無理は禁物
ど〜も。
佐奈お姉ちゃんの妹の紀乃です。
やっと私達が中心の物語です・・・待ち望んでいた。
でも結構重要な話とかバスケ部の話なんで割とシリアスなとこです。
これで私の株も上がればいいのですが。
では、どうぞ。
新人戦が終わってしばらく経った。優勝した勢いもあって練習試合も連戦連勝、快勝で勢いがすごい。このまま行ったら県大会とか優勝するかも・・・後、半年以上も先の話だけど。
男子の方もかなり好調らしくて新人戦も危なげなく快勝。空君もフルスタメンで全て結果を残している。流石ね、プロからスカウトされるのも時間の問題ね。
私と空君の関係?別に少しずつ進歩してるくらいよ。最近なんか表情が柔らかくなった気がするけど、無表情だからわからない。
好きって感情は多分無いと思うけど、う〜ん、なんだろうこの感じ。
少しずつわかっていけば、大人に近づくんだろうなぁ。
この勢いを沈めてはいけないと思って私は毎日練習を重ねていった。一年の中では一応私はスタメン。フルでは無いけど大事な場面を任されるようにはなったりする。
ここぞというところで決めれるように練習はしないと。
私は安定はしてきているとは言えまだシュートが決まらないときもあるため基本はシュート練習をやっている。もちろんパスとかドリブルとかもやってるけどね。
そんなある日だった。
授業が終わって放課後、いつものように体育館に入りバスケの格好になっていつも通りシュートの練習をし始めると
「紀乃、ストップ」
始めたばかりなのに先輩に止められた。
私を止めた先輩は副キャプテン、黄岬渚。チームをまとめる一人でキャプテンの綾芽先輩の親友で支える人。チームにあまり馴染めなかった頃、渚先輩がカラオケとかに誘ってくれてみんなと仲良く出来た。綾芽先輩と同じで本当に尊敬できる人。
「渚先輩、なんでですか?」
「足を見せて」
私はドキッとした。
「え、え〜と今ちょっと足は・・・」
「いいから見せて」
渚先輩には色々と見破られる、我慢していたけどなぁ。
私は観念してコートの外に出て先輩に座って足を見せた。
「やっぱり腫れてる。最近無理しすぎよ」
前に一人で練習したときにくじいた足があのときよりも腫れていた。元々新人戦のときも完治はしていなくていつも通りのプレイが出来ていたから問題無いと思っていたけど、あれは空君がしっかりと処置をしていたから痛くなかっただけで、最近になって痛みがどんどん出てくるようになってどうしてもプレイに影響してくる。
でも空気を壊すようなマネをしたくなかった。ずっと黙っていたけど、ついにバレてしまった。
「だ、大丈夫ですよ。こんなんでプレイが出来ないなんてこと無いですし」
「絶対嘘でしょ。痛くないわけないでしょ」
「うっ・・・でも、ここで頑張らないと上手くなんて絶対になれないです!」
「休息は必要よ。無理して身体を壊したらバスケどころじゃない」
正論攻撃に私は太刀打ちできなかった。
「別にいいんじゃないの?」
正論をぶち壊す言葉が出てきた。その人はキャプテンの綾芽先輩だった。
「紀乃は今の雰囲気のまま行きたいんでしょ?本人が今絶好調なんだからガミガミ言ったらせっかくのやる気が無くなるだけだよ、ナギ」
「アヤ、別にしつこく言うつもりは無いけど、私は紀乃の足がただ心配なだけよ」
綾芽先輩と渚先輩は中学のときからの大親友。名前もあだ名で呼び合える二人である。
「でもその腫れは危ないね・・・よし、おーい桃谷く〜ん」
空君はどこからともなく出てきた。
「瞬間移動でも出来るの!?」
「桃谷君がこの前処置したんだよね?この前みたいに応急処置出来る?」
瞬間移動の件は普通にスルーされた。
綾芽先輩の言葉に空君は頷いて包帯と冷却スプレーを取り出して前のように手当をしてくれた。やっぱり染みるけど痛みがどんどん消えていく。
これでいつも通りのプレイが出来る!
「空君ありが・・・ん?」
いつものように感謝の言葉を言おうとすると二つ折りにしてある一枚のメモを渡された。
「今書いたの?」
頷いてそのまま男子バスケサイドに行った。
あの一瞬でよく・・・二つ折りにされた紙を見ると
「無理は禁物」
だけ?無理は禁物・・・メッセージにしてはかなり簡単だけど、他にも伝えたいことがあるのかな?こういうときに口で話してくれたらいいのに。
まぁそれはそれで本人の都合だし、仕方ないか。それよりも練習しないと。
練習に復帰するとすぐに渚先輩が
「そんなに早く動いて大丈夫なの?」
「もう痛みも無いんで大丈夫です。それよりも練習付き合ってくれないですか?」
「え、ええ、別にいいけど」
「ありがとうございます。じゃあまずは・・・」
こうして練習を再開した。
週末、地区大会が開催することに。そこまで大事な大会がじゃないけどさらに勢いをつけようと大会に参加。その一回戦、私はスタメン出場することに。
試合は順調に点を入れていき後半に差し掛かる所で十点の差をつけていた。
でもまだ私は一回も入れていない・・・足の痛みが少し感じていて上手くシュートまで持っていけずパス回しばかりしてる。
チームのために活躍しないと、スタメンから外されてしまう!
