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番外編2~俺の体が〜

番外編その二



これはある日のことである。


あ、語り手は蒼です。


ある朝、目覚ましが鳴って俺は目を覚ました。何ら変わらない日だと思っていた。


でも何か違和感があった。何かこう、俺じゃ無い感じがしていた。自分の体だから異変があったらすぐに気づくけど・・・


俺は起き上がるとどうも体が重い。なんか胸が重い気がするけど・・・え、胸?


下を向き胸を見てみると、どう見ても膨らんでいた。


いやいや、まさか、そう思って恐る恐るその胸を触ると・・・めっちゃ本物っぽい。こんなに柔らかいんだな。


ん、ちょっと待てよ。これもしかして、あそこも・・・


な、無い。


お、俺まさか、お、女になってしまった・・・


そ、そうだ鏡!

動揺する心を落ち着かせて部屋に置いてある鏡を見てみると、紛れもない俺では無く、俺に少し似ている女の人になっていた。


「こ、これが俺・・・こ、声も!」


声も高くなっていた。完全に性別が逆転している。


「おいミカエル!どういうことだよこれは!」


絶対にミカエルの仕業だろこれ!俺になんの恨みがあってこんなことするんだよ!


ミカエルを起こすと、目を擦りながら


「う〜ん何よ朝から・・・え、どちら様?」


こいつ・・・


「とぼけるな!お前だろこんなことやったの!」


「な、なんの話ですか!私あなたに会ったことも無いのに何をするんですか!」


「・・・本当に知らないのか?」


「身に覚えが全く無いです。それにここにいた男は知らないですか?」


「その男が俺だよ」


この言葉にミカエルは口を開いたまま動かなくなり、石化したようになってしまった。


しばらくしてからミカエルは、鼓膜が破れるぐらいの声で


「ええええぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!!!」


う、うるせぇ。驚きすぎだろ。


この声を聞いてミカエルの横で寝ていたルシファーさんが


「何よ騒がしい」


流石のルシファーさんも起きてさらに二階から


「どうしたのミカエルちゃん!」


母さんもやってきた。


飛んできた母さんにミカエルは震える声で


「あ、蒼が、お、女の子に・・・」


と、言いながら俺に指を指した。


母さんも俺を見てミカエルみたいに声を出すのかと思ったら冷静に


「あら、私女の子を産んだ覚えは無いんだけど」


「母さんもう少し驚いてよ」


俺達よりも人生の先輩なのはわかってるけど冷静過ぎだろ。


でもミカエルが知らないってことは、その横で寝ていた・・・


「蒼ったら可愛くなったわね」


この人今の俺がどれだけ大変なのかわかってないだろ。


「あのジュースみたいなの飲んだ?」


やっぱりルシファーさんか。あのジュース?

昨日のことを思い出してみると


「そういえば夜寝る前にコーラあったからそれ飲んだぐらいだけど」


「あーやっぱり飲んじゃったか」


え、何?飲んじゃダメなの?


「蒼あれを飲んだの!?」


ミカエルも知ってるようだけど・・・


「あれ変な味しなかった?」


「味?・・・そういえばコーラにしては炭酸もなかったし、そこまで甘くもなかったような」


するとルシファーさんはジュースのことを説明してきた。


「あれジュースじゃなくて薬なのよ、天界のね」


薬?


「あのコーラみたいなのが?」


「そうあのコーラみたいなのが。万能の効果があってちょっとの病気だったら飲めば一瞬で治ると言う結構究極の薬なのよ」


それやばすぎるだろ。


「ただその分薬の材料とかは貴重なものばかりで地上界でしか取れないものもあるから、たまにこっちに降りてきて材料を取ったりするのよ。まぁ作ってるの私だから今取るのは簡単だけど」


「・・・それ材料なんですか?」


「まぁ聞かない方が身のためかな」


「それ飲んだんだ・・・で、それがなんで家に?」


「最近ちょっと天界に行く用事があったから行ったときにガブ姉に頼まれちゃったから。断ったらまためんどくさいこと言われちゃうから引き受けて、明日天界に持っていこう冷蔵庫に入れておいたのよ。常温に弱いから。

そしたら案の定、こうなったのよ」


それがあった理由は分かったけど、肝心のことがまだ分かってない。


「薬なのになんでこんなことに」


俺が女になった理由が知りたいんだ!


