海〜突入〜
はい!皆さんこんにちは白石 佐奈です!
一人での語り手は初めてですからすっごく緊張しています・・・今も手と足が震えています・・・
そういえば私はこういう時は鈴音ちゃんにいっつも助けてもらってたからいざやるとなるとどうしたらいいかわからない・・・
でも頑張らないと!みんなしっかりとやってきたんだから私もしっかりしないと!
前回は海に行く直前で終わってしまいました。なので今回は海に入ると言う話です。
私では説明不足かもしれませんがよろしくお願いします!
それではどうぞ!!
私たちは海に行くために歩いていた。公園から海までは歩いたら20分から30分ぐらいかかる。これも海に行くイベントの一つだと思ったら歩くのなんてへっちゃらだよ。
流石に横に広がって歩くのは危ないから縦に並んで歩いている。二人並んで歩いているよ。
一番前の二人は蒼君と天使ちゃん。
その次は私と鈴音ちゃん。
私の後ろは渉君と冬君。
一番後ろに花梨ちゃんと瑠花さん。
蒼君と天使ちゃんは前から聞いてるとなんだか口喧嘩してるみたいだけど喧嘩するほど仲がいいだよね。羨ましいよ。
後ろの渉君と冬君は一方的に冬君が話していて渉君は相づちしている感じかな。
一番後ろの花梨ちゃんと瑠花さんの会話はよく聞こえないけど、なんかお互いを褒めあっているのかな?
それで私たちは別に大した話はしていないよ。普段話していることかな。
毎日電話で鈴音ちゃんとは話しているから鈴音ちゃんとだったら話が尽きないんだよね。
「でも私本当に海久しぶりだなぁ〜」
「それ昨日通話で話していたじゃない」
「そうだっけ?忘れちゃった」
「まぁ佐奈らしいけどね」
・・・そういえば鈴音ちゃんに聞きたいことがあったんだ。
でも今はやめておこうかな。本人が前にいるんだから。
「そういえば、ちゃんと宿題やってるの?」
うぅ、鈴音ちゃんの一言は私の胸に突き刺さる言葉だった。
「ま、まぁそれなりにやってるよ。美術の宿題の動物のポスターとか・・・」
「それだけしかやってないんでしょ」
や、やっぱり鈴音ちゃんにはお見通しだなぁ。
「ちゃんと効率良くやっていかないとダメじゃない。もう夏休みも中盤だし、去年の夏休みでそれを体験してるんだからしっかりとやりなさいよ」
なんだかお母さんみたいになっているけど正論を言われて反論すらできない。
でも去年は確かに少しずつやっていったけど後回しにしてたらいつの間にか夏休み終わりそうになってたから鈴音ちゃんに答えを見せてもらおうとしたら
「そんなんじゃ宿題の意味が無いでしょ。私が教えてあげるから頑張ってやりましょ」
それからその一日はずっと宿題をやる一日になったんだよね。あの時は休憩がほぼ無くてずっと勉強漬けだったから頭が混乱しちゃって大変だったなぁ。でもそのおかげで夏休み明けのテストは成績よかったから結果的に良かったんだけどね。
「う〜ん、今年は鈴音ちゃんに少しずつ教えてもらおうかな」
私は指先を顎に少し添えて目線を上にして言った。
「私は全然いいわよ。佐奈にその気持ちがあるなら私は協力するよ」
「えっ本当!?やったー!」
嬉しさのあまり両腕を上にあげた。
その私の姿を見て鈴音ちゃんは少し顔を赤くして
「ちょ、佐奈やめてよ。まだ学校とかだったらいいけどこんな道の真ん中で大袈裟に喜ばないでよ」
私の両腕を持ってそのままゆっくりと下に降ろさせた。
「あ、ご、ごめん」
よく考えたらかなり恥ずかしいことしたんだなって改めて思ってしまって顔を赤くしてしまった。
「もう佐奈は高校二年生なんだからそこをしっかりと実感しないとダメ。ほとんど大人なんだからそれに見合った行動が必要だよ」
や、やっぱり鈴音ちゃんの言葉一言一言がどんどん心に刺さって・・・病んでいっちゃうよ。
「う、うん、以後気をつけます」
思わず敬語で話してしまった。だ、だって今さっきの鈴音ちゃんの顔凄く怖かったから・・・
こんな話をしばらくしていると前にいる蒼君がいきなり
「あっ、見えてきた!」
遂に海が見えてきて私達もテンションが上がってきた!蒼君と天使ちゃんが走って海の方に向かった。その姿に私も走って海に向かっていった。
そして、海に到着!
