人。身分は貴族のご令嬢。彼女は侍女長様より爵位が上だそうで。


・・・少な過ぎる家来。

・・・お可哀想なお姫様。


 大広間での謁見には私は同席出来ません。ですから私は精一杯姫様を綺麗に飾ろうと思います。

「今日もありがとう。とても可愛らしい簪ね」

鏡越しに掛けられた声に頷きで返します。失礼な所作と解っていても、私が姫様と言葉を交わすのを侍女長は厭うていらっしゃるのでそうするしかありません。

 本当に姫様は使用人の事も良く見ていらっしゃいます。姫様は笑顔で愛しそうに御髪を飾る簪を撫でました。姫様の仕草一つで、私の心がぽっと温かくなるのです。





謁見での姫様は、それは凛々しくあられたと、興奮気味に騎士殿が話しているのを聞きました。

終始優雅に姫らしく威厳を持って、獣にも怖気づかなかった。とは、侍女長の弁で、その言い方はちょっと、と、思いましたが口をつぐみます。


 お部屋に帰って来た姫様は、やはりお疲れで軽くお休みになられるようでした。長旅でしたもの。それでも姫様は寝台にお入りになる前に私に「ありがとう」とお礼をくださいました。



 その夜の晩餐は、姫と王との婚約の披露目でもありました。


 晩餐の後、姫様は私にこっそり王の事を教えてくださいました。年の近い私を話しやすいと思って下さっているようです。王のお隣の席で、少しだけ、初めて飾らずお喋りをしたのだと。「とてもお優しい方」「凛々しくて素敵な方」だと姫は王の事をおっしゃいました。その時の姫様のお顔がとても嬉しげで、お幸せそうで、眩しく感じてしまいました。


そのお顔に、きっと姫様はお幸せになる。そう、確信いたしました。


 姫様が寝入っただろう所を見計らい場を辞します。姫について護衛をしていた騎士殿や他の方々は、まだ興奮冷めやらぬようで姫様の控えの間に集まっております。私は明日に備えて夕食を取ろうと思います。

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