眠れない夜中のお悩み相談
皆さん、雨宮 冬です。
あの温泉事件の夜中になるのかなこの話は。
色々とあったので今回ぐらいは落ち着いた話があってもいいのかと。
夜の京都はいい時間ですよ。
・・・・・眠れない。
事件があった日の夜は考えてしまって眠れない。
いや、だってそれは考えると言うか内に秘めた興奮と言うか・・・女性のその、は、裸を見ちゃったから・・・あれが鮮明に覚えてしまっててそればっかり思い出してしまう。
僕ただの変態に成り下がってしまったかもしれない。
特に・・・花梨さん・・・
ダメだ、忘れないと忘れないと。
今 何時?僕は明かりを落としてスマホの時間をこっそり見たら、もう一時じゃん。明日も早いのに。
あぁもう!考えても仕方ない。寝ないと。
僕は目を閉じて布団に潜り込んだ。
・・・三分ぐらいかな。全然眠れない。
体とかは歩き回ったから疲れてる、精神的にも疲れてる。
でもなぁ・・・もう二人は寝てるのかな?
隣で寝ている蒼と渉を少し起き上がって見てみると、何故か寝顔になると男の僕でも少し可愛く見える渉は熟睡してる。
まぁ渉は僕達のアシストしてたから現場にいなかったから普通に寝れると思うけど蒼は僕と一緒で寝れてないはず。
渉の隣の蒼を見てみると驚くぐらい爆睡してた。
あれ、なんで?僕と一緒じゃないんだ。蒼って気にしないのかな、でも確かに僕を助けてくれたり自分は女の子になったりしてたから僕以上に疲れてるんだろうなぁ。
気になるよりも疲れが上回るのかな。
このままじゃずっと寝れない・・・本当はダメだけどちょっとだけ部屋の外に出てみよっかな。
何かの気分転換に出来ればいいんだけど。
布団から立ち上がって部屋から頭だけ出して誰もいないことを確認して静かに部屋から出た。
そろりそろりと廊下を歩くけど別に何かする
訳じゃないから目的が無いまま歩いてる。
すると、どこからともなく綺麗な音色が聞こえてくる。この音って・・・三味線?
和の音、とても心が癒される。
でもどこで鳴ってるんだろ?しばらく歩くと音色はどんどん近づいてきていた。
ここら辺で鳴ってるけどこの先は壁で行けない。
探したいけどこれ以上はここにいれないかな。誰かが来たら怒られるし明日起きれなくなるし。
諦めて戻ろうとするとパッと見た窓を見たら綺麗な満月が僕の目に映った。
月と三味線の音・・・なんかどっかの絵にありそう。これがかっこいいとは思わないけど。
さて、また頑張って寝よ。僕が部屋に帰ろうとすると三味線の音がピタリと止まった。
窓の方を向くと
「あれ、冬君?」
「え、うわぁ!」
声を出して驚いてしまった。
窓の上から逆さになって顔を出してるルシファーさんがいた。
「る、ルシさんなんでここに?」
僕が聞こうとすると廊下の奥から
「誰かそこにいる?」
この声は紅先生?やばっ、声出したから気づかれたかも。
ここにいたら怒られる。どうしよ・・・隠れる場所とかも無いし。
困っていた僕を見ていたルシさんがいきなり窓を軽く叩いて
「鍵開けて」
僕にしか聞こえない声で窓の鍵を開けてくれと言ってきた。
何をするかは分からないけどここにいたら気づかれるだけ、僕は窓の鍵を開けて窓を開けた。
開けた瞬間ルシさんは僕の手を掴んで窓から僕を引っ張った。
引っ張ったルシさんは天使の翼を出していて空中で滞空してた状態だった。
手を離されたらそのまま落下する状態の僕・・・下が見れない。
「冬君少しだけ静かにしてて」
ルシさんの言う通りに一言も話さずにいると
「誰かいると思ったんだけど。ふわぁ〜そろそろ見回りもいいだろ、寝よ」
紅先生をやり過ごした。
ルシさんは僕と一緒に旅館の屋根まで飛んで屋根に座った。
僕を返せばいいのにどうしてここに。
とりあえずお礼を言わないと。
「ルシさんありがとうございます。おかげで助かりました」
「気にしないで、誰かいると思ったら冬君だっただけ。
それにしてもなんでここに?もう皆寝てるんでしょ?」
「いや・・・ちょっと色々あって寝付けなくて」
「ふぅ〜ん、そうなんだ」
何かを察ししたようでルシさんはこれ以上追求してはこなかった。
僕の事を分かってくれたのかな、やっぱり大人の女性ってこう言う人の事なんだろうなぁ。
「逆にルシさんはどうしてここに?」
今度は僕から聞いてみた。
「いやぁ、ちょっとこれを弾きたくてね」
するとルシさんは三味線を取り出した。
「三味線ってルシさんが弾いてたんですね」
「聞こえてた?まぁ聞こえるようにしてたんだけど。
私ってこういう和楽器の音 好きなんだよね。せっかく京都に来たから本格的なの買ってみて弾いたんだけど上手くはいかないね」
上手くいかない・・・
「ルシさんもう一度弾いてもらっていいですか?」
