第三章 踊りの情景
ごめんなさい。遅くなりました。
「あ。」
うん?
「どうしたの?フィア?」
ワインセラーのぞき込んで。
「葡萄酒が切れました。」
え?マジで?早いね。・・・あ、フィアは・・・というより、ルレザンの血をひく人は未成年でもワインを飲むことが法律で許されているよ。それには、ルレザンの血を引く人はしばらくワインを飲まないと昏睡状態に陥っちゃうから、というれっきとした理由があるからだけどね。ちなみにルレザン家の人と一緒に暮らしている場合は未成年だとしても飲むことが許されている。私とかね。これに関しては理由不明だけど、私はルレザン家の人はワインの達人だからその人の酒量の管理もしっかりとできるから、じゃないかと思ってる。あ、私も時々フィアにガン見されながら飲んでるよ。
「・・・・地下室に取りにいかなくては。」
え?
「地下室ってなに?」
「地下の部屋です。」
いや、それはわかるけど。
「そんなもんこの学園の寮に備え付けられてたの!?」
そんな話聞いたことない。学園の地下室とか地下通路って、せいぜい聞いたことあるとしてもあの人の噂としてだけだしなぁ・・・。
「このお部屋に特別につくって頂きました。」
「誰の命令で?」
「僕のお願いで。」
おい、お前のお願いは命令に該当するんだよ。
「それあり?」
駄目だよね?勝手に学園の地下に部屋つくるとか。
「ミスルトゥさんもつくっているようですよ。それにあの人だって実際に持っていますよ。」
ええー・・・。その二人がやってても、とても大丈夫とは思えない・・・。逆にもっと不安になる・・・。
「いつからそんなもんつくってたの?フィアは。」
「葡萄酒の方は結構最近ですよ。葡萄酒が切れるたびに実家に連絡して送ってもらうのは面倒だな・・・と最近思い始めたので。知ってましたか?葡萄酒の保存は地下室での保存がもっとも最適なんですよ。」
へぇー。って、葡萄酒の方は、って?他にもなんか部屋があんの?
「見たいですか?」
「え?」
「地下室。」
「それは・・・まぁ・・・?」
気になるっちゃ気になる・・・。
「では、一緒に行きますか?」
「あ、うん。」
一回ぐらい見てみるか。
「では、ちょっと待っててください。」
そういうと、フィアはカツカツとブーツのヒールを鳴らして私たちの部屋の中央まで歩いて行った。そして、床に膝をつくと床をいじりはじめた。
「え、なにしてんの?」
ついに床への愛にも目覚めちゃった?いやいやいやいや、これ以上厄介なものに目覚めてもらっちゃあ困るから。やめてね?
「・・・・できました。」
しばらくすると、フィアの前に大きな四角い闇ができていた。
「・・・・え、これが地下へと続く穴?」
「はい。では行きますよ。」
そういうと、フィアはなんの戸惑いもなく闇に吞み込まれていった。階段があるらしく、カツカツとヒールの鳴る音がする。
「・・・・ルタ、来ないんですか?」
ひえっ、フィアの右目の菫色だけがこっちの光に反射して少しだけ光ってる!!綺麗だけど不気味だ。じゃなくて、
「あ、えっと、今いく!!」
そうフィアに言い返すと、懐中電灯を棚から引っ張りだし、私もフィアを追うように暗闇に呑まれていった。
* * * *
「着きました。」
フィアの背を追って・・・どれくらいだろう?暗闇にいると時間の感覚がなくなる。私がずっと待ち望んでいた言葉をフィアがようやく発した。ちなみに、光は私が持ってきた懐中電灯の光しかない。割と本気で。いやー、フィアって暗闇でも目が見えてるっぽいんだよなー・・・・。というか、逆に暗闇のほうが逆に元気そうっていうね・・・。だから地下に光ないんじゃね?って思って懐中電灯を持ってきたら、見事にそうだった。持ってきといて良かった・・・・。
「僕はワインをここでしばらく選んでいるので、その間は好きに見ててください。」
うん。・・・・といってもあんまり見るものなさそうだけど。懐中電灯の光だけじゃ、ぼんやりとしか見えないし。
・・・・・あ、さきに地上の部屋に戻ってようかな。まぁ、階段下りた後は一本道っぽかったし、まっすぐいったらつくでしょ。




