白石 紀乃の空
さてと・・・もはや説明不要かもしれませんが一応名前だけでも。
紀乃です。
もうどうなっても何が来ても驚きはしないとは思いますが。
それではご覧下さい。
生の告白のシーンを見るとどうしてこんなに焦って私は何も話せなくなるんだろ。
話しかける方が野暮とか考えちゃってるのかな。その時の事なんてこんがらがって覚えてなんかない。
状況なんて私にとっては最悪。部のキャプテンに私の好きな人が告白するなんて私はどう見届ければいいの?
応援なんて出来るわけないし、かと言って振れ!なんて言えないし・・・
はぁ、何が起きても動じないってある程度は決めてたけどまさかこんなに早くに動じるなんて人生どうなるか分からないものね・・・
「・・・も、桃谷君?なんの冗談かな、私が好きって?」
綾芽先輩は慌てて何をしたらいいか分からなくなっていた。こんな綾芽先輩初めて見た。
「・・・単なる一目惚れだったら俺も諦めてました、でもバスケをする先輩を見てたらどうしても諦めきれなくなってきたんです」
「だからって私じゃなくて他にもいっぱい・・・ほら例えばナギとかもいるしそれから、えっと・・」
「先輩じゃなきゃ意味が無いんです」
恋愛ドラマとかじゃお決まりのセリフを現実で近距離で聞くなんて、声は美少女だけど。
ここで私も告白・・・したい、したいよ。胸がはちきれそうな気持ちはもう持ちたくない。
ずっと心で苦しくていざってなっても一歩が踏み出せなかったりしてこんなに時間が経っちゃった。
次は後悔しないって決断していたのに。
空君・・・本当に綾芽先輩が好きなのかな?
「・・・って昔の俺なら言えてたかもしれません」
私は言葉の意味が一瞬分からなかった。
昔の自分?
言葉を受けて綾芽先輩は空君に問いかけた。
「桃谷君、迷って私に告白した。それでいい?」
「・・・間違いじゃないです。好きだった先輩のことを。揺るがない事実は俺の中にあります」
空君は自分の胸をぎゅっと掴んだ。
「この胸にある、先輩は好きと言う感情よりも何かの憧れの方が強いのかもしれません。
俺はそれをただ単に恋愛の感情に勝手にしてたのかもしれません。
答えが出なかった・・・けど先輩に告白してようやく分かりました。今の俺に必要な運命が」
綾芽先輩は口元をニヤつかせて手を後ろに結んで
「ふぅん。桃谷君、いや、空君。
君はずっとその声を出したくなくて内なる一人と戦っていた。
だから自分の答えしか出せなかった、本当に困ってる悩みはずっと奥底にしまっていた。
それが今回の空君ね。
でもね告白をしておいて無理なんですは女の子にとって傷つく瞬間よ」
確信をつかれたようで空君は胸を打たれたような様子になった。先輩と目を合わせずに髪をクネクネするように触りながら
「うっ!・・・正直男として最低のことをやってるのは間違いないですけど。告っておいて勝手に自己満足で先輩のことを今は好きじゃないって言うなんて」
綾芽先輩はふふって笑った。
「気にしないよ私は。告白は嬉しかったよ。
それに本気だったとしても私は空君の気持ちを受け止めれないかな。
今は女子高生らしく恋愛とか友達と一緒にきゃっきゃっやりたいけど、女子バスケ部のキャプテンとして、バスケに集中したいから。
逆に空君が私以外の人を好きになってくれてある意味助かったかな」
「そんなこと言わないでください、好きだったことは本当ですから」
綾芽先輩は後ろにくるりと回って
「それじゃ私は練習があるから行くね。
空君その人に早く気持ちを伝えておいで。その子も待ってると思ってるから」
そして私にある言葉を。
「それと・・・紀乃、自分に素直に、自分に負けずに、自分の心を清らかに、大丈夫だよ。恋のシュートは落ち着けばきっと入るよ」
綾芽先輩から恋なんて言葉出るとは。でもどういう意味かははっきり分からないこともあった。
綾芽先輩は何が言いたかっんだろ、応援だよね?それとももっと他に・・・
「紀乃」
空君は私を呼んだ。
正直未だに分からなかった。今の空君が好きな人を。話を間近で聞いてみても候補も何も浮かばなかった。
綾芽先輩じゃなかったら誰?渚先輩?それともさっきのサンダルフォンさん?
