兄バカ登場
こんにちは、山吹 鈴音です。
私が語り手なるのはかなり久しぶりですね。私は物語ではサブキャラクター的ポジションなので目立つのはどうかと思うのですが。
でも今回は順番で語り手するので私の番が回ってきたと言うことです。
実際結構楽しみですけどね。
では行きましょう。
今日は週一回の女子会。
放課後いつものメンバーと集まって今日はカラオケで女子会です。
ミカちゃんと佐奈が「歌いに行こ!」って熱烈推されたから行くことに。
でも悪い気はしてないよ。テスト期間で勉強ばっかりだったから息抜きとしてはすごくちょうどいい。
皆でカラオケも初めてね、佐奈と渉君とは二人で何回あるけど。
でもこうやって皆の歌声を聞くのも個性が出ていいわね。
佐奈は透明感があって落ち着いて聞いてられる歌声、ミカちゃんはとっても楽しそうに歌う、花梨ちゃんは高音と低音の使い分けがすごく上手で歌が得意そうね。
メタちゃんはアレンジがすごくてラップも入れてる、なんかパリピって感じがする。
そして私は・・・
「鈴っちって案外・・・独特な歌声だねー」
メタちゃん、不器用なフォローは辞めて・・・とは口には出せない。優しさだもんね。
改めて言うと私は歌が下手。自分でも分かってる、女性なのにあんまり高い声が出ないのよね。声がコンプレックスなのよね、もっと高い声出したいわ。
でも渉君は「完璧な人間なんて存在しないだろ、何かしらの欠点がある方が可愛い。
まぁ、鈴音は違う意味でも可愛いと思うけどな」ってちょっと顔を赤くして言ってくれた・・・その一瞬記憶が無くなったけど渉君の照れた顔はやばかった。語源力無いのは百も承知だけどそれぐらいイケメンで可愛かった。
こういう話は置いておいて皆しばらく歌った後で皆で話してた。
「で、花梨ちゃん最近どうなの?」
ミカちゃんが花梨ちゃんに質問してる。
「最近って何が〜?」
「恋人作りは順調ってこと」
この会話前に私と佐奈がやってたのほとんど同じような気がする。
「ん〜どうなんだろ〜、進展あるのかな〜?それに好きな人も言うのも恥ずかしいよ〜」
サラッとすごいこと言ったような。
「花梨ちゃん、好きな人いるの?」佐奈も驚いて聞き返してる、私もすごく驚いてはいるけど。
「いるよ〜、だってその人すっごく良い人なんだもん〜」
花梨ちゃんの良い人の基準が分からないけど、身近に花梨ちゃんと仲が良い男の人・・・弟の空君しか心当たりがない、そんな訳無いと思うけど。
「梨りんの好きな人って冬じゃないの?」
・・・・・えっ、その場が沈黙で固まった。
花梨ちゃんは顔を真っ赤にしてメタちゃんにポコポコと痛くないように叩きながら
「メタちゃん!!なんで言っちゃうの!?」「だって言っちゃダメなんて言われなかったからさー」
「今このタイミングじゃ絶対無いでしょ!」「えーそうかなー?」
メタちゃん多分だけどわざとこのタイミングで言ったんじゃ・・・
「花梨ちゃん本当なの、冬君が好きって?」佐奈は冷静を取り戻して花梨ちゃん再度確認した。
口をもごもごしながらも花梨ちゃんは本心を話した。
「・・・ちょっと前に好きな人が分からないって言ったけど今ならはっきり分かるの。
私は冬君が、好き・・・もう〜恥ずかしいよ〜皆の前で言うつもり無かったのに〜」
でも凄いよ花梨ちゃん、好きな人を皆の前で言うのってすごく勇気がいると思う。
それほど冬君の事が好きなんだね。
「そういう皆はどうなの〜?私だけに聞くのは違う気がするんだけど〜」
皆の顔が一瞬にして強ばってる。まさかの展開に皆緊張し始めてる。
「私はもちろん渉君よ、これでも付き合ってるんだから」
これで他の人言ったらどれだけ私は浮気者なのよ。
「鈴音ちゃんは分かるよ〜。私は三人の好きな人聞きたいな〜」
花梨ちゃん意外と追い込んで行くね。自分だけは嫌ってことね。
「ウチは別にいないかな。お気に入りとか話してて面白いとかになったら蒼とか渉とか冬になってくるけど恋愛感情ってのは無い」
メタちゃんは何となくだけどそんな感じがするのよね。特定の人を好きにならない・・・偏見がすぎるわね、メタちゃんに失礼よ。
「後はミカちゃんと佐奈ちゃんだけ〜ほら早く早く〜」「い、いや私も別に・・・」「そ、そうだよ、私とミカちゃんは別にそういう人いないよ・・・」
二人共明らかに目が泳いでる、明らかに嘘って分かるわよそれは。
「ふ〜ん、皆あんまり好きな人っていないんだね〜」それを信じるのが花梨ちゃんだった。言ったことを基本的に信じちゃうから、そこはちょっと心配になる、この先変な人に騙されそうで怖いよ。
さすがにメタちゃんも空気を読んで嘘って言わないのね。
こうして夜が更けていって、皆帰ることに。
今考えると私って渉君と付き合ってるのね。学園の王子様的な存在で男子や女子も憧れを抱いている、たまに不安になるのよね。渉君は私と付き合ってて満足してるのかって。
でもこんな不安も無くさないと、渉君の彼女として、もっと釣り合う人にならないと!