「元々天界用の薬だから人間に合わないのよ。

その結果体が突然変異して女の子になっちゃったってことかな」


・・・天界の材料も入ってるから、合うはずないのか。納得出来ないけど。


「じゃあ、俺一生このまま・・・」


もう男として生きていけなくて第二の人生の女に・・・


「基本天界の薬は人間に使用しても効果がないのよ。今回のケースは材料に地上界のものがあったから起きたエラーみたいなものだから効果があっても一日だけよ」


なんかよくわからないけど一日だけか。良かった、一生女じゃなくて。


「今日は一人の女子高生として堪能することね。体が女の子になったからって変なことしたらダメだからね」


「しませんよ!」


くすくすと笑いながら布団にもぐり


「じゃあ私はもう一回寝るね〜・・・すー、すー」


もう寝たよ。寝るスピードは渉以上だな。でもあいつは回数が異常だから。


て、そんなこと言ってる場合じゃない。この姿で学校に行くって結構キツいぞ。


「よくあんな怪しいもの飲んだわね」


ようやく状況を理解したミカエル。


「見た目とか完全にジュースだろあれ。間違えても仕方ない」


「そ、そうかしら・・・」


何かどうもぎこちないミカエル。多分ここから普段なら喧嘩に発展するんだけど言い返してこない。


「どうした?」


調子でも悪いと思って聞いてみると


「普段通り出来るわけ無いでしょ!昨日まで男だった人が今日だけ女の子になるなんて!」


何かスイッチが入ったように怒り出した。


「い、いきなりだな。俺だって好きで女になったわけじゃないから。今日一日ぐらいは我慢してくれ」


「なんか女の子なのに蒼の口調で喋ると違和感しかないわね」


「心は俺だからな」


すると母さんから


「早く支度しないと遅刻するわよ」


言い残して部屋から出て行った。


支度って・・・


「俺この姿で学校行くの?」


絶対に引かれるだけだろ、特に佐奈さんにこんな姿を見られたら・・・生きていけない。


「行くしかないでしょ」


他人事のように言いながら支度するミカエル。


「行くしかないって、行ってどうなるんだよ。

女になった俺ってみんなに信じられるわけないだろ」


一瞬で学校の制服に着替えを済ましたミカエルはため息を吐いて


「仕方ないわね、待ってなさい」


いきなり天使の羽を広げ窓を開けそのまま飛び立っていった。


「お、おいミカエル!」


呼んでも反応しなかった。だ、大丈夫かよ、あの姿を人に見られたりしたら俺でもフォロー出来ないぞ。


んー、とりあえず俺も制服を着よう。


制服を手に取り着てみると


「キッつ」


男用の服だから胸がキツい。女子って毎日こんな思いしてんのかな、それに胸も結構重いし肩がこる。一回なってみないとこんなの絶対わからなかったけど大変なんだなぁ。


にしてもミカエルのやつどこに


「案外女の子でもその格好は似合うのね、蒼子あおこ

ミカエル!いつの間に・・・


「・・・蒼子?」


あまり聞こえずらかったけど確かに言った。


「そ、今日一日は女の子だから名前は蒼子よ」


ついには名前まで変えられたよ。


「後、服も」


服も一瞬でミカエル達が来ている女子用の制服になった。


「ま、マジかよ」


流石に驚きを隠せないけど、天使の力だと思い続けて頭を納得させた。


「でも変える意味あるのか?」


「今さっき私が出ていったのは、蒼が蒼子になるように細工を仕込んできたのよ」


俺の頭上に?が浮かんでくる。意味が全然わからない。


「簡単に説明する、今の姿は蒼子になってるけど友達とか先生は今のあなたを蒼子とは見てくれなくて蒼として見るわけよ。だから蒼子として見てくれないと学校中がパニックになる。そこで私は地上界ではあんまり使いたくなかったけど天使の力を使って、蒼と言う男はいなくて蒼子と言う女の子はいるようにしたのよ。

