ブラックコーヒー派
修学旅行編第三弾は渉がやらせていただきます、よろしくお願いします。
今回は俺と冬がメインの話と言う過去には無い展開です。良い奴だってはわかってるけど二人きりってのはあんまり無かったな。
別に気まづくは無いけど。
それじゃ、行きますか。
空港で全員と解散した俺と冬は二人で話し合って決めた目的地まで行くことに。
「渉、この近くに駅があるからそれに乗れば行けると思うよ」
「有名な場所だからすぐにでもわかるだろ」
空港の近くにある駅まで向かって電車で向かうことにした。
「渉、ここからは僕が案内するよ」
「冬が?」
「この日のために色々調べてきたから。美味しい飲食店とか絶対に見るべき場所とかも!」
多分めっちゃ楽しみだったんだな今回の京都旅行。あんなにはしゃぐ冬は久しぶり・・・いやほぼ初めて見る。
「じゃあついてきて」
俺は冬に任せてついて行った。
「渉は修学旅行は楽しみにしてたの?」
「それはまぁ、高校生でたった一回の旅行だからな。楽しみじゃない方がおかしいんじゃないか?」
「そうだね。僕も今日の日が待ち遠しくて眠れなかったよ」
「小学生か」
「心はね」
冬と談笑しながら、電車に乗ったり降りて歩いたり冬はスマホを見ながら歩いたりとキョロキョロしたりと・・・俺は薄々感じてはいるけど冬が自分で気づくまで泳がせておこう。
だいたい空港から出て一時間かそれぐらいにずっと黙って俺を先導してきた冬は満面の笑みで俺の方に振り返って
「渉、迷っちゃった」
「だろうな」
急遽俺が道を調べて逆に冬を連れて行った。迷った道から約十分ぐらいで目的地まで着いた。
冬が方向音痴だったとはな。
「いや〜ごめんね。道は覚えていたはずなんだけど、実際に行ったらあんなに迷宮だったなんて思わなかったよ」
迷宮?基本的に一本道しか無かったけど、結構重症かもな。
「にしてもここがかの有名な二条城なんだね」
「ああ、意外と広いな」
俺達が来たかった目的地、ここは二条城。
「1603年に徳川家康が造営、3代家光が増築を行い1626年に今になる。東西約600メートル、南北約400メートルに塁を築き堀をめぐらす。1867年15代慶喜が大政奉還の意志を表明した。現存する二の丸御殿は6棟からなる武家風書院造。部屋の障壁画は狩野派の名作。彫刻、飾金具を含め桃山美術の粋を伝える。二の丸庭園は小堀遠州の作。本丸御殿は天明の大火で焼失。今の建物は京都御苑内にあった旧桂宮御殿を移築したもの。1994年12月「古都京都の文化財」として「世界遺産条約」に基づく世界文化遺産に登録された」
「詳しいね渉」
「全てネットから引用」
俺と冬が二条城の中に入ろうとしたときだった。
「うわぁここが地上界のお寺って場所!ウリはテンション上がりまくりだよ!」
「こらこら、ここは神聖な場所。あまりはしゃぐのはよくありませんわよ」
俺の隣から姉妹のような仲が良い小学生ぐらいの子供と見るからに美少女な少女がいる。
ただ俺はこの二人をどこかで見たことがある。記憶力がある程度いい俺だけどどこで会ったかは覚えてない。
すると
「あら渉様、偶然ですねこのような場所でお会いするなんて」
パッと俺の方を見た少女が俺に話しかけてきた。
「俺の事知ってるの?」
「ええ、蒼様のご友人でございますよね?」
蒼のことも知ってるのか。ますますわからない。
それに、あまりに顔立ちが綺麗過ぎてずっと見てると心が持っていかれそうになる・・・この感覚どこかで覚えがある。
・・・やっと思い出した。この二人のことを。
「ね、ねえ渉。誰なのこのキラキラと輝いてるオーラが見える気がする人は?」
オーラは恐らく出てるけど、俺には見えない。
「ラファエルさんとウリエルさんですよね?」
この二人は前に蒼の家にいたミカエルの妹だ。見てるとその綺麗過ぎる笑顔で心が持っていかれそうになるラファエルさんと、無邪気な子供のウリエルさん。まさかここで天使と出会うなんてな。
「そちらの方は自己紹介がまだですわね」
ラファエルさんは冬の前に立って笑顔で
「初めまして、私の名前はラファエルと申します。蒼様と渉様のご友人の方でございますか?」
冬はラファエルさんの顔を見れずに逸らしながら
「ぼ、僕は、雨宮 冬って名前です・・・」