「うわぁ〜久しぶりだ!」
私は感動してつい声に出してしまった。見渡すように辺り一面は青色でいっぱいだ。平日だから人もそこまでいない。まさに絶好の海日和。
「まったく、はしゃぎすぎよ」
後ろから歩いてきた鈴音ちゃんは冷静に私に言った。
「だって海だよ!テンション上がらない方が難しいよ!」
いっつも鈴音ちゃんには言われっぱなしだけど今回は違うよ、私は正論しか言わないよ!
「テンションの上がり下がりは人それぞれだからなんとも言えないけど、私だってテンション上がってないわけじゃないわよ」
「そうなの?」
「普通の人より私はあんまり表に出ないだけで実際は上がってるのよ。
海に行ったとは言え、入ったわけじゃ無いから今から海に入るの楽しみなのよ」
そうなんだ、なんだかちょっと誤解しちゃった。
後から来た渉君達も合流した。
「海か・・・いつ見ても広いな」
「それは当たり前だよ」
静かで笑顔の冬君だった。
「わぁ〜海だ〜」
キラキラした目で海を見つめる花梨ちゃんに
「乙女の目になってるよ花梨ちゃん」
瑠花さんも冬君同様笑顔であった。
そして天使ちゃんは何も言葉を発さずにずっと海を見ていて、目を見ると少しうるうるして涙目になっていのがわかった。
どうして?海に何か思い出でもあるのかな・・・もしかして海で自分の親友が溺れてしまって!それで・・・そう思うと、私もなんだか泣けてくるよ・・・
「さ、佐奈?どうしたの、いきなり泣きそうになって、海で感動してるの?」
す、鈴音ちゃん・・・理由、理由言わなきゃ・・・
「だ、だって見て天使ちゃんを」
私は鈴音ちゃんに天使ちゃんの方を泣きながら指さした。
「天使ちゃん、泣いてるの?」
「うん・・・多分、昔に海に一緒に行った親友が溺れて、それで・・・」
ダメ、やっぱり考えたら涙が・・・えぐ・・・
「それ佐奈の想像だよね?」
「えっ」
「佐奈の事だから天使ちゃんに聞いてないんでしょ。まったく決めつけは良くないよ、天使ちゃんだってもしかして初めて海に来て感動してるだけかもしれないよ」
・・・そうだ、これは全部私の妄想なんだ。実際にあったことじゃ無いんだからそんなに心配しなくていいんだ。もちろん泣いているのは心配するけどそれは理由を聞いてからでも遅く無いよね。
私は涙を手で拭って
「そういえばそうね、ごめんね鈴音ちゃん」
「私じゃなくて天使ちゃんに謝りなさい」
私は天使ちゃんの元に行って
「ごめん!天使ちゃん!」
頭を下げた。その私の姿にみんなは不審に思っていたらしい。
そして天使ちゃんは
「え、さ、佐奈ちゃん?ど、どうしたの急に?」
戸惑っていた。後々考えたらこれ全部私の妄想なんだって気づいた。なんか・・・恥ずかしい。
まぁその後はなんとか色々とごまかしたけどね。ほとんど鈴音ちゃんの実力だけど。
と言うわけで!やって来ました海!
絶対に楽しい!わくわくでいっぱいだよ!
私達は水着に着替えるために海の家にある更衣室に向かって、男子更衣室と女子更衣室に男女別に入ったの。
これってここの会話って話した方がいいのかな・・・読者のみんなに知ってもらうためにもここの会話も話す!