つまりはみんなの記憶から蒼はいなくなって逆に蒼子がいるのよ」


・・・・・


「・・・一言で言うと?」


「蒼子はみんなが知ってる女の子ってところ」


説明が難しかったけどこの一言である程度理解した。要するに今の俺が学校に行っても騒がれないってことだな。


「悪いな、俺のために」


「か、勘違いしないでね!その状態で行って色々と騒がれるのがめんどくさいだけだからね!」


素直になれないやつだな。


「後、くれぐれも女言葉で話してよ。あなたは今女の子なんだから」


「あ、ああ」


「そこもああじゃなくて、うんわかったよ!」


「細すぎるだろ!」


こうして俺の苦労する一日が始まった。



一日女子高生として過ごすことになった俺はまず通学であることに気づく。


「これ、歩くのも大変だな」


「女言葉」


今は絶対に女言葉で話さなければならない。油断をしたら素が出る。


「こ、これ、歩くのも大変なのね」


やばい、慣れねえ。


「どういうことよ」


「胸が重くて歩くだけで疲れてくるのよ」


それに慣れない靴だから靴擦れしそうだし。


「それが女の子の日常よ。男子と違って手入れとか色々しなくちゃいけないから大変なのよ」


毎日こんな思いしてるのか・・・想像しただけでもやだ。


「・・・つーか・・・でもよく見つからなかったね」


危ない、いつもの俺になりそうだった。


「何がよ?」


「学校に行くまで飛んでる姿見られなかったこと」


あんな堂々と広げてたら絶対に誰かに見られるだろ。


「あぁ、大丈夫よ。普通の人からは翼を出したら私の姿は見えないから」


「消えるってこと?」


「透明になるって言ったほうがいいかしら。ただこれは私が天使だって知らない人にしか効果が無くて、あんたとか佐奈ちゃんは見えるから」


そんな便利な機能なんだな。翼出し放題なんだな。


こうして通学路を歩いていて、ついに学校に着いてしまった。


ミカエルは変えたって言ってるけど不安過ぎる。俺はミカエルの耳元で


「ほ、本当に大丈夫なの?」


「大丈夫よ、信じなさい」


ミカエルは俺を置いてどんどん先に進んでいく。


この姿、渉とか佐奈さんはこれが今は普通になってるんだよな・・・怖すぎる。


ミカエルの後を追って学校に入り、教室の目の前に来てしまった。一度深呼吸して覚悟を決めて


「お、おはよー」


と、言いながら教室に入るとそこに待っていたのは


「あ、蒼子ちゃんおはよう」


佐奈さんが笑顔で俺に挨拶した。それに俺の名前じゃなくて蒼子で。


「蒼子ちゃん、おはよ」


鈴音もなんの違和感も無く。


「蒼子ちゃんおはよ〜」


花梨さんも・・・これでわかった、本当に今は蒼が存在しなくて蒼子がいることを。それが俺なんだと。


「蒼子ちゃんどうしたの?そんなキョトンとした顔して?もしかしてどこか悪いの?」


目の前の現実に受け入れるのに必死だった俺を心配してくれた佐奈さんは俺の手を握って


「無理しちゃダメだよ、一緒に保健室に行く?」


こ、これ同性だからこんな普通に手とか握って・・・やばい、やばい、手が柔らかいし温かいし、心配してくれる顔が、可愛いすぎる・・・


「べ、別に大丈夫・・・」


流石に耐えられない、俺は佐奈さんの手を離して、急いで自分の席に向かった。


まだドキドキしてる・・・案外女になったの間違いじゃないかも。


「蒼子、おはよう」


今度は冬か。冬も俺を蒼子だって。


「ああ、冬、おはよ」


「いや〜今日はなんか暑いね、蒼子もそう思う?」


「そうかな?俺は・・・」


「俺は!?」


そうだ!女になってるから一人称も変えなくちゃダメなんだ!


