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冬の怒り

皆さんこんにちは、蒼です。


もう何回目か忘れたんでこのくだりは省きます。何回やったっけ俺?


そんなことより3手に別れた俺達は今回で最後、俺、冬、ルシファーさんでみんなの帰りを待つって話だけです。


それだけですが・・・はっきり言って今回のメインは冬の話なんですよね。


ただ俺もそこまで詳しくないんで・・・とりあえず見てください。



俺と冬とルシファーさんと言うちょっと変わったメンバーで渉やミカエル達の帰りを待っていた。


俺達3人がチョキを出したからこういう結果になったわけ。


まぁ別にこのメンバーになったからってどうってことないんですけどね、そもそも夏祭りに1回集まったし。


俺とルシファーさんは海から少し、ほんの少しだけ離れた石段に座り色々と話していた。


「蒼ってさ〜、好きな人とかいないの?」


直球すぎる言葉に動揺した。ルシファーさんマジでこういう話好きだな。


「い、いないっすよ、急に何言い出すんですか」


「ええ〜、本当?本当に本当?」


う、うぜぇー、いないって言うならいないって・・・いや、本当にマジで言ったらいるけど、絶対にルシファーさんにだけは話したくない。多分言いふらしそうだし・・・


「いないものはいないっすよ」


はぁ・・・あれ?そういえば


「ルシファーさん、冬のやつ知らないすか?」


話していてわからなかったけど冬がいない。着替えてたから海では無いと思うけど。


「冬君なら砂場でゴミ拾いしてるわよ」


ご、ゴミ拾い?海でめっちゃテンション上げてさらにゴミ拾いまで、テンションの延長でもしてんのかな?


「その冬はいまどこに?」


「さぁね、砂場行ったらいるんじゃない?」


「俺ちょっと探しに行ってきます」


立ち上がり砂場に向かうと冬がゴミ袋を持って本当にゴミ拾いをしていた。


あいつマジかと思いながらも俺は冬に話しかけた。


「ボランティア活動か?」


と、単純に興味本位で聞いてみると


「う〜んまぁそんな感じかな。海が好きだからやってるだけって言うのもあるけど」


そこまで海が好きなんだな・・・今回ので分かったけど冬の海好きははっきり言って異常レベルだ。


海で泳いでいた時にたまたま泳いでいた魚とか色々いたけどその魚の名前とかも全部知ってるし、泳ぎもプロレベルに上手い。

それになんか波が冬の泳ぎに合わせていると言うかなんというか・・・海が冬のことを好きになっていた?自分でも何言ってるかわからないのはわかるけど、う〜んこれをなんて言ったらいいかわからない。


難しいんだよなぁ、この表現って言うのかな?

だから・・・


「蒼もちょっと手伝ってくれないかな?流石に一人でゴミ拾いは厳しいからさ」


俺もか、まぁ別にやってもいいか。


「おっけー」


冬にゴミ袋とトングを渡されて砂場を回った。割とあった、海をキレイにするって意外と気持ちいいな。冬の気持ちが少しわかる気がする。


探しながらでも俺は冬について考えていた。


・・・そもそも冬って、最初どう知り合ったんだっけ?