「わ〜佐奈ちゃん胸おっきいんだね〜」
みんなが着替えている途中に私は着替えるために脱いだんだけど・・・か、花梨ちゃんが近くでずっと私の胸見てくる・・・私は恥ずかしくなって胸を腕で隠して体を横にして
「は、恥ずかしいよ、花梨ちゃん・・・」
体が熱いよ、顔も赤くなってるに違いないよ。それはそうだよ、誰かに体をじろじろ見られるって事無いんだから。
「いいな〜私って身長も小さいし胸もあんまり無いから羨ましいよ〜」
ん〜胸とかあんまりわからないけど私の胸ってそこまで大きいかな?花梨ちゃんの胸の方が可愛いと思うけどなぁ。
「そんなこと無いわよ、あなたはこれからどんどん大きくなっていくはずよ。私みたいにね」
る、瑠花さん・・・え、お、大きすぎるんじゃ無いのかな?一般の人と比べたら倍ぐらいあるよ。わ、私と比べてもすごく大きいよ。
唖然となっていた私に
「佐奈着替えないの?あなた今下着だけで胸も出てるのよ」
「え・・・あっ」
冷静にさせてくれて私は急いで水着に着替えた。
私の水着はチェック柄のシンプルな水着!これぐらいが一番私に合っていると思うの。
三角ビキニって言うのかな?それを私は着ているの。
「佐奈らしい水着ね」
鈴音ちゃんを見ると、鈴音ちゃんの水着は黒のオフシャルビキニ。
オフシャルビキニって言うのは主に上半身、肩からバスト、背中などのお肌の露出に特化したデザイン性のビキニ。今どきのビキニって言った方がいいのかな?可愛い感じのビキニ。鈴音ちゃんにはピッタリな水着。
「オフシャルビキニってやっぱりおしゃれだね鈴音ちゃん」
「そう?一時期流行ったけど今は普通のファッションじゃない?」
そうかな?今でも私はおしゃれだと思うのに。
「佐奈ちゃん似合ってるわね・・・」
あ、天使ちゃん、天使ちゃんはピンク色のホルターネックのビキニだね。
ホルターネックって言うのは首の後で結ぶタイプになるけど、ビキニ水着の場合だと、バストを強調することができるのが特徴。
天使ちゃんの場合はしっかりと強調しているのがベスト!
「天使ちゃんの水着すごく似合ってるよ!」
私は一言そう言うと天使ちゃんは顔を赤くして
「・・・べ、別に自信が無かったわけじゃないからね!あ、蒼と一緒に行った時に勧められて買ったわけじゃないからね!私も良いと思って買っただけだからね!」
へ〜蒼君ってセンス良いんだね。天使ちゃんにはピッタリだよ。
「わ〜みんな似合ってるね〜」
次は花梨ちゃんだね。花梨ちゃんは白のパンツのビキニね。
これはパンツに、ショートやホットパンツタイプを採用したビキニ。ただあんまりこれは海に入らないタイプで日焼けを防止する水着だけど花梨ちゃん入らないのかな?
「花梨ちゃん、海に入らないの?」
「私泳げないんだよ〜、しかも私って肌白くて焼けないんだよ〜どっちかと言うと赤くなる感じかな〜」
へ〜花梨ちゃん泳げないんだ、しかも肌も焼けないんだ。なんだかちょっと羨ましいなぁ。私も日焼け止め結構塗ってるけどあんまり焼けたく無いんだよね。あんまり日焼けした肌好きじゃないからね。
「よしみんな着替えたわね」
瑠花さんは・・・パレオだっけ?
うろ覚えだけど確か「巻きつけるスカート」を意味する水着用の装飾アイテム。腰辺りに巻きつけるのが基本的な着こなしかな。
主に大人の女性が良く似合う衣装かしら、でも瑠花さんは着こなしから似合い方まで全部凄いことになっている・・・まさしく完璧と言える衣装ね。
「それじゃあ保護者として注意事項だけは言っておこうと思います」
腰に手を当て人差し指をたてて何故かドヤ顔で瑠花さんが言った。
「まず海を遠くまで行かないこと!もし溺れたりしたら大変だからね。
後、変なものに触らない!最近は砂浜にいる生き物に毒が入ってるってことがよくあるから触らないこと!
