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最悪の連続

はい、ど〜も。


二回連続になる紀乃です。


バスケの試合で怪我をしたその先の話です。


え?足を痛めているのに語り手出来る?

口ですから出来ますよ。そんな歩き回ることも無いですし。


どうぞ〜。



「・・・うぅ、あれ」


目を覚ましたら白い天井、白いベッド、仰向きで寝ている私・・・どうやら私は病院にいるようだ。服もあの患者さんが着る青い服になってるし。


そして、一番気になってる足。腫れている右足には包帯がぐるぐる巻きにされてる感覚があって動かそうにも動かない。


起き上がって見ようとすると


「紀乃!良かった・・・」


しゃがみこんでいて、私の手を両手で優しく握った人は私の家族


「お姉ちゃん?」


佐奈お姉ちゃんは涙を浮かべていた。


「もぅ、無茶しすぎだよ。私、紀乃がいなくなったら嫌だよ・・・」


私の手に額をつけてうつむいて顔はわからないけど泣いている声が聞こえてくる。


・・・心配、かけちゃった。お姉ちゃんにはお世話になってるのに。


「・・・ごめん」


たった一言だけしか言えない自分が悔しい。もっと・・・ちゃんと。


しばらくしてお姉ちゃんは顔を上げて


「ああ、そうだ。赤井さんと黄岬さんと後、志穂ちゃんも来てるから呼んでくるね」


泣き止んでいて笑って病室から出ていった。

佐奈お姉ちゃん切り替え早いよ。


綾芽先輩も渚先輩も来ていてそれに志穂も来てるんだ、心配してるのかな?


あ、そうだ足・・・あれが、私の足?


自分の目で右足を見ると包帯で固定されていて右足だけ上げられていた。


あんな状態になるまで無理をしていたの?

え、私、この足でバスケ出来るの、本当に完治するの?もう今までのプレイ出来ないんじゃ・・・


この先のことを考えていると病室の扉が開いて


「紀乃、大丈夫なの?」


「なんとか無事ね」


「あんまり心配かけないでよ」


綾芽先輩と渚先輩と志穂が入ってきて私を心配してれた。


「綾芽先輩、渚先輩、それに志穂もありがとう。あの、お姉ちゃんは?」


一緒に入ってくると思っていたお姉ちゃんがまだ入ってきていない。また泣いてるんじゃ


「私達だけで積もる話もあるから外で待ってるって。紀乃が起きるまでずっと一緒にいたから、本人も一番一緒にいたいはずだけど、我慢してる。いいお姉ちゃんを持ったね」


「・・・私、何時間気を失って」


「約十時ぐらい紀乃は気を失って、今は夜の十時だから半日ぐらいかな」


私が気を失ってる間ずっと・・・半日も私のために・・・


「お姉ちゃん、体はりすぎだよ」


またお姉ちゃんに何かプレゼントでもしよう。


「それにしても、なんで志穂がいるの?」


「バスケで誰か怪我したって聞いてもしかしたらって思ってきたのよ。前から足が痛いって言ってたし。でも来て正解だった、こんな重傷になるまでやってたなんて」


「そっか・・・ありがとう、来てくれて」


「あたりまえでしょ」


志穂との友情を再確認して


「綾芽先輩、渚先輩も」


「キャプテンとして当然よ」


「大切な後輩が怪我をしたのに心配しないわけないでしょ。他の皆も一緒だったけどもう夜も遅いから私とアヤだけで皆帰した。皆、紀乃のことが心配なのよ」


バスケ部の皆も来てたんだ、なんだか私って幸せ者なんだなぁ。


「あっそうだ、試合は?」


一切結果を知らない、あの後どうなったかのも。


綾芽先輩は笑顔だったけどこの話になるとその笑顔は一瞬で消えて、私の顔から目を背けた。


反応でわかった。


すると渚先輩が


「紀乃が途中退場してから私達はどうしてもバランスが取れなくてリズムもバラバラ。結果、そこで逆転負け。一回戦敗退」


後から詳しく聞くと渚先輩の冷静な判断も適切な指示も出来なくて、綾芽先輩のアヤメゾーンもパスをする迷いもあって普段なら絶対に渡せるパスもカットされたりと全員が力を発揮出来なかった。


私の怪我で皆に迷惑かけてしまった。なんで、足なんて怪我したの?


