第八話 バリアの技名をバミュアートと俺は呼ぶ
「いただきま~す!」
「いただきま~す」
あれから数十分後にできたご飯を今から食べるところ、だがやはり先程の事が頭から離れず何とも言えない不安が残る、とそんな心配をしている一方でホマレ、こいつは平然とした顔、というよりいつも通り笑みを浮かべながら食べている、この本人自体が先程殴られそうになったはずなのにこの表情だ、もしかしたら我慢をしているのかもしれない、がこの顔を見ているとそれはありえない、そう確信的にわかる
「?さっきから私の顔みてるけど何かついてる??」
「・・・い~や、違う全然違う、ただこれからどうしようかと思って悩んでる俺に対して目の前にいるこいつは平然とした顔をしてて羨ましいなおい、って思ってただけだよ」
能天気なのかもしくは危機感が薄れているのかもしれない目の前のやつに俺は半分呆れ半分羨みながら食べている、この自分の心配症にもそろそろ慣れないといけない、そう思っているがそうにもいかないわけで
「もぐもぐ、あ~、さっきのあのお嬢様の事?その事については考えても仕方ないしご飯がまずくなっちゃうからできるだけ考えないようにしてるよ、それに元はと言えば向こうがいきなり暴行してきたわけだし、私達が悪い事なんてなにもしてないんだから堂々としてればいいんだよ!ほらほらナツムもそんなくだらない心配なんかしてないで私が作ったご飯を食べて元気だして!」
微笑みながら自分の子供にご飯を食べさせるように俺の口元にご飯を寄せてくる、ここだけを見てると俺が怪我をした人、またはホマレの子供、そして俺の母親みたいな図になっているに違いない
「・・・はぁ~、お前のそのなんともでもなるだろ思考が羨ましい限りだぞ…」
溜息を吐きながらそんな捨て台詞を吐きご飯を口に入れる、ちなみにただのご飯じゃなく混ぜご飯、うまいと思える一方でまたも頭の中に先ほどの事が蘇ってくる、ができる限りその事は思い出さないようにした
「どう?おいしい?今日作った中で一番の自信作なんだ~って言っても今まで何度も作った事あるから自信作もなにもないんだけどね~」
「もぐもぐ、普通に美味い、としか言いようがねぇよ…まぁこれだけは言えるな、俺が作ったら真っ黒焦げにしてもはやカラカラの有毒まっしぐらの飯を作れるな、これは確信できる!」
そんな捨て台詞を吐きながら自分で言って自分で笑った、があまりにも寒すぎる台詞にため息が出た、そしてそんな俺をホマレは何か哀れみなような眼で見ている
「・・・なんだよその目は」
「い、いやぁ、ナツムがそこまで変な事言うほど落ち込んでるとは思わなくてさ、いったい何があってそんなに落ち込んでるの?別にこっちは何もしないんだから平気でしょ?」
ホマレは流石に何か落ち込み具合がおかしいと思ったのか食べるのをやめこちらを見てくる、確かにこっちはなにもしていない、が口では言ってしまった事がある
「・・・確かに何もしてはいない、がホマレ、お前が食材選んでる時に俺はあいつに言っちまったんだ、今まで言えなかった事を・・・」
「っえ・・・」
そこでホマレは手に持っていた箸を床に落とし顔を真っ青にしている、しかも犬耳もなんか元気なくなって垂れてるし・・・なんなんだよその顔漫画アニメじゃあるまいしそこまで顔真っ青にするって反ってお前の事心配になるぞ、まじで
「え~っと、だな確か何かで言い合いになって・・・」
『ん?なに?俺の顔に何かついてるかな?後最底辺の俺なんかに別に話しかけてくれなくていいですよ?最底辺な俺なんかに話しかけてたらせっかくのお嬢様っていう称号と最上位っていう肩書きが汚れますよ?後さっきバカキョウとかバカマレとか言ってましたがそんな人どこにいるんですか?あ、もしかしてわざわざその人達の事待たせてるのに俺なんかな最底辺の人に話しかけてくれたんですか?ありがとうございます!、では』
「確かこんな事言ってた気がするな・・・ってあまりにも感動的すぎてその時自分が言った内容覚えてたぞ!すげえ!」
なんてものすごくどうでもいいことに喜んでいる一方でホマレは目をグルグルしながら真っ青になっている、やはりこいつの方が健康的、精神的な面で心配だ
「おい、ホマレお前ものすっごい顔真っ青になって目グルグルに回ってるぞ、病院行くか?流石の俺も心配だ、勿論金は俺が出すから心配すんなよ!」
俺は目の前の現実を受け止められる事ができずそんな冗談を口に出した、わかっている、ホマレがこんなに真っ青になっている理由、それは俺が原因だ
「っへ、へぇ~、そうあんだ、さ、流石私の幼馴染、だ!!凄いね!あのお嬢様にそんな事言えるなんて!すごいすごい!私うれしいよ!幼馴染として!」
考える事を放棄でもしたのかそんな事を笑いながら言っている、現実を受け止めている俺からしたらまったくもって笑える事じゃないこの事態
「・・・ホマレ、俺、お前と今まで生きてきてなんだかんだ楽しかったよ、お前が作る飯とかお前がやってるよくわからない女装とかそこらへん含めて全部楽しかった、ということでこれからもお前と一緒に楽しく過ごしていきたいという事で今からこの家全体にバリアを何枚も張るから協力してくれ、いいな?」
「!!そ、それはつまりナツムからの告白てきな事として受け取っていいってことかな!?こ、ここまでナツムが素直になった事なんてないよ!一大事だよ!やばいやばい!やばいけど嬉しい!」
そんな事を言いながらホマレはリビングから出ていき玄関付近のところ全体にバリアを張り巡らせている、そんな様子を俺は微笑みながらふと思った事があった、というより忘れていた、本当に心配するほどの事が起きるのか、と、だが用心に越した事はないと思い俺もバリアを部屋全体に張り巡らせる事にした
「バミュアート」
漫画の世界のように技一つ一つに長ったらしいセリフをつけるわけではなく少し捻りを付けこういう技名にしている、そして技名は格それぞれ皆違う言い方をする、俺はバミュアート、と呼んでいる、この技はただのバリア、初歩的な技の名前、何故そう呼んでいるのか、なんとなくかっこいいと思っているから