最後、とにかく楽しむこと!夏の思い出の最高潮とも言える海!存分に楽しむこと!以上!」
なんだか先生みたい・・・でも楽しむことは絶対だね!よし今日は思っきり楽しむぞ!!
「それじゃあ行くわよ!」
私達は更衣室を出ていよいよ念願の海に向かったの!!
一方の男子サイドはもう着替えを済まして浜辺にテントとシートを敷いて準備を済ましてシートに並んで座って女子達を待っていた。
「あ〜あ、みんな遅いなぁ〜」
蒼は暇を持て余していた。水着だけしか着ていない衣装だった。
「もう少し待てよ、俺らと違って水着を着るのは長く時間を取るんだからよ」
渉は蒼と違ってしっかりと女子達を待っている。渉は水着にアロハシャツを着て日焼け止めを塗って完全に日焼け対策している。
「そうだよ僕も入りたい気持ちでいっぱいだけど我慢しているんだよ」
冬も蒼と一緒で水着だけの格好だ。
「お前そんな楽しみにしてるんだな」
意外な姿に蒼は驚いていた。泳げない感じなのに・・・そういえばプロフィールで趣味遊泳って書いてあることを思い出した。
「漫画じゃこういうタイプは泳げないんだけどなぁ」
現実は違うと感じた蒼であった。
「おまたせ〜」
女子たちの声がして全員が振り返ると
「お、おぉ・・・」
蒼は太陽より眩しく海より美しい佐奈やミカエルの水着姿に思わず
「あ、ありがとうございます」
と、お辞儀をした。
「ど、どうしたの?蒼君?」
何故か感謝されたことに戸惑いを隠せない佐奈。
蒼の姿に渉は
「馬鹿」
ど、どうして蒼君が私にありがとうって言ったのはわからないけど・・・海だ!
「鈴音ちゃん!早く行こ!」
楽しみすぎて衝動が抑えられないよ!
「佐奈そんなキラキラした目で見ないでよ、急がなくても海は逃げないわよ」
そ、そうだ、落ち着いて落ち着いて。蒼君達も待ってくれていたんだから私一人がはしゃいでもしょうがない。
「あれ、渉君はあんまり焼かないのね」
鈴音ちゃんが渉君の日焼け止めを気にした。
「ああ、俺はどっちかと言うと色白だからな。あんまり日焼けはしたくないんだ。後で痒いし痛いし」
「そっか」
特に意味の無い会話でした。
「それじゃあそろそろ行こっか」
冬君が先陣を切ってくれたおかげで蒼君も
「そうだなそろそろ入るか」
いよいよ、海に・・・
私達は念願の海に入りに行った。
海を目に前に来た私は一番乗りに
「イエェェーイ!!」
テンションMAXの声を出して海に飛び込んだ!
気持ちいい〜!今年はプールも行ってなかったから余計だよ!はぁ〜体が喜びを感じてる。
「まったく、いきなり飛び込むなんてビックリするじゃない」
あ、鈴音ちゃん。
「いや〜ついつい興奮しちゃって」
「まぁでも今回ははしゃぐなとは言わないわよ。私も今日はハメを外させてもらうからね!」
そう言ったら私に水をかけてきた!