「ん?別にいいけど」
僕に言われた通りにルシさんはさっき聞こえていた音色を奏でくれた。
静かに僕は聞いて目を閉じた。
この音色とても落ち着く。どんどんリラックス出来るしどこか暖かくなる。穏やかな音色。
なんでこんなに惹かれるのかは分からない。
・・・この音色は忘れられないんだろうなぁ。
「どう?冬君的にはありなのかな?」
弾きながらルシさんは話しかけた。
「はい。僕の中では心が休まります」
「うふ、ありがと」
ルシさんは僕に微笑みを見せた。
ルシさんって大人なんだよね、この人なら相談相手に出来る人だよね。付き合いで言ったらそこまでかもしれないけど悪い人じゃないのは分かってる。
相談してもらおうかな。
「ルシさんって誰かに伝えたいことを伝えられないことってありますか?」
「伝えたいこと?」
「伝えればこの気持ちを知ってくれるのに、怖くて勇気が持てないんです。
ここまでの事が全部崩れそうでもう元に戻れない。それを自分から言葉にするのがどうしても怖いんです」
口にして言ってしまえば簡単で気持ちも伝わる。でもそれはひとつの賭けでもある。
これからのその人との関係の。
「別に今すぐ伝えないといけないことでも無いでしょ?」
「それは、そうですけど」
「自分で気持ちをまとめてから伝えた方がいい。
中途半端な心意気で伝えた所で気持ちなんて届かないよ。だったら時間をかけても、どんなに不器用な言葉でも、真っ直ぐ伝えたらそれなりの結果が待ってると思うよ」
・・・ルシさんの言葉で少し楽になった。どこか焦ってた僕もいたけど時間ならまだまだある。しっかりと考えて伝えた方がいいかも。
それで一緒にいれるなら僕は・・・
「まぁ出来てない私が言うのも説得力無いけど」
「ルシさんも?」
「素直になれない姉の方が悪いけど実際は仲良くなりたいけどね」
「お姉さん、ガブリエルさんですか?」
「姉妹でも心が通じ合わない事だっていっぱいある。だからこそガブ姉に打ち明けたい、一人で頑張るなって言いたい。
仕事したくない人からの言葉なんて聞く耳を持たないけどその一言で変わるんだったら私は頑張るよ」
どうやら悩み事は僕だけじゃなさそう。皆に悩みってありそう、でもそれを乗り越えた時に初めて見つかる物もある。
それが人っていう生き物なのかな。
「ルシさんお互い頑張りましょう。助け合っていきましょう」
「・・・そうね。頑張ろ」
僕とルシさんはお互い笑顔になった。
「ふわぁ・・・なんだか眠くなってきた」
「もう夜中の二時だから。そろそろ寝ないと明日も眠たいよ」
息抜きで来たことでまさかこんなことになるなんて人生どうなるか分からないもんだ。
僕はルシさんに廊下まで連れて行ってくれてそろりと部屋に戻って眠りについた。ルシさんはまだもう少し外にいるらしい。
嘘みたいに一瞬で眠れた。
寝る時はこういう事と考えるのをやめるって言うのだけ学べただけでも収穫かな。
本来ならここで言うべきだった。
冬君と二人きりになる事なんて今後無いかもしれない。
でも・・・突然言われても混乱して慌てるしそもそも信じないでしょう。
いずれ言わないといけない事だけど今ではない、修学旅行は楽しんでもらわないと。
残りの時間はあと僅か、準備は整っている。いつか言わないと・・・
さて、そろそろ私も寝ようかな。
と、思った時に私と同じ天使の気配がした。
この気配・・・あの人か。
「ママ、分かってるから出てきて」
私がそう言うと隣にいたかのようにいつの間にママのラミエルが座っていた。
「姿消しててもバレるか。もう立派な大人ね」
「それなりに成長したから。いつからいたの?」
「あの・・・雪君?」
「冬君」
「冬君の相談受けてる辺りかな。トイレ行く時になんか音聞こえるなって思って」
「それで姿を隠して聞いてたってことね」
「えへへーごめんって」
「別に謝られても」
「それにしてもルシが音楽とかあんな最もらしいセリフとか出来るんだね。お母さん感動しちゃった」
「それはどうも。で、本当は何しに来たの?」
「ん?」
「ママが何も無しにただ話を聞きに来た訳ないじゃん。ママって何も考えてない風に見せて意外と策士だから。
私に用があるんでしょ?」
子供の時に隠し事しててもママに一瞬で見破られるから。さすがエデン様に仕える唯一の天使。
「私の子供ねやっぱり。
実は地上界に来た理由は遊びに来たのともう一つ、ルシに話があってきたの」
「話?」
ママからの話で再び仕事をしないといけなくなった。
それも、ドキドキの仕事。
これにて終了になります。
修学旅行でまさか悩み相談出来るとは思わなかったです。
次の話に期待してください。
それではまた。