私はそう考えながら家に帰った。
翌日、学校に行って普通に授業を受けて普通の日を送った。渉君とも普段と変わらずに話して皆とも話した。
そんな午後、六限目の授業が終わって、後はHRのみになった時だった。HRまでは少しだけ時間があって渉君と話している時に、渉君の携帯が鳴り始めた。
「悪い鈴音、ちょっと出てくる」「うん」席を外して教室の隅で電話に出ててから突然「えっ!」と、私は聞こえるぐらいの少し大きな声で驚いていた。渉君が驚いてるなんて珍しい、いつも冷静で焦ったりしないのに、大丈夫なのかな?
電話を切ってこっちに戻ってきた渉君はどこか浮かない顔をしてた。
「何かあったの?」堪らず聞いてみたら小さくため息をはいて「妹からの連絡で兄さんが帰ってきてるらしい」「お兄さん?」「ああ、俺の八個上で二年前に上京して正月ぐらいにしか帰ってこないのになんで突然・・・」
初耳だった、妹さんはいると言うか紹介してくれたけどお兄さんがいるのは知らなかった。なんで教えてくれなかったのかな、それにお兄さんが帰ってきて浮かない顔をしてるのもちょっとおかしいなぁ。
「それにいつの間にか姿を消したらしい、何か嫌な予感がする」いつの間にか姿を消すお兄さんって一体どういう人?
疑問が広がる中で、何か廊下がザワザワしてきた。後は帰るだけなのに何があったの?
すると、テンションの上がったメタちゃんが「鈴っち、渉!校門の前で超絶イケメンがいる!!学校にいる女子全員釘付け!
しかも、若干渉に似てるし!」
似てると言葉にした途端に渉君は椅子から立ち上がって「今、校門にいるのか?」「えっ、うんそだけど」渉君は教室から出て走り出した。
わ、渉君!?無意識に私も渉君の後を追った、足が止まらなかった。
渉君が向かった先は学校の校門、後を追った私も渉君の後ろに立った。でも渉君は私に気づいていないみたい。
校門の前にはある男の人が、渉君よりも少し背が高く、髪型は前髪が交差しててもみあげは顔よりも長くて襟足はそこまで長くない。
何より、渉君に似てる。もしかしなくてもあの人が渉君の・・・
その人は渉君を見かけて少し驚いた表情をした後に渉君に近づいて・・・
「渉!元気にしていたか我が弟よ!!律儀にこの兄の元までやってくるとは僕はなんて愛らしい弟と妹持ったものだ。ならばこの兄である時雨も弟を学校から迎えに行くのは当然のこと、こんな出来た兄は世界にも有数しかいない!無論、僕こそは完璧な兄であると言っておこう、言うまでもないんだがね!はははははっ!!」
思い切り高笑いしてすっごくテンションが高い。あれが、渉君のお兄さん?なんと言うかこう、自信が満ち溢れ過ぎてるような。
「・・・はぁ、まさかとは思ったが学校に来るなんてな」「授業はもう終わってるんだろ?だったらさっさと帰ろう!久しぶりの兄弟の再開だ、積もる話もあるんじゃないか?」
「別に話したい内容なんて特に無いしそもそもまだHRがある、校内に入られたら迷惑だからここに来ただけだ」
「学校の中に入るわけないだろ、だが渉が呼べば僕はいつだって授業参観に来てもいいんだよ」「来るな!」
「所で君の後ろにいるのは誰だい?」
お兄さんが私を指さし、渉君も後ろを振り返ると私がいることにも驚いたようですぐに私に近づいて
「鈴音!なんでここに、いや、これはその・・・」落ち着きがなくてオドオドしてる「渉君とりあえず落ち着いて」とにかく私が渉君を落ち着かさないと、まさか私が渉君に落ち着いてなんて言う日があるなんてね。
「ふむ、なるほど、さしづめ君が音に聞く渉の恋人と言うわけか」
お兄さんは至った冷静で私が渉君の彼女とすぐに理解したよう。お兄さんだからとりあえず挨拶はしないといけないよね?