「この、やったな〜」
そのお返しに私も鈴音ちゃんに水をかけたの。
それが続いて・・・楽しかったなぁ。なんだかバカンスって感じするよ。
ちょっと疲れて浜辺に上がると座って海を眺めている渉君がいた。
「渉君は入らないの?」
海に来たのに入らないって勿体ないなぁ。
「もしかして泳げ・・・」
「いや泳げるけど今はそんな気分じゃ無かったからさ」
「・・・渉君?」
渉君は何かを思い出していたように感じた。ちょっと切ない感覚。私だけかもしれないけど。
「いいからお前入れよ!」
「だから後でいいって」
「海に後からなんかねーよ!」
「お、おい!」
蒼君は無理やり渉君のアロハシャツを脱がして海に引きずり込んだ。
渉君はベタベタになった。
それを見て何故か大爆笑している蒼君に腹が立ったのか蒼君の頭を掴んで海に無理やり潜らせた。
ごぼごぼと泡が浮き上がるのも気にもとめずにしばらく潜らせた。
すると渉君の腕を自分の頭から引き剥がして
「ぷはっ!」
顔を上げて息を思っきり吸い込んだ。
「死ぬっつーの!!」
どうやら本当に溺れかけたようだけど、渉君は何も悪びれていなかったの。
「こんなんで死ぬやつじゃないだろお前は」
「俺のことなんだと思ってんだよ!」
「ただの女々しいやつだろ」
「ストレートに言いすぎだろ!」
「事実だろ」
なんだか二人のやりとりを見てると微笑んでくるね。兄弟みたいだね。
「まぁまぁ二人とも、海で喧嘩は良くないよ」
あ、冬君だ。
「冬、別に喧嘩してたわけじゃ・・・」
「見てよこの広大な青色の世界を」
冬君はそう言って両手を広げ
「世界の半分以上は海なんだ。海に感謝して海をもっと偉大なものにしないといけないんだ僕達は。この綺麗で何色にも染まらない世界、なんて素晴らしいんだ。それに・・・」
そこから冬君は海について熱く語りだしたの。あんなに熱くなって話す冬君の姿は初めて見るなぁ、なんだか別の人って感じがする。そんなに海が好きなんだね。
「お、おい冬落ち着けよ、渉もなんとか・・・あれ?」
さすがに蒼君もおされすぎて困っているようだね。それで渉君に助けを求めようとしたけど渉君はいつの間にか・・・私も分からないうちに姿が見えなくなった。今さっきまでいたのに・・・どこいったんだろう?
「佐奈、ずっと蒼君の方を見てどうしたの?」
「えっ!?べ、別に見ていたわけじゃ無いよ!た、たまたま海見てたら蒼君が視界に入っていただけだからね」
・・・あれ?なんで私言い訳してるの?
「素直になってない佐奈は珍しいわね」
いつもなら私ただ見てただけって言うのに今だけは鈴音ちゃんに話しかけられてドキッとしたから言い訳しちゃった。
・・・わからない、考えてもこれだけはわからないよ。
「佐奈、ジュース飲みに行きましょ」
「あっ、鈴音ちゃん待って!」
私と鈴音ちゃんはテントに戻った。一体なんだったんだろ、さっきの感情は?・・・それにしても渉君どこにいったんだろう?
はぁ・・・ああなった冬はめんどくさくなるのは分かっていたからな、離れておいて正解だ。
俺は今砂浜を歩いている。日焼け止めは塗ってあるから日焼けは心配無い。とは言え濡れたからシャツが着れない・・・あの野郎。
・・・ん?あれは・・・
「・・・がはっ!ハァハァ、どうして泳げないのよ私・・・」
俺の目の前の海にまったく泳げていなくて溺れかけていたが自力で砂浜に上がって落ち込んでいたミカエルがいた。
「何やってんだよ」
話しかけたらやけに驚いた様子で
「わぁ!・・・な、なんだ渉君か、驚かさないでよ」
驚かしたつもりは無いんだけどな。
「何って・・・べ、別に何もやってないわよ」
「いや完全に泳ぎの練習・・・」
「し、してたわよ。泳げなくて何が悪いのよ」
「いや別に悪くはないけど今さっきの泳ぎ方じゃ一生泳げないままだけど」
そういえば昨日蒼のやつが言ってたな、ミカエルは初めての海だってよ、って。それは泳ぎ方知らないのも無理ないな、感じからして水泳競技とか見たことなさそうだしな。
「えっそうなの・・・」
さらに落ち込んだな。・・・蒼はまだ冬に捕まってるな。
「教えようか?」
「・・・うん、教えて」
意外にあっさり受けたな。
「で、でも蒼が来たら渉君どっかに言ってくれないかな?」
顔を赤くして言ってきた。
「なんで?」
「男女が2人でいるのを見られるのが嫌なだけだからよ、つ、付き合ってるとか思われたく無いし・・・」
それって蒼限定する意味あるか?佐奈や鈴音が来ても一緒じゃないか?
