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第十章 激しさの精 - 奔放に

「サルウェーテ!!」


 げっ、この声は・・・!!


「やあやあ皆さまごきげんよう!!」


 扉を吹っ飛ばすような勢いで、だが優雅に入ってくる人はこの人しかいない。というかこの人にしかできない。そして、舞踏会の日に押しかけてくるような迷惑な人はこの人しかいない。そもそもこの人本当に人なのか?


「ロゼさん・・・・。」

「おやぁ?名前を覚えてくれていたのですね!そんな貴女に感謝とプレゼントを!」


 と、言いながらどこからか暗いピンク色の薔薇を取り出し、手渡してくる。


「結構です・・・。で、今日はなんの御用で?」

 

 というか、何回も会ってるし、この人のことを知らない人はこの国にいないだろう。まぁ、それを言ったらフィアもミスルトゥさんもだけど。


「フィアーノさんを探していましてね!どこにいるかご存知ですか?」

「目の前にいますけど。」


 私の隣にいるが、この人の目は節穴なんだろうか。いや、そうなのかもしれない。あの目も実は仮面なのかもしれない。あの青緑色の目はただの飾りなんだ。うん。そういえば無駄に綺麗だしね。


「おや!フィアーノさん!!そんなところにいたとは!!気づきませんでした!」


 失礼だな、おい。


「フィアーノさん、次の公演はいつになさいますか?このロゼ・ロードン、フィアーノさんのためでしたらローゼン歌劇場、いつでもお貸ししましょう!!」


 フィアーノのため、というより、フィアーノの音楽のため、または、ローゼン歌劇場のため、が正しいのではないだろうか。


「結構です・・・・。」


 ああ・・・フィアがどんどん私の背後に隠れていく・・・。もともと隠れ気味だったのに・・・。


「そういわずに!!」

「嫌です。」

「貴方の音楽の才能は評価されるべきです!!」

「貴方の、ローゼン歌劇場で、やるのが、嫌、なんです。」

「なんとまぁ!!でも、ルレザン家歴代当主さまもローゼン歌劇場で功績を残されているのですよ!!」

「・・・・ルレザンのヴィナグラート音楽堂で僕は功績を残すので・・・・。」

「いえいえ、そちらだと学園の外れではないですか!!」

「それがルレザン家なんです。お宅のロードン家みたいに真ん中でドーンがルレザンじゃないんです。」


 ・・・・真ん中でドーンって・・・ぷっ。確かにローゼン歌劇場は王都の中心にある学園の中の真ん中にあるけど。


「端の方でちまちまやっていたところで、貴女の素晴らしい音楽の才能が人々に知れ渡るとは思えません!!」


 端の方って・・・失礼だな。さっきから。まぁ、ヴィナグラート音楽堂は学園の外れにあるから、ローゼン歌劇場にくらべれば端の方かもしれないけど。


「僕は大勢の人に見られるのが嫌いなんです。ヴィナグラートぐらいだったらまだしも、ローゼンは人があまりにも入りすぎるんです。」

「・・・・はぁ。仕方ありませんねぇ・・・・!今日のところは諦めましょう。でもまた来ますよ!!それでは!」


 そういうと、ロゼさんは薔薇の香りを残して空気に溶けて行った。


「嵐みたいな人だな・・・・。」


 アイドルじゃないほうのね。


「今は忙しいので、はっきり言って来ないで欲しいです」

「ははは・・・・。」


 同意。


「ああ!!申し訳ありません!!うっかり忘れていました。こっちが本題だったのに!」

「なんですか?」

「フィアーノさん。貴方、人間になれていますか?」


 は?なにを言っているんだ?


「・・・・ええ。なれていますよ。お陰様で。」

「そうですか!それは良かった!」

「・・・僕なんかより、ミスルトゥさんの方に行ってあげたらどうです?」

「ふふふ・・・!同じ台詞をミスルトゥさんの部屋に入る前にミスルトゥさんに言われました!ついでに言うと、訪ねてくるんだとしたらもっと隠密に訪ねてきて欲しいとも言われましたね!」

「・・・僕も全く同じことを思います。」


 ・・・・どういうこっちゃね?


「ふふふ。くれぐれも能力の暴走にはお気をつけを!耐えきれません!」

「・・・はい。」

「それでは!アディオス!!」


 先ほどと全く同じ方法でロゼさんは消えていった。

 ・・・・今度こそは戻ってこないよね?




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