足のことを気にかけていると綾芽先輩が


「それで紀乃の足のことなんだけど」


「私の足?」


「一時的な応急じゃどうにもならなかったらしくて、入院は三日ぐらいで退院できるけど・・・本格的な練習は最低三ヶ月後じゃないとやっちゃダメだって」


「さん、三ヶ月?」


「もし今すぐにでもバスケの練習をしたら二度と足は使えなくなってしまう」


え、ちょ、まっ、あれ、今が九月だよね?三ヶ月後ってことは、十月、十一月、十二月、しかも十二月も出来ない可能性も。


私の、私の青春のバスケが出来ない。こんな足のせいで。こんな腫れのせいで。こんな私のせいで!!


「あ、あは、あははははは!!」



その後の記憶は覚えていない。自分が情けなくて笑った記憶しか覚えていない。


気がついたらまた病院のベッド。起き上がって時計を見ると、朝の十時。


何があったかは心が落ち着いた今だから想像出来てわかる。


あの時、私の精神が崩れた音がした。記憶が無い時間は夢を見ていた。闇の中を何度も何度叫んで、でも結局呑まれてしまう。まるで今の私を暗示させるような夢を。


でも何故か心は清々しい感じはした。重い荷物をようやく外して身も軽くなった。でもそれと引き換えに、何も持たない空っぽの自分がいる。


上げられていた右足は下ろされており、ベッドの横には松葉杖が用意されている。


平日のお昼だから誰もお見舞いには来ない。

別に寂しいわけじゃ無いけど・・・


「散歩でもしよ」


とにかく三ヶ月はバスケは出来ない事実は変わらない。気分を変えるためにと一度外に出てみる。


ベッドから足を出して立ち上がろうとすると足に力が入らない。右足はもちろん、左足も支えがないと立ち上がれない。

左足にもこんなに影響が出るなんて思ってもみなかった。


私は両手に松葉杖を持って右足に気を遣いながら進み始めた。初めて使うから慣れない。


病院の外に出てみると患者さんがたくさんいた。病院だから普通か。


松葉杖をつきながら歩くとやっぱり疲れが出る。


ベンチがあると思って休もうと座ると運命のいたずらなのか、バスケのポストとボールがあった。病院にあるなんて。いや、娯楽のためにあるだけだと思うけど。


あんなにボールを見るだけで触りたくてゴールに入れたくなってたのに、今では見るだけで苦しくなってる。追い込んで追い込んで追い込み続けて結果仇となって怪我。


なんだか笑っちゃうね。必死なってた私が今になって馬鹿みたい。


・・・笑ってるのに、もういいのに、なんでこんなに泣いてるのかな、私?


人目もあるのに・・・神様の遊びには、もううんざりだよ。



部屋に戻ってすることが無いためずっと寝ていた。夢は見てたと思うけど覚えていない。


何も考えることもなく、時間だけが過ぎていった。


ボーッと一日を過ごしていると気がついたらもう夜の六時。何も口に運んでないけど一切お腹がすいていない。むしろご飯は喉も通らない。


そんな状態のとき、病室の扉が開いた。


「紀乃、大丈夫?」


「あ、志穂」


連日で志穂が来てくれた。


私は最初に言わなくちゃいけなかった。


「昨日はごめん。私、どうかしてたよね?」


覚えてはないけど、絶対に迷惑をかけた。


「うん、どうかしてた。大変だったよ」


はっきりと言ってくれた方が逆に気持ちは楽になる。こんな私の性格を知ってるのは友達の志穂ぐらいだよ。


あえてこれ以上昨日のことについては触れなかった。触れたところで過去は変わらないから。


「それで今日もお見舞い?」


「いや・・・今日バスケ部の人誰も来てないでしょ」


「う、うん」


「紀乃には伝えておかないといけないことがあるの」


改まって、志穂が語ったこと。



「紀乃、元気かな?」


今日の授業が終わって私は今日もお見舞いに行こうとしている。友達として当然でしょ?