顔と耳を真っ赤にしながら逸らしながらうつむいた。気持ちはわかるけど。
「どうなされました?」
そう言いながらラファエルさんは冬の顔を覗き込んだ。
「いや、ちょ、まっ」
また顔を逸らすが不思議そうな顔でまた冬を見る。それを今ずっとやってる。
はたから見たら何やってんだってなるけど。
冬とラファエルさんがぐるぐると回っているとき
「渉?って言うんだ。ウリとどっかで会ったことある?」
こちらではウリエルさんが俺に話しかけた。
「ラファエルさんと一緒のときに会ってますよウリエルさん」
こう言ったらいきなり人差し指を立たせて
「ウリエルさんなんて言わないで!ウリに対してはさんとか敬語とかは禁止!将来は天界一のアイドルになるウリに堅苦しいのはNG!」
腕を組んで頬を膨らませた。
ラファエルさんとは違って自由な天使だな。
「じゃあなんて呼べばいい?」
「そうだな〜オーソドックスにウリちゃんでもいいしウリエル様でもいいしウリちゃまでもいいよ」
・・・・・
「ウリエルでいいか?」
ちゃんまでは良かったけどそれ以外は論外だ。
「ちぇ、まぁそれでいいよ」
呼び方はそこまで気にしてないようだけど。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・なんで僕疲れてるんだ?」
ようやく謎の攻防が続いていた冬が戻ってきた。
「で、どうなった?」
「人の顔を見るのを苦手って言ってなんとかなった。ラファエルさん、いろんな意味で恐ろしいよ」
案外天然ドSかもな。
「それでそっちの子は?」
「天界最強アイドル!(になる予定)のウリエル!気楽にウリエルちゃんって呼んでね」
さっきのちゃまとか様はどこいった。
さて、とりあえず聞いてみるか。
「で、なんで天使の二人がここに?」
この地上界に天使がいるのは別にもう驚かないけど、また違う天使が来てるんだったら話は別。五人姉妹の四女と五女がどうしてここに。
「わ、渉。天使ってどういうこと?」
しまった冬にこの二人の事を説明するのを忘れてた。
「あの、冬様には私達の存在を知られてしまってもよろしいのでしょうか?」
こっちにも説明が必要だな。
「まとめて俺が話す」
「じゃあこの二人はミカエルさんの妹で同じ天界に住んでいるってこと?だから名前も似てたんだ」
「冬様はミカお姉様のことを知っていらっしゃるのですね。それなら問題は無いですね」
受け入れの早い二人だな。そっちの方がめんどうじゃないからいいけど。
「本題だ。なんでここに?」
「実は天界では私達は階級と言うものがありまして、私は第七位なのです」
「ウリは第九位!低いのは最近やっと階級つけられたからね」
「まだ私達は階級が上ではございませんのでお仕事と言うものはそこまでございません。ですが私達にしか出来ないこともありますので決してお暇というわけではありません」
天使の二人にしか出来ないことか・・・
「しかし一昨日に階級が九位から一位は働きすぎと言うことでしばらくお休みを頂くことになりました。休暇なので皆様とこの地上界の京都に遊びに来ました」
「二人以外にも天使がこの京都に?」
「はい。こちらに来てからは自由行動なので皆様各々好きな場所にいらっしゃると思われます。私はウリを見てないといけないのでウリと一緒に行動しています」
「ラファお姉!ウリはもう子供じゃないんだから一人でも大丈夫だよ!まったく、過保護にしなくてもウリはもう大人だよ」
「あらごめんなさいね。そうよね、ウリももう階級を貰っていらっしゃってるのよね。今からは別々に行動しましょう。妹の成長を見抜けない姉はダメね」
ラファエルさんは恐らく自分自身にため息をついてウリエルを置いてどこかに行こうとした。
「え、ラファお姉、ウリはまだ心の準備が出来て・・・」
ウリエルはいきなり手が震え出して後ろからラファエルさんに抱きついて
「今日はお姉と一緒にいたい・・・ウリ、一人は嫌・・・」
泣きそうな声でわがままを言った。
そんな妹の姿を見て優しく微笑んでウリエルの方に振り返って頭を撫でながら
「ウリを一人にできるわけないでしょ。大丈夫、お姉ちゃんはどこにも行かないから」
「うぅ・・・ラファお姉〜!」