「あ、あの・・・」「鈴音、危ないから下がってろ」あ、危ない?
「失敬だなぁ、それではまるで僕は危険人物みたいじゃないか」「充分危険人物みたいなものだろ」
こんなやり取りをしてる時に「おーい、渉!鈴音!」後ろから蒼君が走って来た。
「お前らHRまだあるぞ、先生怒ってるぞ。とりあえず教室戻ってこい。挨拶とかはその後でいいだろ」
そうだ、まだ一応授業があったんだ。完全に忘れてた。
「おや、蒼ではないか。久しぶりだね、僕に会いたくてそんなに急いでいたのかね?」
「話を聞いてください時雨さん。HR終わってから話をしに来ますから」「そうかい?ならば仕方ない。僕はここで待ち続けることにしよう。無論HRが終わったらすぐに戻ってくるんだよ、まだまだ話し足りないことが僕も渉もあるからね」「俺は無いよ」
こうして、蒼君の助け?もあって一応HRを受けることに。ちょっとだけ先生に怒られただけだったけど。
「改めて自己紹介をさせてもらおう、渉とその仲間達!
僕は林翠 時雨!渉の兄であり、葉月の兄!以後よろしく頼むよ!!」
放課後、いつものメンバーと時雨さんも一緒で教室にいる。
「だから学校に入るなって言ったのに・・・」「はははっ!問題は無いだろう、なんだって授業はもう無いんだからね!」「そういう問題じゃない!」
渉君が学校に入ってこないように止めてたんだけど全然言うこと聞いてくれなくて学校に入ってきたの。多分渉君が思ってる以上に問題ないと思うけど。
「ところで僕はまだ君達の名前を知らない。自己紹介をしてくれるかね?」
最初に自己紹介をしたのは蒼君。
「俺は知ってるからいいと思うけど一応、風間 蒼です。久しぶりですね時雨さん」
「うむ、最後に会ったのは蒼が中学を卒業する時か。あの頃に比べればかなり垢抜けたんじゃないか、立派な高校生だな。
まぁ僕は中学の時からイケイケだったけどね!」
「褒めらた気がしない」
「あんたあの人のこと知ってたの?」「昔に正月辺りに渉の家に行った時に会ってた。その時からあのテンションだった」
昔からのテンション・・・なんだか渉君の苦労が目に浮かぶような。
「じゃあ次は私で。神原 天使です」
「ほう、天使!つまりはエンジェル!!赤ん坊の頃から神の遣いでもある天使の名を自らの名称にするなんて!