確か・・・



まだ俺達が一年生の春の時、渉と同じクラスでまぁ普通に話かけたりかけられたりしている感じのごくごく普通の高校生活を送っていた時だった。


授業終わりに少し離れた席の渉のもとに近づき俺はいつも一人の大人しそうな男に興味を持ち渉に


「いつもあいつ一人だよな、なんか理由でもあるのかな?」


こう言ったら渉が


「理由も何も単に周りと馴染めないだけだろ。人見知りが激しいんだろ」


ごもっともらしい意見に賛同し


「ふ〜ん、それだけか〜」


「逆に何を期待したんだよ」


「いや別に・・・よし、決めた!」


「何を・・・っておい」


俺はそいつのもとに近づき


「なぁ、今日どっかよっていかね?」


と、声をかけた。


彼は驚いていた。まぁ知らない人に声をかけられたら誰だって驚くか。


驚いていた様子だったがすぐに目を合わせていたか目をそらし


「い、いや、僕は・・・」


口をごもごもしながら聞き取るのは困難だった。


「いいから行こうぜ!俺と二人きりじゃないからよ、なぁ渉、お前も来るよな?」


半ば強引に渉を誘う形にした。


そうしたら渉もこちらに来て


「なんで俺まで巻き込むんだよ」


「そう言うなよ、なんか奢るからよ」


渉は少し考える素振りを見せて大きくため息をはいた。


「そういうことだ、行こうぜ」


俺と渉は彼を連れてコンビニに行った。いきなりゲーセンとかファミレスは連れに行きにくいからここはコンビニで様子見ということで。


コンビニに向かい、コンビニに入って俺はアイスを買おうと物色していると渉が横入りしてきて


「俺これ」


割と高いアイスをせびってきた。いやまぁ奢るって言ったからしょうがないけど・・・本当に容赦ないな。


「わかったよ・・・で、どうする?」


「え・・・僕?」


俺の横にずっと黙って見ていた彼に俺は


「これも何かの縁だ、何か奢ってやるよ」


「ぼ、僕は・・・」


「別にいいって、無理やり連れてきたのも俺だしたな。友達と食うアイスも格別だぜ、なぁ渉」


「味は一緒だろ」


「お前空気よめよ、いいから選べよ」


おどおどしながら選んだアイスは渉との一緒で高いアイスだった。割とこいつも容赦ないな・・・金足りるかな・・・


二人分のアイスを買って俺も意地で高いアイスを買ってやった。揃えないとなんか嫌だったし。


彼に買ったアイスを渡した。


「ほら」


「あ、ありがとう」


まだ緊張している感じだった。クラスメイトなのにまだ慣れないのか・・・一肌脱ぐか。


「まだ緊張してんのか?俺達クラスメイトだろ?なんでそこまで萎縮するんだよ」


彼はこの言葉でようやく聞こえるぐらいの声になり


「ぼ、僕、こんなことされるのなんて初めてで中学生の時はずっとその・・・いじめられていて、友達なんていなかった。だからすごく嬉しくて・・・」


「いじめ?いじめられていたのか?」


「うん、暴力とかは日常だったから・・・友達の作り方を分からない」


こいつ・・・苦労してきたんだな。ずっと孤独で悲しかったんだろうな。


友達か・・・


「だったら初めての友達になるぜ俺が」


「えっ」


「友達がいたら悲しいことなんて無くなるし、孤独も無くなる。一緒にいるから楽しくなるんだ。だからこれから作ろうぜ俺達の思い出を!」


決まった・・・


「だっさ」


渉がぼそっと俺だけに聞こえる声で言ってきた。


「うるせえ!」


この間も少し彼は黙っていたが口を開け


「昔のことも忘れられるかな?僕は幸せになれるかな?一人にはならないかな?」


目を見ると涙が溜まっていた。辛いことを思い出していたと思うけど、救わないとな。


「まかせろ、俺が保証する!いっぱい楽しもうぜ!」


俺の言葉で彼は涙を流した。


「そんなこと言われたの初めてだよ・・・ありがとう・・・」


俺もこんな体験は初めてだ。一人の友達を救えたんだ。これ以上の幸福は無いって感じだな。


あっそういえば


「自己紹介まだだったな、俺は風間 蒼、お前は?」


彼は涙を拭い


「冬・・・雨宮 冬」



これが確か冬との初めての出会いだったかな。それからは別人のように俺達に接してきたな。他にも友達が出来て本当に良かった。


あいついじめられてたんだな。過去を話すのは流石に苦痛だと思うから過去の話はなるべく振らないようにしている。


今はかなり幸せそうだからいいけど・・・このまま何も起こらないといいけどな。


俺はゴミを持って冬の所に戻ると冬もごみ拾いをちょうど終わったところだったらしい。


「あ、蒼、お疲れ」


「割かしあったな、これは拾わないとダメだな」


「でしょ、海は皆の海だから一人一人が力を合わせないとキレイになんてならないよ」


「そうだな」


その後は俺と冬はゴミを近くにあったリサイタルの店に入ってゴミを置いて俺達は出ていった。


「それでさ渉がさ・・・」


俺と冬が話しながらルシファーさんのいる岩場に戻ると冬が戻った瞬間また海の方に向かった。


「冬?」


俺は不思議に思い冬の後を追った。ルシファーさんも俺に付いて来るように来た。


海に来て冬を見るとキレイにしたはずの砂場に空き缶が捨てられているのを冬はじっと見ていた。


それは俺も少し悔しかった。俺達のやったことってなんだったんだとは少し思った。


ただ冬はずっと空き缶を見ていた。


その不思議な冬の姿を見てルシファーさんが俺に耳元に


「ねぇ、冬君あれ何をやってるの?ずっと空き缶を見ているだけな気がするけど」


「俺もそれはわからないですよ。ただ今さっきまで俺ら砂場のゴミ拾いしてたから悔しいんじゃないですか?」


俺とルシファーさんが冬の何をやっているかを話していると冬は片膝を砂場につけ、空き缶を手に持ちずっと見つめ、口を開けた。


「・・・海はいつでも素直で正直だ」


あまりに唐突な言葉に俺とルシファーさんは言葉を失った。


「どんな人が来ても、どんな魚が生まれても、いつでも歓迎してくれる。

海で生きている生き物だっているのに、人間が荒らすなんて許されない」


冬、何を言っているんだ?


「生き物は皆平等だ。人間だけが上にいるなんてありえない。勝手をするなんて許されることではない・・・

僕は海は汚すものは許さない!」


・・・あんな冬は初めてだ。感情的になることはあるけどあそこまでは・・・


な、なんか今まで静かだった海が急になんか波が大きくなっている。荒れているのか?台風なんて・・・て言うかずっと静かだったから台風なんてありえないし・・・冬と海がリンクしている?