これは言うのをやめておくか。絶対に何か言い訳して終わるに違いないから。
「わかったよ、じゃあ始めるか」
「うん、よろしく」
俺とミカエルは泳ぎの練習を始めた。
「ふ〜おいしい〜」
私と鈴音ちゃんは花梨ちゃんと瑠花さんがいるテントに戻って用意してあったジュースを飲んだの。
「瑠花さんは海には行かないんですか?」
鈴音ちゃんが泳がず花梨ちゃんとただ話している瑠花さんを気にかけた。
「私もそこまで泳ぐのが得意じゃないからね、今日は花梨ちゃんとお留守番ってところかな」
瑠花さんも泳げないんだ・・・なんかちょっと意外だなぁ、瑠花さんってなんでも出来てしまうイメージあったから。でも会ってそんなに時間も経ってないし出来ない事の一つや二つあるよね。
「ふぅ、疲れた」
と、声が聞こえ振り返ると渉君がいた。
「渉君どこに行ってたの?」
いつの間にかいなくなっていたからどこに行ったか心配になっていたから聞いてみた。
「さっきまで天使に泳ぎを教えていただけだ」
「天使ちゃん泳げなかったの?」
「ああ、だいぶマシになったけどな」
「それで天使ちゃんは一緒じゃないの?」
「まだ少し一人で練習するってよ」
私との会話を終わらせるとキョロキョロと渉君は見渡して
「まだ蒼達いないのか?」
「うん、多分まだ冬君の話をしていると思うよ」
「冬の奴、仕方ない助けに行ってやるか」
蒼君の所に向かうようだけど渉君疲れてるって言ってたからジュースを渡してあげよう。
「渉君!ちょっと待って!」
少し大きめの声を出して止めた。
「どうした?」
あっでもジュースが入っているクーラーボックスは花梨ちゃんの横にあるんだった。
「花梨ちゃん、渉君のジュースを取って・・・」
「後で自分で取るからいい」
そう言い残して渉君はその場を去ったの。
なんだろう、花梨ちゃんの名前を出したら逃げ出しすように渉君行ったけど・・・花梨ちゃんと何かあったのかな?
私は気になって花梨ちゃんに聞いてみたの。
「ねぇねぇ、花梨ちゃん」
「なに?」
「渉君と何かあったの?」
この質問にさっきまで笑顔だった花梨ちゃんは突然少し悲しい表情になり黙り込んだ。
「花梨ちゃん?」
わからなかったの、一体何があったのかが。
二人共、友達のはずだよね?友達じゃなかったら話さないもんね?
・・・でも今日渉君と花梨ちゃんが話しているところを見たことない。それ以前にこの前花梨ちゃんと遊んだ時に蒼君や冬君の話題にはなったけど渉君の話題を振ったけど何も答えてくれなかった。
・・・もう友達じゃないのかな、渉君と花梨ちゃんって。
それなのに私、不用意に渉君の話ばかり花梨ちゃんにしてたんだ・・・悪いことしちゃった、私。
やっぱり私って悪い人・・・
「べ、別に渉君とは何も無いよ」
黙り込んでいた花梨ちゃんが突然口を開いた。
「渉君とは今まで通りで普通の友達としているだけで、渉君と何かあったわけじゃないんだよ」
花梨ちゃんは笑顔をだったけど、私でも分かる、無理をしているって。
必死になって考えて出た言葉がこれなんだろう。・・・私が助けないと!少しでも楽にさせてあげれるのなら、私が花梨ちゃんのことをもっと知らないといけない!