それほどまでに可憐で美しかったのだろう、成長した姿は僕の目を持ってすれば天使であると言い張っても問題無いはずだ!」
「えっと、褒められてる?」
言い回し的に回りくどいけど多分可愛いって言ってると思う。
それと、本当に天使だしねとはさすがに言えない。
「では次に私が、白石 佐奈です。渉君にお兄さんがいることは知ってましたが初めてお会いしますね」
「君が佐奈だったのか、渉の昔からの友人とは聞いていたよ。とても優しそうで純白な心の持ち主と見たよ。君であればどんな傷ついた人でも温もりで暖めてくれるであろう!」
佐奈は笑顔だったが明らかに困った顔だった。
「僕は雨宮 冬です」
「冬と言うのか。四季の季節を付けるとはなんとも華麗。冬は儚い印象だが僕はそうは思わない、美しく綺麗に舞う雪、これだけでも冬は存在する理由になる。君もその内の一人だよ」
「・・・あぁ、なるほど」冬君は納得してる風に頷いていた。
「私は桃谷 花梨です〜」
「穏やかな第一印象を僕に与えてくれたね。でも実際穏やかで優しい性格の持ち主なのだろう。きっと素敵な人に恵まれるだろうね」
「そう言って貰えると嬉しいです〜」花梨ちゃんは純粋に嬉しがってるようね。
「う、ウチは米田 姫兎って言うっす!あ、あのこれからよろしくっす!!」メタちゃん?珍しく緊張してる?人見知りとかする子じゃないのに・・・
「おっとそう緊張しなくても大丈夫。初対面で僕のような人に会ったことがなく緊張するのも分かるよ、だけど僕はどんな人でもウェルカムだ!僕に会ってくれるだけでも僕は幸せで君も幸せになれるはずさ」
「友達をナンパするなよ」「ナンパ?ノンノン、これは僕なりの挨拶さ。緊張を解すためには僕は言葉を選ぶ、それが今の結果だよ」「解すって逆に緊張させてるんじゃ?」
でも、時雨さんすごいね、皆の挨拶だけであんな瞬時に言葉が出てくるなんて。渉君、お兄さんがどうして嫌いなのかな・・・
「そして最後は君だね、自己紹介を頼むよ」
あっそうだ。私はまだ挨拶してなかった。「私は山吹 鈴音です。初めまして、渉君のお兄さん」
「ふむ、そうか、君がか・・・」顎に手を当てて考える素振りを見せた後に突然私の手首握って私を連れて走り出した。
「君と少しだけ話がしたいので少しだけ二人にさせてもらうよ!はははっ!」そう言って教室から出て、階段を上がり始めた。
「ちょ、時雨さん!」「何、心配しなくても僕は襲ったりなんかしないさ!」「そういう問題じゃなくてー!」私の叫びは時雨さんには届かなかった。
連れてこられた場所は学校の屋上だった。
「ふぅ、これでゆっくりとお話ができるね」笑顔でそう言われた。
強引に連れてこられただけとは今は言わないようにしておこう。
すると今までハイテンションだった時雨さんが突然しおらしくなり落ち着いた声で
「すまないね、こうやって強引に連れてこないと君と二人で話せないと思ってね。
渉は君の事を本当に大切にしてる。だからこそ、僕と二人きりにさせたくなかったんだろうね」
新しい一面を見せた時雨さんに私は少し戸惑って「あ、い、いや私は全然構いませんよ」「ふふ、優しいね君は」
「それで私に話ってなんですか?」お兄さんからのお話・・・まさか私に至らない事があって別れろって言われるんじゃ!
「君に渉の様子を聞きたいと思ってね」「様子、ですか?」
「様子、と言うよりかは今の渉が楽しそうにしてるのかどうかを聞いておこうと思ってね。
渉は僕にあまり自分の話をしようとしなくてね、学校の事とか友人の事とかも僕から聞かない限りは答えてくれないから。
本音で答えてくれてのるのか表情では読み取れない、僕はそう言うのに疎いからね」
時雨さんは今の渉君の状態を知りたいようね、でも、どうして私になんだろう?一番近くにいる訳でも無いと思うけど。
「まぁ見ての通り、僕と渉は仲睦まじくは無い。渉は僕のことを避けている所もある、兄弟なのに分かり合えないなんて、僕はそれがすごく、悲しいんだ」
時雨さんは微笑んでいたけどその顔はすっごく悲しいそう、歩み寄りたいのにどこかそれはダメなことをしてる、そんな風には私は見えてしまった。
「・・・分かり合えないなんてこと、無いと思います」「えっ」「時雨さんが歩み寄るのをやめない限り渉君は絶対に振り向いてくれます!自分に近づいて仲良くしたい人を渉君は絶対蔑ろにはしませんよ!
