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第六章 夾竹桃の精

「にゃーお」


 ん・・・?なんだか足元が暖かいぞ・・・。


「にゃーおん」


 むむっ!?足元に真っ白な仔猫が。


「おお、どうしたんだお前。」


 首輪もないし、野良かな。


「うーん。」


 あんまり触りたくないけど・・・。まぁ、あとで手を洗えばいいか。


「なんか、餌・・・・。」


 ああ、丁度いい。バックに魚肉ソーセージが入ってた。さっきディアポロを脅してもらったんだった。


「はい、やるよ。たんとお食べ。」


 仔猫は魚肉ソーセージをがっつき始めた。


「お腹がすいてたんだな・・・。」


 というか、フィアが近くにいるとどんな動物もそばに来てくれないんだよな・・・。あれは絶対フィアに怯えてる。あ、今日はなんか買いに行くとかでフィアはいないよ。夜には帰ってくると思うけど。


「よしよし。」


 頭を少しだけ撫でてやると、仔猫は気持ちよさそうに目を細めた。ウッ、可愛い・・・!!



 * * * *



「にゃー」


 また来たのか・・・。


「にゃんにゃー」


 あの日から仔猫は私がこの道を通るたびに駆け寄ってくるようになってしまった。いや、会うたびに餌を上げちゃう私も悪いんだろうけど・・・。


「なんですか?それ?」


 フィアが訝し気にこちらを見る。そういえば、なんやかんやでフィアはこの子を見るのは初めてだね。


「ちょっと前から餌をやっててね・・・。懐かれちゃったんだ。」


 ちなみに名前もつけた。キティという。・・・・おい、笑うなよ。別にハローな感じのキティをイメージしたわけじゃないからな。たまたまだ。


「ふーん・・・・。」


 ・・・待てよ。自傷行為始めないよね?マジで。お願い。


「・・・・切らないよね?手首。」

「・・・・ええ。」


 本当に?ねぇ?マジで?信じていい?その不自然な間が怖いの私だけ?



 * * * *



「あれ?」


 今日はなぜかここを通っても仔猫の姿が見えない。


「誰かに拾われたのかなぁ・・・。」


 喜ばしいことだけど、少し寂しい・・・なんて勝手かな。


「なんの話ですか?」

「仔猫のこと。昨日までいたのに急にいなくなっちゃったから。」

「ああ、そんなことでしたか。大丈夫です。きっとすぐに会えますよ。」


 ふーん・・・?


「あれ、手首・・・・。」


 また新しい包帯が巻かれてる。


「気づきました?」


 ・・・・最近、私の知らないうちにフィアが手首に傷をつくることが増えた気がする。昔は、いつも見せつけるように傷をつくってたのに。


「でも、大丈夫です。この罪はすぐに償われます。代償によって。」


 そういって、淡く微笑むフィアに私はなぜか恐怖を覚えた。




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