わざと咳をして


「わ、私は普通だと思うよ」


誤魔化して笑った。


冬は首を傾げたけどなんとか過ごせた。


みんなに会ったけど、あと一人に会わなくてはいけない。


さて、この状態になったんだ、からかってやってもバチは当たらんだろ。


渉、日頃の恨みをここでぶつけてやるか。


渉の席に向かうといつも通り机に突っ伏して寝ていて俺は


「わ〜た〜る、ちょっと起きてくれない?」


甘えるような感じで渉の体を揺らして無理やり起こした。


だるそうに体を起こして


「なんだよ・・・」


まだ眠たそうな顔で俺を見ると、じーっと瞬きもせずに見てくる。


「な、なによ」


「・・・蒼、子?」


渉は首を振って頭が痛いのか頭を抑えて


「なんだ、この感じは」


これ、もしかしてミカエルが使った能力が完全に効いてないんじゃ


「悪いもう少し寝かせてくれ」


また机に突っ伏して眠りについた。


このやりとりを見ていたミカエルは


「蒼子、ちょっと来て」


俺を呼び出した、多分このことだろ。


廊下で話すことになって


「どういうことだよ?渉にも力を出したんだろ?」


思わず普通の言葉を出てしまったけど、佐奈さんや他のみんなは蒼子だってわかってたのに、渉だけ微妙だなんて。


「私にもよくわからないけど、渉君には強い抵抗力があるって考えるのが自然かも」


「抵抗力?」


「蒼って言う存在を消せずにいる。だから脳内で整理が出来ない状態になってるのよ」


あいつの頭はどうなってるんだ、天使の力でも対抗出来ないなんて、もう人間じゃないんじゃないか?


「・・・渉ならわかってくれるんじゃないかな」


「その姿を?」


「あいつは信じられるやつだ、受け入れてくれるはずだ」


天使だってすぐに信じてくれたあいつなら。


「確かに渉君なら口も堅いし、言いふらす心配もないわね。いいわ、渉君を呼んできて」


渉のことだからとミカエルも安心して力を解いてくれるようだ。


俺は再度渉の席に行き


「渉、ちょっと起きて」


俺は渉の手を引っ張り廊下に連れてきた。


「いきなりなんだよ、まだ頭が痛いんだ」


「その痛みを無くしてやるからよ」


何か渉は言い出したその瞬間ミカエルは渉の肩に手を置いて


「元に戻れ」


と、つぶやいた。何かされた渉は目を閉じていた。


「渉?」


ミカエルは肩から手を離しそれと同時に渉も目を開けて俺を見ると


「・・・誰?」


俺を蒼子だって知らない。普通の渉に戻った。


俺は周りを気にして


「ちょっと耳をこっちに近づけて」


不安そうに渉は耳を近づけて


「俺は、女になった蒼だ」


と、耳元でささやいた。絶対にびっくりすると思うけど大きな声とか出すなよ・・・


「なんだ、今度は女になったのか」


全然驚いてなかったしめっちゃ冷静だ。逆に俺が驚く。


ミカエルも驚かなかった渉に


「お、驚かないの?」


「まぁ驚いてはいる。でもここ最近驚くことだらけだったから、今度はそう来たかとしか思わなかった」


いや確かに天使の登場だとか色々あったから多少のことは驚かないやつだけど、俺が女になったことは素直に驚けよ。


「でもなんでまた」


俺は説明しようとすると始業のチャイムが鳴った。


「話はまた後でする。それで今俺が蒼だって知ってるのはここにいる中ではミカエルとお前だけだ。他は俺のことを女ってことになっている、だから俺の名前も蒼子になってるから、色々と気をつけてくれ」


とりあえず必要最低限のことは伝えておかないと。


「あ、ああ」


まだ状況を理解できないらしい。


朝のHRが終わりまた廊下に行き、ミカエルは佐奈さん達と話していたからミカエル抜きで俺は今までの事を話した。


「お前本当に面倒ごとに巻き込まれるな」


呆れたようにため息を吐いていた。


「好きでこんなことになってるわけじゃ」


「で、それはいつ治るの?」


「効力は一日だから明日には治るらしい」


「明日まで・・・変なことするなよ」


「ルシファーさんにも言われたけど、そんなに何かしそうなの?」


「まぁでも知ってしまったからな、今日ぐらいは面倒見てやるよ」


男気溢れる言葉に惚れかけた。女になったからそういう所も変わったのか?なんだか渉がモテる理由もわかった気がする。


「その代わり飯おごれよ」


惚れかけたって言ったけど一瞬で冷めた。やっぱ友達のままだ。


「そろそろ行かないと授業遅れるぞ」


一人先に行く渉の後を追って俺達は教室に入り授業を受ける準備をした。



四限目の授業が終わって昼休みに入った。


なんだかあんまり普段と変わらなかった。授業中に当てられても割としっかりと答えられたし。案外男から女になってもそこまで変わらないかもな。


「蒼子ちゃん!一緒にご飯食べよ!」


佐奈さんから誘われた。やっぱり変わってる。こんなこと一度も無かったのに。


「いい、渉君?」


基本的に渉と食べているから渉の許可が必要と思った佐奈さん。


「別にいい」


「よかった。じゃあ蒼子ちゃん、屋上で食べることになってるから一緒に行こ」


笑いながら俺の手を握って屋上まで引っ張ってくれた。・・・もう今の俺に悔いはない。



天使と出会って、天使と同棲して、そして今度は自分が女になったか。


あいつ何かトラブルとか身の回りに起こる呪いにでもかかってるんじゃないのか?