体育座りしている花梨ちゃんの両手を持って花梨ちゃんと同じ目線に座り
「花梨ちゃん!無理をしちゃダメ!!悩んでることや傷ついた時は私や鈴音ちゃんを頼っていいんだよ!一人で抱え込んでちゃダメだよ!!だって、私たちはもう友達以上で親友なんだから!!!」
今私が花梨ちゃんに想っていることを全てさらけ出して言った。これ以上無いぐらいに自分の心の声を出して。
花梨ちゃんは私の言葉を聞いて驚いた様子だった。
すると、花梨ちゃんの両手が少し震えだして大粒の涙をながしながら
「佐奈ちゃん、私、佐奈ちゃんを頼っていいの?」
「もちろんだよ、かけがえのない大切な人なんだから」
両手を持っていた私の手を離して私に抱きついた。
泣いている花梨ちゃんにそっと私も抱きついた。
「ありがとう、佐奈ちゃん。私・・・苦しかった・・・」
背中をポンポンと優しく叩いて泣き止むまで一緒にいたの。
全てを見ていた鈴音ちゃんは私にの肩に手を置いて
「佐奈、あなたは友達想いの、綺麗な心を持った子よ」
急に鈴音ちゃんが言い出すから私も驚いて
「ど、どうしたの鈴音ちゃん、いきなりそんなことを言って?」
「いえ、私が思ってることを口にして言っただけよ」
ふ〜ん、鈴音ちゃんらしく無いけど素直に嬉しいなぁ。
しばらくして落ち着いた花梨ちゃんが私から離れて
「ありがとう〜佐奈ちゃん」
いつもの笑顔に戻った花梨ちゃん。
「ところで、無理をして言わなくていいんだけど、結局渉君とどうなったの?」
どうして花梨ちゃんがこうなったのか理由を知りたかった。これに対して花梨ちゃんはあっさりと言った。
「う〜ん、私が渉君に告白をして振られただけなんだけどね〜」
あまりにも衝撃的過ぎる内容に私は
「えええぇぇぇええぇぇぇ!!!!」
と、叫んでしまった。
その後は花梨ちゃんに内容を説明してもらって、また海で遊んで行ったかな。
ちょっと花梨ちゃんの話には想像を超えたけど・・・でも花梨ちゃんが元気になってよかった。
夕焼けの綺麗な空になり私達は海から出て着替えたの。
楽しかったなぁ〜久しぶりにこんなにはしゃいだ気がするよ〜。
そして皆が集合したの。
「よし!みんないるわね」
瑠花さんが先生感を持って言った。
「う〜〜ん、久しぶりの海はやっぱり楽しくて疲れるな」
大きな伸びをして蒼君が言った。
「僕も満喫したよ」
冬君も満足のようだ。
みんな海は楽しかったようだったね。
「それにしても、腹減ったな」
渉君がお腹をさすりながら言ったけど確かに私もお腹すいてる。朝ごはん食べただけでそれ以来何も食べていないからなぁ。
「じゃあ、これからご飯を買いに行く係と夜になった時花火をするために花火を買いに行く係をジャンケンで決めましょう」
瑠花さんが指揮を取った。
花火!そうだ、夏の定番の花火がまだ残っていた!今からワクワクが止まらないよ!
「行くよみんな、ジャンケン・・・」
こうして決まった割り振りが・・・
「ご飯を買いに行く係は佐奈ちゃん、鈴音ちゃん、天使で、花火を買いに行く係は、渉君と花梨ちゃんで後残った蒼君と冬君と私は居残りね」
・・・これ、大丈夫かな?
はい!と言うわけで私の語り手はここで終わりです!!
はぁ〜緊張したよ〜。初めて一人で語り手をやったけど楽しかったです!
なんだか新しい感覚で自分が成長したのも感じます!!
聞きやすかったかはわからないけど・・・でも努力はしました!
さて、次の回なんですけどここからは3手に別れます。なので話を3回に分けます。
なので次は渉君と花梨ちゃんの話です。
あの二人はいったいどうなるのか乞うご期待です!
それではまたお会いしましょう!ばいば〜い。