いずれにしても私よりも皆可愛い。そんな人達に私は勝てるはずなんてない。
空君怒ってるんじゃないかな、こんな近くに邪魔者が一人いたら怒るに決まってるよ。
空君にごめんって言って関わらないようにしないと、だってこれ以上は迷惑にしかならないと思うし。
やっと、好きって決めれるのに。
・・・空君は私の腕を掴んだ。初めに何が起こったのかが分からなかった、なんで空君が私の手を?
「紀乃、俺と一緒に来てくれ。連れていきたい場所がある」
空君は私を引っ張って走った。
「空君どこ行くの?」
「すぐ近くだから」
走った先にあったのは私達がいつも練習している体育館。
だけど、不思議なことが起こってる。練習の音が聞こえない。バスケのドリブルの音や走る音等は何一つ聞こえない。
何がどうなってるのかが分からない。
空君に連れられるがまま入っていくとそこにあったのは・・・
「空君!準備は整ってるわよ、さぁ派手にやっちゃってよ!」
「男子バスケ部と女子バスケ部、一人の女の子を巻き込んでるんだから失敗は許さないよ」
「空が失敗するはずない、俺が保証する」
綾芽先輩、渚先輩。それに男子バスケ部キャプテンの透さんも?皆コート外に出てガヤガヤしてるけどこれって?
空君は私の腕を離して誰もいないコートの真ん中に立った。「空君!受け取ってよ!」
体育館の二階からバスケットボールが飛んできて空君は掴んで一度ボールを地面に叩きつけてから再度ボールを掴んだ。
誰が投げたかを見ると思わず名前を呼んでしまった。
「志穂、それにサンダルフォンさん?」
小声だから誰にも聞こえてないと思うけど、どうして志穂が?どうして告白したサンダルフォンさんが?
何一つついていけない状況の中無言だった空君が私についに言葉をかけた。
「俺は決めていたんだ。告白する時は自分の最大の得意なことで告白しようって。
だから・・・それは今なんだって分かった」
・・・告白?
「紀乃・・・俺がこのボールをポストに入れたら、俺の気持ちを受け止めて欲しいんだ!
俺は、紀乃の事か好きなんだ!!」
そ、そそそそそ空君!!!!????
私のことが好きだったのーーーー!!!??
色んなことがありすぎて頭が追いつかないよ・・・
空君はボールをバウンドさせて深呼吸をしていると綾芽先輩達と一緒にいたはずの透さんが空君の目の前に立った。
「簡単に入れるのも面白くない。あの子に告るんだったら俺を超えろ。
男子バスケ部唯一の彼女持ちになんてさせんぞ!!」
「ただの僻みじゃないですか、まぁでもそっちの方が俺もやりやすいですよ」
透さんはニヤリと口元が笑い空君に突っ込みボールを奪おうとした。
その時空君も同時に走り出すと目の錯覚か幻覚なのか区別がつかないが空君が二人になってる。どっちも幽霊みたいにぼやけてるし・・・
関係なく透さんは空君のボールを取りに行くが分身した空君に軽く交わされ透さんは抜けられた。
空君は二人から一人戻ってゴールポストに一直線に向かう。
「流石だ空、スプリットスカイ。そのあまりの速さに分裂して見えてしまう空限定の技・・・行けよ、お前だったらポストに入れるぐらい余裕だろ」
ゴール目の前に来た空君は高校生とは思えない程のジャンプ力でそのまま一気にダンクシュートで決めた。
その姿は私が子供の時にバスケをするきっかけを作ってくれたプロ選手のダンクシュートを決める時と一緒だった。
憧れは今目の前にいた。そして・・・私は自分が今やらないといけないこともようやく分かった。
息を切らす空君は私の方を見て
「ハァハァ、紀乃どうだった俺の、バスケは?」
かっこよかった。それしか言えない、でももう一つ空君にかっこいい姿を見せてくれた私なりのお礼をしなくちゃ。
私は空君の元まで走っていって、空君の腕を掴んでこっちに引っ張った。
「ちょ、紀乃・・・?」
そして私は空君の唇と私の唇を交わしてキスしちゃった。目を閉じて自分の心のままにした。
あぁキスってこんな感じなんだ。恥ずかしいと思っていたけどなんだか落ち着いちゃうね。私の最初のキスは少し汗の味がした・・・
私は空君から離れて目を閉じ笑顔で
「私も好き!これからバスケ共々一緒によろしくね!」
周りがざわついてる・・・我に返ってさっきやったことが結構恥ずかしいことに気がついてしまった!勢い任せにやっちゃったけど!