あ、そういえば紀乃がいつも持ってるお守りって確かバスケ部の部室にあったわね。


紀乃は昔、姉から貰った手作りのお守りを大切に持ち歩いていてバスケで成功するように部室に置いてある。


それを持っていったら少しは元気になるはず。


私はバスケ部の部室に向かおう歩いていると体育館の方から


「アヤ!いい加減にして!!」


体育館の方からバスケ部の副キャプテン、渚先輩の怒鳴り声が聞こえてきた。


物静かでクールなイメージの先輩があんな声を出すなんて、何があったのか気になり体育館をのぞき込むと


「練習に全然集中してなくて!皆の練習内容も全て私!挙句にキャプテンを私に譲る!?寝ぼけたことを言うのも大概にして!!」


綾芽先輩と渚先輩が喧嘩をしていた。キャプテンを譲るって一体何があったの?


「言ったでしょ、ナギの方がチームに的確な指示も出せて采配もしっかり考えて行動する。私なんて紀乃の怪我の状態も知らないで軽い口でいいんじゃないって言って大切な後輩を重傷まで追い込んだのよ。

もうそう言う器じゃないのよ。罪を償うつもりでいるから、これはケジメでもあるの」


「キャプテンを辞めるのがケジメ?笑わせないでよ。それはケジメじゃなくてただ単に逃げるだけよ!紀乃が戻ってきてもアヤがそんな調子でチームがまとまると思うの!?」


「そのまとめるのをナギになったら全て解決するのよ」


空気が静まり返り他の部員も心配そうに二人を見ている。


「・・・失望したわよ」


「ナギ?」


「ずっとバスケに情熱を注いで、努力してアヤメゾーンも開発して、このチームのキャプテンにもなった人が自分のせいで後輩を傷つけただけで全てを手放す・・・バスケの愛はそんなものだったの?」


「ナギ、違っ」


「言い訳なんて聞きたくない!そう言うのなら、アヤが、いや綾芽がそう言うのなら私はこのチームを去る」


「ナギ!何を言って!」


「キャプテンがそんなんじゃチームは崩壊する。そんなチームにいたって何もならない。

紀乃が戻ってきても、そこに愛が無ければ、このチームには一生戻らない」


「ナギ待って!渚!!」


渚先輩は綾芽先輩に止められながらも私がのぞいている反対の扉から出ていった。


「た、大変なことに・・・」



「今、バスケ部は崩壊の危機に直面してるのよ」


私が知らないところで・・・それもこれも原因は私。言い方を変えれば馬鹿な後輩の暴走のせいでチームのみんなに迷惑をかけてキャプテン副キャプテンも喧嘩して渚先輩はもうバスケ部にはいない。こんなのどうしたらいいの?


「き、紀乃落ちついて」


昨日みたいになりかねないと思って私を落ち着かせようとなだめる志穂。


私は一度深呼吸して


「大丈夫、まだ心は壊れてないから」


でも今でも寸前までは行ってる。このままじゃまた・・・


「志穂、来てくれたばっかりでごめんだけど今は一人でいたいの。だから」


一つも変わらないかもしれないけど考えたい。


「紀乃ならそう言うって思ってた」


志穂は病室の扉を開けて


「どんなになっても、私は友達だから」


志穂は微笑んで部屋から出ていった。

どんなになってもって、それは私もだよ。


・・・考えたところで私はコートには行けない。どちらせよ私が二人を止める権利も無い。このまま黙って指をくわえて見るしか、もう道は無いのよ。


私もこれをきっかけに、バスケから離れようかな・・・それで苦しみが解放されるなら。


「ガラッ」


突然病室の扉が開いた。


志穂が戻ってきたと思っていたらそこにいたのは


「空、君?」


私の怪我を聞いたのか空君が一人で来てくれた。



はい、めっちゃ中途半端なところで終了です。


これ以上進めると次の話のネタバレに直行するから。


まぁこういう展開も悪くはないでしょう。


次でこのバスケ編もラストですよ〜。

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