「蒼子、今日は女子グループと食べるんだ」


冬がこっちに近づいて俺に話しかけてきた。冬は蒼じゃなくて蒼子になってるのか。


「引っ張られて行ったよ」


「今日は一人なんだ」


「一人でも、食べ終わったら寝るだけだからな」


「ならあんまり変わらないね」


普段ならあっちに行くなんて絶対に無いけどな。


「・・・渉」


「なに?」


「僕だけかもしれないけど、何か大切なことを忘れている気がするんだ」


「・・・かもな」


冬も少なからず違和感を感じてるってことか。俺達の関係は天使の力でも断ち切れないってことかもな。



佐奈さん達と一緒に食べることにはなったけど、会話についていけない。


「私的にはお化粧は必要なときにやるぐらいかな」


「佐奈が化粧してる姿なんて見たこと無いけど」


「本当にたまにしかしないから、しかも練習でやるだけだからお化粧した顔で外には出ないかな」


「佐奈ちゃんは化粧しなくても可愛いよ〜」


「か、花梨ちゃん、そ、そうかな?」


「そうだよ〜そのままが一番だよ〜」


「あ、ありがとう。花梨ちゃんはどうなの?」


「やったことないからわからないよ〜、そういうのにはあんまり興味無いから〜」


「まぁ花梨ちゃんらしいね。鈴音ちゃんはどうなの?」


「私は最近するようになったぐらいかな、大人の女性として少しずつ進みたいから。天使ちゃんは?」


「私もたまにするくらいかな」


全然わからないし話すらも入っていけない。化粧って何?何をどうしたら化粧になるわけ?


