第七話 これが心の癒しである
「っやってしまった…やっちまったぁぁぁぁ~~!!」
あれから帰ってきては数十分後に冷静になった俺はいろいろと考え、そして今に至る、かなりまずい、そしてかなり恥ずかしい事をした、そう思い出しては自己悲嘆に浸っている途中、しかも帰ってきた時間はもう夜の19時というなんとも憂鬱な時間
「気にしたってしょうがないよ、もうやっちゃった後だしね~」
「っやっちゃった後だしね~じゃねえよ!?って、お前はお前でなんなんだよその恰好・・・」
コスプレ、という言葉を知っているだろうか、あるアニメの犬と人間が混じった人種、というべきだろうか、そのキャラクターのマネをする為わざわざその服やら犬耳やら全て買っては着たりしている、それはあくまで漫画、アニメの世界でだけ許されたような恰好、だが今目の前では普通にそんな恰好をしている
「ん?その恰好って、犬耳というか犬の帽子?と服?」
何故か自分で買ったはずなのに疑問気味に言っている、なんともまぁ曖昧というか、ツッコムのが非常にめんどくさい、何を言ったらいいのかもわからない、ただただ面倒
「あ~、なんでもない、俺が悪かった、だからそれ以上何も言うな」
「はいは~い、そんな事ぐらいわかってますよ~、ナツムがめんどくさがりで途中で会話が終了することなんてたくさんあったしね~」
そんな事を言いながら哀れみのような呆れたような眼を向けてくる、そんな顔をされてもこれは事実であり、本当に面倒なのである、そして今ホマレは何をしているのか、それは晩御飯の準備をしているのである、それだけの話を聞くと今日は食べてばかりの時間のような感じがする、いつもはもう少し有意義に過ごしているはずなのだが、そしてそれと同時に西明寺麗華の事を思い出し頭が痛くなると同時にまた後悔の念に押される
「…はぁ~~…ホマレ~!!」
「ん~、なに~?どしたの?ナツム君?」
作っている料理の味見をしながらお玉を持ってくる、そして丁度おたまについていた汁が俺の頬に付いた、めちゃくちゃ熱い、が動く気にもならない
「あっ、ごめん!大丈夫?」
「…そんな事より嫌な事が頭の中に染みついて非常に気分が悪いんだけどよ…」
しかも眠気も同時にきて非常に心の余裕がなくなっている状態、次に少し嫌な事があった場合死ねるな、そう思った、そしてそんな事を思っているうちにホマレは
「気分が悪くなった!嫌な事があった!そんな時はホマレ特性のスープを飲むべきだよ、ナツムきゅん!」
そんな事を言うと小さいお椀によそい俺に渡してきた、食べる気にもならないが仕方なく飲む、これはなんの自慢でもないがホマレの料理はめちゃくちゃうまい、ホマレ特性スープ、というだけあり不思議と怒りや焦りがなくなる、理由はわからないが落ち着く
「・・・癒されるな~…うまい」
「!ふふふ、私の料理は人を癒す成分が入っています!ちなみにその成分とは私のあ・い・じょ・う、だよ?、ナツムきゅん!」
目を輝かせながらそんな事を俺の真ん前で言ってくる、正直何とも思わないしこのスープを顔面にぶちまけてやりたい所だがそれはスープに失礼、それにホマレにも失礼、だからやらない、その変わり
「あ~、そうですか、愛情かぁ、僕愛されて嬉しいな~」
「んっ、もっと撫でていいんだよ?」
本当に犬になったかのような顔をしている、現実の人間にしては完成度が高いようなそんな感じがする、と同時にこのとてつもなくくだらないやりとりが心地がいい、そう思った