二人は優しく抱き合った。
俺はこの光景を見て
「流れ的にこんなことになるなんてな」
大体の事情はわかった。要は遊びに来たってことか。でもこの光景、冬はどう思って・・・
「うん・・・二人の絆が輝いて見えるよ、ぐずっ」
え、泣いてんの?いやなんで?どっかのB級映画のラストシーンみたいな感じなのに。
てゆーか俺らの本来の目的忘れてるんじゃないか?俺達の目的ってこの目の前にある
「早く二条城見に行こうぜ」
俺と冬とラファエルさんとウリエルは二条城の中に入ってお賽銭を投げて御参りを済ませた。元々二人もここに来るのが目的でたまたま俺と冬に会ったらしい。
今は歩き疲れて近くにあったカフェで休んでいる。なんで四人で行動しているのかは少しわからないがまぁ減るものじゃないから別にいいけど。
「渉ってコーヒーブラック派なんだ。よく飲めるね」
「なんか、飲んだ気がしないから」
「お若いのに珍しいですわね」
見た感じ俺達とそう変わらない年齢っぽいけど・・・まだ全然若いだろ。なんなら下なんじゃ。
「ですがウリはブラックしなくてもよかったのでは?」
「絶対アイドルに出来ない事なんてあったらいけないから。こんなのよゆーに飲まないと」
そう言いながらウリエルは大人ぶった感じで静かにブラックコーヒーをすすると、少し黙ってしまった。
「ウリ?」
手をOKの形にして涙目になりながら
「よ、よゆー・・・全然苦くなかった、気がする」
完全に我慢してる、子供にはブラックは無理だろ。
察していたのかラファエルさんはまだ一口もつけていない自分のカフェオレを
「お姉ちゃんのと交換する?」
「・・・うん」
多分だけどこのやり取り何回もやってんだろうな。ラファエルさん慣れてる。
しばらく四人で話していると
「私は少しお手洗いに行きますね」
「あ、ウリも!」
二人はトイレに。
最初に戻って俺と冬の二人になった。
「なんだか見てるとあんまりミカエルさんの妹って感じがしないね」
「血が繋がっていても個性は一人一人違うだろ。天使の姉妹だろうが、人間の兄弟だろうが」
実際俺と妹で性格も全然違うしな。
「まぁそうなんだけど・・・渉、ちょっと聞いていいかな?」
「何?」
「その、告白するときってどんな気持ちになった?」
・・・え?
「唐突にどうした?」
驚く表情は出してないと思うけど少し驚いた。まさか冬からそんな言葉が出るなんてな。
「いや、気になっててさ。僕も遠い未来じゃ無いかもしれないから、その、なんて言うか」
「答えてやるよ」
別に隠すことでもない。
「はっきり言ったらどんな気持ちも何も、覚えてない」
「覚えて、ない?」
「心臓の鼓動の音とかはよく聞こえた。でもそれ以外は言葉では表せない何かの感情襲われて気がついたら告ってた。あれがなんだったのか、今でもわからない。自分が望んでも無いのに襲われた、苦しくて開放されたいのに何故か続いて欲しいって思わされた。成功してくれとか失敗してくれとか考えれなかった。頭の中は真っ白で思考も停止した。でも一つだけ、こいつを幸せにしたいって思ったぐらいだな」
「渉・・・覚えてるじゃん」
色々聞いておいて感想それかよ。俺の最初の言い方も悪かったけど。
「つーか遠い未来じゃないってことは誰かに告るの?」
俺の事一言で動揺したようで
「い、いや、別に近未来ってわけでもなくて僕も一応男じゃん?」
「一応じゃなくて男だから」
「その、好きな人に告白なんてしたことないから聞いてみたかった。基本的に告白は男の方からするもんだと思うから」
この修学旅行中には告白はしないと思うけどこのことを聞いてくるってことは近いうちに俺の想像している人に告るかもしれないな。
ここでその人の名前を口に出して言うのはデリカシーが無いな。
告白した俺から一つだけアドバイスしておくか。
「冬」
「え?」
「割と緊張するからな」
割とじゃなくて普通に緊張するか。逆に緊張しない方がおかしいか。
これにて終了でございます。
俺と冬の二人きり(ほぼ二人ではないけど)は初めて見る人はいるかもしれないですけど意外と二人でいることは多いですよ。
残りはあと二組、次はどちらか予想してみてください。ヒントは女々しいやつが出てきます。
ほとんど答えだな。それではまた。