「蒼子ちゃんは?」


佐奈さんが俺振ってきた。そっか今の俺女だから化粧とかも出来るのか。


「わ、私もたまにかな」


それなりに返事をしておかないと怪しまれる。


「みんなまだお化粧してないんだね」


佐奈さんが話に一区切りしてくれた。


俺はミカエルにみんなに聞こえないぐらいの声で


「女子って毎日こんな話してるのか?」


「こんなものよ。男の人からしたら全然関心しない内容かもしれないけど私達はこれで楽しいのよ」


会話も、何もかも男とは違う。そもそもこんなに会話は弾まない。同じ人間でもこんなにも違うものなんだな。


・・・案外でもこういうのも悪くないかも。



昼を食べ終わって午後の授業も受けて、ようやく今日の学校が終わった。


なんだか疲れた・・・すごい神経使った。


言葉、一人称、体、名前、全て違っていた。まるで俺じゃ無いみたいだった。


けれど、絶対に出来ない体験をしただけでもまだいいほうかもしれない。この体験を恋愛とかにも活かしていくか。


「蒼子、帰るわよ」


ミカエルも気遣っているのか早めに一緒に帰ってくれるようだ。


「うん」


早々にミカエルと一緒に校門を出た。


「ふぅ、なんとか終わることができた」


「自分のことを俺とかはあったけどバレて無いからよかったし運がいいことに今日は体育も無くて着替えとかも無かった。あっても絶対に見せないようにするけど」


「そんなこともできるのかよ」


でも今回の事件はミカエルがいたからここまで大事件とか大混乱が無くて普通の女子高生としていられた。言葉とか態度では絶対に言ったり見せないけど彼女は優しいんだよな。


「何見てるのよ?」


「い、いや別に」


このツンツンしてるところは治らないと思うけど。


そしてようやく家が見えてきた。


やっと長い一日が終わると思っていたけど


「あれ?」


家の前に誰か立っていた。


近づいていくとそこにいたのは


「佐奈ちゃん?」


紛れもない、佐奈さんが家の前にいた。


「どうしたの?家の前なんかに?」


どうやらミカエルもなぜいるのかわからないらしい。


「いきなりごめん。でもどうしても聞かなくちゃいけないことがあったから」


「聞くこと?」


「蒼子ちゃんって、蒼君?」


衝撃的すぎる発言に俺とミカエルは言葉を失った。


俺を、いやでも渉ですら俺を女として見てたのに、なんで佐奈さんは・・・


「ずっと今日、モヤモヤした感じに襲われていて、みんなの前だから平然としていたけどやっぱり聞かないとって思って。

自分でも何トンチンカンなこと言ってるって思うけど、私の心には蒼君って人がいるの。忘れようにも忘れられない人が、蒼子ちゃんは蒼君なんだよね?」


佐奈さん・・・こんなこと言われたらもう嘘なんてつけない。


「私は・・・いや、佐奈さん、俺は」


真実を口にしようとしたとき


「佐奈ちゃん、ごめんね」


ミカエルが佐奈さんのほっぺに手を当てたと思うと、佐奈さんは気を失って倒れてきた。ミカエルは優しく倒れてくる佐奈さんを支えた。


「お、おい!ミカエル、何したんだ!!」


まさか佐奈さんに手をかけるなんて、大事になったら許さない。


「この瞬間の記憶を無くしたの。佐奈ちゃんも渉君と一緒で記憶を塗り替えられ無かったのよ」


「だったら渉みたいに事情を説明して」


「これ以上、苦しめたく無いからよ」


「・・・え?」


「佐奈ちゃんは今日ずっと考えて違和感を抱きながら私達に普通の笑顔で接してくれたのよ。これで本当のことを言ってさらに気を使わせてどうするのよ。友達なら分かるでしょ。だから今日のことは忘れたほうがいいの、明日になればみんな元通りになるから、その中に佐奈ちゃんもいないと寂しいでしょ?だからこの瞬間の記憶ともう蒼子じゃなくて蒼になってるから」


俺は無意識に佐奈さんを気を使わせて苦しめていたのか?・・・ミカエルの言葉で何が大切なのかわかった気がする。友達のことを考える、なおかつ自分のことをどう思ってるのかを考えないとダメなんだな。


「悪い、俺がもっとしっかりしてたら」


「もう済んだことだから、次気をつけたらいいだけよ」


・・・ミカエルって本物の天使だけど、心も天使なんじゃ。


「私は佐奈ちゃんを送っていくからもう家に入ってゆっくりしてなさい。流石に今日は疲れただろうし」


そう言ってミカエルは自分の姿と佐奈さんの姿を周りに見えないようにして、翼を広げて飛び去った。


あいつも、友達想いなんだな。


「ただいまー」


濃い一日ではあったけど、楽しかったな。知らないことも知れたし、ミカエルにも教えられたし、こういう経験もたまにはいいかもな。



「俺今日風呂は?」


「入れさせるわけないでしょ」



翌日、目を覚ますと俺の姿はいつもの男の蒼になっていた。


「元に戻った!」


思わず少し大きめの声で叫んだ。


この声で寝ていたミカエルとルシファーさんも起きた。


「う〜ん、戻ったのね」


別に戻ったことに何も関心がないようなミカエル。


「あら〜女の子は女の子で可愛かったのに」


なぜか残念がるルシファーさん。


「元はと言えばあなたのせいですからね」


これからは冷蔵庫のジュースも慎重に飲もう。


その後はいつも通り普通に二人で準備して、いつもの通学路を歩いていた。


「まぁ男になったから、いつも通りこき使うわよ。昨日が特別なだけだからね」


「まぁ・・・うん」


「何よ、かしこまちゃって」


いや、まぁ、言おうと思うと意外と恥ずかしいな・・・でも、世話になったし、これだけは言わないと。


「ミカエル」


「外でその名前」


「いつも、ありがとな」


こんなはっきり感謝の言葉を言ったのは久しぶり・・・初めてに近いかも。


・・・何も言ってこないけどどうした?


「う、うううううるさい!何を勘違いしてるのよ!!馬鹿じゃないの馬鹿じゃないの馬鹿じゃないの!!!そんなんでう、うう嬉しくなんてないんだからね!!!!」


これまで以上に動揺していてテンパっていた。


感謝の言葉を言っただけなのになんでこんなふうに?


それから落ち着かせるのに大変だった。



やっといつもの学校だ!


一回深呼吸してから教室の扉を開けて


「おはよー!」


すると俺が入るとみんなが不思議な感じで見ていた。


え?どういうこと?


「あ、」


ミカエルはあることに気づいた。


「蒼子から蒼にするの、忘れてた」


・・・・・ミカエルーーー!!!!!!!



終わり

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