どうしよ、とりあえず綾芽先輩の方を見たら
「紀乃紀乃!空君空君!!」
指をさして空君の方に向けと指示が。
え?って思って空君を見たら顔を真っ赤にした空君が気を失って倒れそうになっていた。私が腕を掴んでいるからかろうじて倒れてはいないけど。
「えっちょ!空君!空君!?」
体を揺すっても何一つ起きなかった・・・これからちょっと大変になるかな?
「あ〜あ、恥ずかしがり屋な空君にはさすがにハードル高すぎたかな。紀乃も大胆だね〜」
体育館の二階にいる私、志穂と米田 るんさん。今回の話を聞いた時はちょっと驚いたかな。
「しかし、るんさんが全て企画するなんて今日来たばっかりの人じゃ無いよね?」
「そんなことは関係ないです。私は空さんと紀乃さんの恋路を手伝っただけです。あなたは紀乃さんのお友達なのでしょ?」
「まぁね。でも紀乃の好きな人とか空君が紀乃のこと好きだとかよく分かるものね。どっかの才能?」
「言ってしまえばそうな感じです。世間で言うコミュ力と言うのが高いので。バスケ部の皆さんをまとめるのは大変でしたよ。
紀乃さんの近くにいる志穂さんは割とすんなり受け入れてくれて良かったです」
「知ってたからね〜紀乃が空君のこと好きなの。私は紀乃を応援するからるんさんに協力しただけ。
でも最初にるんさんが空君に告白はあんまり関心しないかな。一瞬だけでも紀乃を傷つける感じになったんだから」
「あの現場を見ていたんですね。少々涙ぐんでいる紀乃さんは想定外でした。彼女を傷つけるつもりは無かったですから」
「まぁ結果的にはるんさんの思い通りになって無事に二人も付き合うことになったから良かったけど」
私とるんさんが話してるのを聞いてみて何となく察しがついたと思いますけどこの手際の良さとかバスケ部が協力したのは全てるんさん手でやったんですよ。
女子と男子バスケ部、空君、私に全て話して紀乃にはバレないように全て進行した。
正直この短時間で出来る事じゃ無いとは思うけど。
未だに謎が残ってるのは間違い無いけど、ひとまずハッピーエンドで良かった。
「さて、私達も下に降りましょうか。紀乃さんに事情を説明しないといけませんから」
「そうね、私がいることも説明しないと」
私が歩き出すと同時にるんさんは小さな声でこんなことを
「付き合えるのなら私も努力しないと」
しっかりと聞いてしまった私は「え?」と聞き返すと
「どうしましたか?」
「う、ううん」
聞こえなかったふりしておこ、彼女も女の子なんだね。
「紀乃、おめでと」
二階から降りてきた志穂とサンダルフォンさん。
「ありがと志穂、でも空君がもう目がクルクル回っちゃってるからなんか今すごい複雑な気持ち」
「逆に考えればいいのよ。普通の告白じゃなかったって」
「それ、どうなの?」
「紀乃さん、おめでとうございます」
「サン・・・るんさん空君のこと好きだったんじゃ?」
「理由は後ほどおっしゃります、今はあなた達の幸せを喜びますよ」
バスケの皆や志穂からも祝福された。まぁ目一杯私と空君は幸せにならなくちゃ。
まだ気を失ってる空君にもう一度抱きついて
「空君、私のことも好きでいてね。私も空君を好きでいるからね」
私は満面の笑顔を空君に向けた。
終わりましたよ〜疲れた〜。
もうなんだろ燃え尽きるってあるんだね。
こんな展開になる人って想像してる人いるのかな・・・まぁそんなことはどうでもよくて。
紀乃、早めに締めないと終わらないぞ。
空君、ここにも来たの?
色々心配だったから。
空君も来たことですので、バスケの二人を応援して、バスケカップルも応援してくださいね!
俺からもよろしくお願いします。
じゃあバイバイ!!