「る、ルシファーさん・・・ルシさん?」


原因を聞こうとルシファーさんに訪ねようとするとルシファーさんが何かに怯えているように震えていた。


そして独り言をこう話した。


「まさか・・・いやそんなはずは無いでしょ。だって冬君は・・・でも、この海が怒っている。今の冬君と一緒に怒っている。

冬君が今高校二年生なら、急がないといけない。はっきりした、冬君は・・・」


「ルシファーさん!」


意味が分からない。ルシファーさんは何を言っているんだ?冬が高二なら何があるんだ?急ぐ?何をだ?ルシファーさんは一体何を調べているんだ・・・俺は混乱するルシファーさんを呼びかけた。


「あ、蒼・・・ごめん、ちょっと焦っちゃった」


何を焦ることがあるんだ?でも冬と海が関係しているのは間違えない。と、とにかく冬を落ち着かせないと。


俺は冬の背中に手を置き


「冬、気持ちは分かるがとにかく落ち着け。今怒っても何も始まらない、これを捨てたらまた元通りだ。落ち着け」


気を荒立てないように、静かに慎重に言葉を言った。


すると、荒立っていた海が静まり、冬も落ち着きを取り戻してきた。


「・・・うんそうだね、ここは落ち着くのがベストだね。ありがとう蒼」


なんとかいつもの冬に戻った。


「俺が空き缶を捨てに行くから冬はルシファーと一緒に皆の帰りを待っていてくれ」


空き缶を手に俺はさっきのリサイタルの店に向かった。


・・・今の冬はなんだったんだ?ルシファーさんの怯えた様子はなんだったんだ?何もかも分からない。一体、何が起ころうとしているんだ?

・・・天使であるルシファーさんがこの人間界で恐れるものは無いって言っていたことがある。じゃああの感じは恐れていたってことなのか?でも冬に恐れるなんて無い。・・・冬は人間じゃない?


な、何言ってんだ俺、ルシファーさんは海に来たのは二度目って行ってたから荒れている海に怯えていただけで、冬が怒って海が荒れたのもたまたまだろうし。

なんだ、俺が早とちりしていただけか。


俺は空き缶を店に置き店からでると


「蒼く〜ん」


右から俺を呼ぶ声がした。


その方向を向くと渉と花梨さんが二人並んで花火を持ってこっちに来ていた。しかも普通に話しながら。


「蒼君、買ってきたよ〜」


「冬と瑠花さんは?」


「え・・・あ、あっち」


冬とルシファーさんがいる方向に指を指すと


「だ、そうだ。花梨、渡しに行こうぜ」


「おっけ〜」


えええ!?どうなってんの?あんなに距離とっていた二人が急に仲良く・・・


行こうとする渉を


「わ、渉!ちょっと待ってくれ!」


渉は立ち止まり


「花梨、先に行ってくれ」


「うん、わかった〜」


花梨さんだけが冬とルシファーさんのもとに行き渉はこっちに来た。


「なんだよ、なんか用?」


何故かちょっと不機嫌そうだった。


「い、いや行く前と来た感じが全然違ったから聞いてみようと思ってさ」


「違うって何が?」


「そ、その、花梨さんと普通に話していたから」


「ああ、単に友達に戻っただけだから。別になんかあったわけじゃない」


「そ、そっか」


なんだかんだ渉も多分花梨さんと仲直りしたかったんだろうな。

まぁ良かった良かった。


「蒼ー」


今度は左側から声がした。


そこにはミカエル達が全員の分の弁当を持ってこっちに来ていた。


すると何故かミカエルと佐奈さんが二人こっちに走ってきた。


「蒼!」


「蒼君!」


えっ、何?俺、なんかした?


「べ、別に呼んだだけだからね!ひ、暇つぶしに呼んだだけだからね!!」


ひ、暇つぶし?


「わ、私も、何を言おうとしたのかを忘れちゃった・・・」


佐奈さん・・・天然可愛すぎ。


・・・なんか変な空気になったな。渉もいるし。


「と、とにかく皆の所に戻るか」


俺達は集合場所に戻った。


その後は皆で弁当食べて花火をして帰った。

楽しかったよもちろん・・・ただ、なんかすごい変わった。海行ってこんなに変わるものなのか全部。


とりあえず楽しかったけど疑問はあった。特にあの二人、冬とルシファーさん。

冬は一体何を訴えていたんだろう、ルシファーさんは何に怯えていたんだろう。


ここからは俺が分からない世界になるんだろうな。



はい!と言うわけで、これで海編は終わりになります!


すっごい濃い話ばかりでしたね。渉と花梨さん、ミカエルと佐奈さん、冬とルシファーさん、俺と鈴音に関してはあんまり無かったけど。


と言うわけで、次で夏休みも終わりです。乞うご期待してください!


疲れた〜。

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