第二章 妖精の入場
フィアが病んでる描写ががっつりと出てきますのでお気をつけください。
「へっへー!!オイラ、ミスルトゥの人形貸してもらえることになったんだー!!」
マジか。あの人、滅多に人形売らないのにすごいじゃん。
「いやー、幼馴染って大事にすべきだね。持つべきは優しい幼馴染だよ!!」
「え?ミスルトゥとディアポロって幼馴染だったの?」
「いや、ミスルトゥと同室の子と幼馴染なんだよ。」
へー。
「その子が・・・うん。ミスルトゥと仲いいみたいで。」
「へぇー。私もその子と仲良くな、りた
「え?」
「・・・・クナイナー・・・。」
・・・・ディアポロ。気づくんや・・・。これが私の本心ではないことに・・・。
「ディアポロ、ちょっと表でようか?」
「え!?なに!?オイラ殴られるの!?リンチ!?」
「ええい!!黙れい!!とりあえず、この部屋から出てけ!!この眼鏡!!!」
「ひ、酷い・・・・!!うわーん!!!!」
そういうと、ディアポロは部屋から飛び出していった。
ごめんな・・・ディアポロ・・・。この部屋が血塗れになることよりは全然マシだろ・・・?そんなのお前も見たくないよな?な?
「・・・・よし、唇を噛むのをやめようか。フィアさんや。」
紫色の薄い唇からダラダラと血が垂れていますよ。
「うん、じゃあ次は掌から爪を離そう。」
白を通り越してもはや青白い掌からも血がダラダラと。
「・・・よーしよしよし。さぁ、フィアよ。こちらにくるがよい。」
虚ろな瞳をしたフィアが私の目の前にふらふらとやってきて横座りをした。タイミングを見計らって、私も屈み、フィアと目の位置を合わせる。いや、目の位置を合わせたところで視線は合わないんだけど・・・。
「フィア、なにがダメだった?」
フィアは良くこうなる。私はその度にこうやって彼に尋ねるのだ。が、答えが得られたことはない。
「・・・・ねぇ、殺死て、殺死てください・・・!!貴女だってずっと思ってる!!僕なんか死んで死まえばいいって!!!さぁ、ほら早く!!貴女の思うがままに!!貴方の幼き頃のように!!」
・・・・・・。
「・・・ごめん、ごめんね。でも、今の私はそんなこと思ってない。フィアに生きて欲しいって思ってる。」
「そんなの嘘です!!ねぇ、僕は死んで死まいますよ!!貴女のせいで!!貴女の、せいで!!」
「嘘じゃない!!たしかに私は昔・・・でも・・・・ごめん!!本当にごめん!!」
「ねぇ、謝る前に僕を殺死てくださいよ。僕をこんな罪塗れの身体に死たのは貴女、ルタなんですよ。責任とってくださいよ。ねぇ、ねぇ・・・!!!」
・・・・。
「ああ、貴女がそうしないのでしたら僕が。僕が自らの身体に傷を。」
「・・・・フィアはどうしたら死なない?どうしたら自らの身体を傷つけるのをやめてくれる?」
フィアは死のうともする。が、死なない程度に自らの手首をただ傷つけるときも多い。
「貴女が罪を犯さなければ。」
「ねぇ、罪ってなに?」
その私の言葉を聞くと、フィアは淡く微笑み自らの傷だらけの手首を曝け出した。
「これは貴女の昨日の罪、これは貴女の先週の罪、これは貴女の三週間前の罪、これは、
罪、と言いながらフィアがなぞるのは自らの手首の傷。
「ああ、これは・・・一番大切で愛おしい罪。貴女が最初に犯した罪。」
フィアはこちらに背を向けると、自らの服の背面をはだけさせ、手首の傷よりも遥かに大きく痛々しい背の傷を私に見せつける。
「・・・・・っ。」
ああ、嫌だ。その傷を見せないでほしい。特にその傷を見せられると私はフィアの願いを全て叶えないといけないような気分になる。
「僕は、ルタの罪を全て背負っています。そして、これからも貴女の罪を背負い続けると誓いましょう。僕の身体に貴女の罪を刻みつけましょう。貴女の罪は僕のものなのですから。ああ、忘れないでくださいね?貴女のせいですから。全ては、貴女が僕を死へと追いやっているのですよ。貴女が罪を重ねなければ僕はこんなことにならない。僕は死を乞わない。僕は自らの身体に傷をつけない。」
罪、罪って・・・その背中の傷以外、全部私が誰かと話してたりとか、動物と触れ合ってるときとかに突然フィアが病み状態に突入して自分でつけた傷じゃん。
「さぁ・・・!!だから早く!!僕に死んで欲しくないのであれば僕の身体に罪を!!・・・ああ、もしかして今更偽善者ぶるつもりですか?ふふふ・・・いいですよ。いつも通り僕が罪を刻みましょう。」
・・・・・・・。
「フィア、やめよう。」
「いいのですか?僕の身体に罪を刻まないのであればあの者に罪を償ってもらわなくては。」
「罪なんかどうでもいい。だからなにかを傷つけるのはやめよう。」
罪がなんなのかはわからない。でも、ね?お願い。やめよう。
「は?」
フィアの先ほどまで恍惚としていた表情が一気に無表情になる。
「・・・ねぇ、僕に貴女がしたこと・・・忘れていませんよね?」
・・・・・・。
* * *
翌日、フィアの手首と掌には真っ白な包帯が巻かれていた。
フィアが病み状態でしかも興奮しているときには「し」が「死」となります。