そう考えているときだった。
相手のタイムアウトで一旦試合が中断。
綾芽先輩と渚先輩がこの先を相談していた。
「十点リード中の状態、ナギなら今からどうする?」
「残り時間も五分足らず、守りに転じるのが最善の方法だと思うけど」
「流石ナギ、チームの司令塔ね」
「まぁアヤはパスの申し子、チャンスがあれば誰かにパスしてもいいわよ」
渚先輩はチーム全体の指揮を執るリーダー的存在。明確な指示を送り確実に点を取るバスケを取る。基本的な作戦などは全て渚先輩が取っており人選、シュートの位置、臨機応変な対応、キャプテンの綾芽先輩よりも渚先輩が積極的に行っている。渚先輩がいないとこのチームが成立しないことも少なくない。
綾芽先輩はパス回しに特化して自分の射程範囲であれば味方がどこにいてもパスを回せる桜木○道も顔負けのサポート力を持っている。
ちなみに射程範囲は円形約15メートル。コートの三分の一以上で綾芽先輩にボールが回ればほとんどの確率でパスを回せる、私達は射程範囲に入った綾芽先輩を渚先輩が命名したアヤメゾーンと呼んでいる。綾芽先輩もノリノリらしいけど。
「じゃあこの方法で。私がチームの皆に言ってくる」
守りに力を入れるみたいだけど・・・私は渚先輩の前に立って
「先輩、私に一度だけでもボールを持ってもいいですか?」
私は相談を持ちかけた。チームの司令塔の渚先輩の許可がないと勝手な行動は許されない。
「紀乃、話は聞いていたでしょ?今から守る。時間もそこまであるわけじゃないからリスクを負う必要が無いのよ。それに足だってまだ治ってないでしょ?この試合に紀乃を入れたのは足の容態を見たかったのよ。まだ動けてたけどどうもフルには動けてないのよ」
「でも!チャンスがあれば攻めてもいいんですよね?そのチャンスを私が活かしたいんです!」
「でもね」
「それに今回の試合で私はそこまで活躍してないです。足は一度だけなら耐えます。最後に一度だけでも!」
「う〜んそれにしてもね」
中々食い下がらない渚先輩に
「いいんじゃない?一回だけなら」
綾芽先輩が話を聞いていたようで渚先輩を説得するようだ。
「アヤ!アヤは紀乃に対して甘すぎる!」
「別に甘やかしているつもりは無いよ。ただ本人がこのチームのために、バスケのためにって言ってるんだから私はその行為を無駄にしたくないだけ。それに最終的な許可は私が出すんだから」
「っ!・・・いいわ、その代わり始まったら速攻で仕掛けるよ。カウンターを狙われてもまだ反撃できるから」
渚先輩、綾芽先輩の許可がおりた。
「ただし、言ったからには決めるってこと。私は期待してるね」
綾芽先輩のプレッシャー・・・決めるしか無い!
タイムアウトが終わり、チームに作戦を伝えて、試合が再開する。
私はプレッシャーを感じながらもそれなりに決める自信はある。あれだけ練習したんだから絶対に決める。それを思ったら自信しか湧いてこない!これは決めれる!!
試合再開のホイッスルが鳴った。
渚先輩のボールから始まり渚先輩は速攻で
「アヤ以外は紀乃のサポート!アヤ!」
そう言って渚先輩は近づいてくるプレーヤーを避けながら綾芽先輩に渡した。
私も自分がシュートできる位置まで走った。
するとそこまで痛く無かった足がいきなり激痛が走った。
なんで今になって・・・いや、今はそんなことを言ってる場合じゃない。私はアヤメゾーンに入り大声で
「先輩!!」
その声に反応して綾芽先輩は私にかなり早いスピードでボールを渡してくれた。
しっかりキャッチして相手が来ない内に速攻でジャンプシュートした。
「入って!!!」
しかし、私の声は届かずゴールポストに弾かれ相手ボールになってしまった。
そんな、は、入らなかった・・・
私は着地する直前ジャンプに力を入れてしまったせいかさらに足に激痛が走り、上手く着地が出来ずに足をくじいた。
「いっ!!」
あまりの痛さに私は立つことすら出来ずにそのまま倒れ込んでしまった。
「う、うぅ・・・痛い・・・」
うめき声を上げてしまい、痛みなのかわからないが私の目には涙が浮かんでいた。
それに、なんだか眠たくなってきた・・・
「紀乃・・・紀乃!!」
かすかに聞こえてくる綾芽先輩の声・・・もう、私、動けない、よ・・・
と言うことで良いところでとりあえず終了でございます。
かなり中途半端?な気がしますがこっちの方が展開も気になるでしょう。
次回は一体どうなることでしょうか。
それではまた次回。