お兄さんとの仲が悪くても、どんなにお兄さんを嫌ってても、自分を好きって言える人には必ず渉君は寄り添ってくれるはずです!これからです、これからもっと仲良くしていけばいいんです!!」
私は無意識にそう言っていた。お兄さんの方が圧倒的に一緒にいる時間が長いのに、偉そうに何を言って・・・
「すいません、でしゃばって・・・」「あぁいやいや、素敵なことを言う人だなぁって。
そうか、僕達もこれからか。そうだったらなんだか勇気が出てきたよ。君の一言で渉ともっと仲良くなれる気がしてきたさ」
時雨さんは嬉しそうに笑ってた。弟想いのお兄さんの顔をして。
「渉が君と恋人関係になる理由も分かる気がするよ」「えっ!いや、その私は付き合えてるだけでその・・・」
「はははっ、可愛らしい一面もある、良い彼女を持ったね、渉。
それでさっきの質問に関しては忘れてくれ、君のその反応を見る限りでは、渉はとても元気そうにしているのようだね。
僕が元気づける必要も無さそうだ、あの時に比べれば比にならないくらいだね」
あの時?独り言のように呟いた時雨さんの言葉を聞き逃さなかった。それに、なんで渉君とそんなに仲が悪いのかも聞いていない。
「あの、時雨さん・・・」私が名前を呼んだ時に屋上の扉が勢いよく開いた。そこから静かに歩く渉君が入ってきた。
「おぉ渉!この兄を探していたのかい?案ずることは無い、僕が一言も無しに君の前から居なくなるわけないだろう!」
時雨さん絶対に違います、絶対に怒っています。
渉君は時雨さんの目の前に立ち「・・・突然鈴音を連れてどっかに行くな!どれだけ血眼になって探したと思ってるんだ!」
「そんなに僕が恋しかったのかい?渉もまだまだ子供だね」「お前じゃない!鈴音の方が心配だったんだ!」「恋人を心配するのは至極当然のことだろう、心配しなくても本当に話しただけで別にやましいことなんてしてないよ」
「そんな心配してない、兄さんが鈴音を襲ったり危害を加えることはしないって分かっていた。俺が心配したのは兄さんのペースについていけなくなって鈴音が疲れてしまうんじゃないかと思っただけだ」
・・・時雨さん、渉君は時雨さんが思ってる以上に仲は良くなってると思いますよ。
「・・・そうか!渉は僕のことを信頼していたのか!!
これは遂に兄弟の愛もどんどん深くなっていると同様だろう!こんなめでたい時は葉月に連絡しなくては、妹にもこの歓喜の瞬間を分け与えなくては!」
時雨さんはおもむろに携帯を出し妹の葉月ちゃんに連絡しようとしたが渉君に引っ採られ「やめろ!なんで葉月に連絡する必要があるんだ!この場はこの場いる人達だけで充分だろ!「いや、三人兄妹で一人だけ蔑ろにするのは可愛そうであろう!せめて電話だけでもこの雰囲気にさせてあげなくては!」「あげなくていい!」
なんだか、仲が悪いって言うよりかは渉君がお兄さんをずっと突っ込んでる漫才師みたい。でも、これもこれで兄弟仲が良いって言うんじゃないかなぁ。
私はそんな光景を見て自然と笑ってた。
「てゆーか、兄さんなんで帰ってきた?仕事はどうしたんだ?」「おっと言っていなかったね。僕は転勤になったのさ」
「転勤・・・ってまさかこの地域に転勤に!?それに転勤ってことは家に帰って来るってことか?」「エクセレント!その通り、今日からは毎日一緒にいられることになる!」
「マジかよ・・・まぁ仕事もあるだろうから帰ってくるのも遅いだろ」
「何を言っている、渉を迎えに来たついでにこの学校にも挨拶をしに来たのさ」「挨拶?」
「来週から僕はこの学校に転勤して、この学校の教師になるのだ!だから毎日ずっと一緒だよ、渉!あっははははっ!!」
・・・どうやらこれから大変なことになりそうです、特に今、石のように固まってる渉君は。
これで終了でございます。渉君のお兄さんが登場でしかもかなり濃いめの人です。
渉君の苦労が多分また増えるんじゃないかなぁ、でもそんな苦労を労えるような人になっていきたいです!
今後とも二人の事を皆さんで応援しましょう。
それでは、また。