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変わった日常

・・・はい、どうも皆さんこんばんは。

主役をやらせてもらいます、風間かざま あおです。

今回は語り手を俺や他の人たちがやる感じでいきます。


え?こんな始まり方あまり無いって?そらゃあまあ、あんまり無いですよ。俺は皆さんにどんだけ詳しく出来るかって思っていますから、最初にこんな説明をしているんです。


・・・つーか、お前と誰と喋ってんの?


え、そんなの決まってるだろ。今読んでる人達に詳しく説明しているんだよ。


へぇ〜そっか。


ほら、お前も自己紹介しろよ。


あぁ、林翠りんすい わたるです。本編で出ています。


本編で出てこなかったらなんでここにいるんだよ!まったく。


一応語り手もするんで、まあよろしくお願いします。俺とこいつ以外にも語り手はいるんでそいつらの事もよろしくお願いします。

では、本編をお読みください。


俺の台詞とるなよ!

あーもう仕切り直しだ!


お前も言えばいいだけの話だろ。


ああそっか。


ハァ、もう少し頭を使え。

グダグダで申し訳ありませんがこんな感じで本編の方もやっていくので、よろしくお願いします。ではまたお会いしましょう。


本編、楽しんでくださーい!




いつもの朝、いつもの学校。変わりの無い日常がいいと思っていたけど少しは変わっていいと思っていたけど、変わり過ぎなのは嫌だな。

これは俺の求める日常とは少し離れた物語だ。


「ジリリリリ・・・」


目覚まし時計が部屋中に鳴り響く、またいつもの朝が来た。俺は朝が苦手だ。寝起きが悪いって事なのかもしれないけど、とにかく苦手だ。


でも起きないと遅刻してしまう。遅刻するとなんかこう、始末書?みたいなのを書かされしまう。それがかなりめんどくさい。


俺は体を起こさせ、まだよく見えない目をこすり、あくびをしながら伸びをした。


それから3分ぐらいかな?その場でずっと動かずにボーッとしていると


「こら蒼!起きないと遅刻するよ!」


二階の部屋にも聞こえる声だ、母さんだ。相変わらず大きな声で俺を起こすもんだ・・・いや、待てよ、大きな声で起こすのは普通か。


「わかってるよー」


朝は声を出す気になれない。聞こえるか聞こえないかぐらいの声で発する元気しか無い。


これ以上、大きな声で起こされるのはごめんだから、俺は嫌々自分のベッドから足を下ろし部屋からでて一階に降りた。


一階のリビングに行くと、テーブルに朝ごはんの食パンが置かれていた。


俺はイスに座り、食パンにかじった。この味はバターか、別にバターが嫌いなわけでは無いが食パンはやっぱりピーナッツバターだろ。


思っているといつの間にか食べきっていた。

手と手を合わせ


「ごちそうさん」


朝ごはんでもこれは言わないとシャッキリしない。


いつものように、テーブルに置かれているテレビのリモコンを取りテレビの電源をつけた。


「はい、早速今日も行きましょう!今日の占い!」


俺はいつも朝ごはんを食べた後、いつもやっている星座占いを見ている。それで俺のテンションが決まるものだ。順位が高かったら高いし、低かったら低いと言うシンプルな物だ。


ちなみに俺は獅子座だ。


「今日の1位は・・・獅子座のあなた!」


よし!今日はいい日だ。これでテンションを上げられる。


「獅子座のあなたは今日は最高の1日!

運命の出会いをするでしょう!足元に注意してね」


最高の1日か。響きは最高に良い。さらにテンションを上げられる。けど、運命の出会いってなんだ?足元に注意ってどうゆうことだ?

別に占いを信じているわけでは無い。けど、見ないとなんか胸騒ぎを起こしてしまう。

だから俺は見るんだよな。


まあいいや。部屋に行って着替えてくるか。


俺は再度自分の部屋に入って、寝巻きから学校の制服に着替えた。時間はかからないけどダラダラするのも違う。


今の季節は5月だ、ブレザーを着るほど寒くは無いけど、かと言って半袖だと少し肌寒い。そのため俺はいつも長袖のポロシャツを着ている。これだと熱くも無いし寒くも無い、今の季節にぴったりだ。


着替えを済ませて、スクールバッグの中身をチェックした。忘れ物が無いかどうかを。

でもよく考えると夜に確認したから全部あるため見る必要が無い。そう考えスクールバッグのチャックを閉じ、肩にさげた。


時間はあるからゆっくり行っても遅刻にはならないだろう。


一階に降りて玄関に来て、靴を履き母さんに


「行ってくるよー」


もう声も少しは出せるため少し奥のキッチンにいる母さんに挨拶をしたら


「気をつけてねー!」


さらに大きな声で帰ってきた。


朝に強い母さんはいいな〜と思いながら俺は家から出た。

でも、今思うとあの占いは間違っては無かったんだな。


歩いてから約5分ぐらいたった。俺の家から学校までは徒歩15分ぐらいでつく距離だ。そこまで遠くは無いが歩くのは少し疲れる。自転車だったら10分ぐらいでつくのに母さんが必要ないって言ってるから買ってもらえない。バイトもしていないのにどうやって買うんだよ。


と、まあいつもこんな感じで学校までの道のりは考えている。別にいつも考えているわけではない。今日はたまたま自転車について考えているだけだ。


いつもの青いイヤホンをしている俺。音楽を聞きながら通学は、はっきり言って俺の癒しの時間だ。最近はこうやって歌を聞くってことをしていないけど、この時間だけは例外だった。こうやって目を覚ましてノリノリで俺は学校に行く。


俺は占いを思い出して空を見ていた。

最高の1日と言う響きは忘れなかった。運命の出会いははっきり言って俺はもうしているからいいとして最後の足元に注意っての意味がわからない。まあ気をつければいいかと思っていた時だった。


「パキっ!」


足元に違和感を感じた。何かを踏んだ。ガラスの玉のような感覚だけどガラスにしては弾力があった。ガラスでは無いと考えていても見ない限りはわからないから俺は足元を見たら、不思議な玉が俺が踏んだことによって二つに割れていた。


その玉は赤よりかは薄いけどピンクよりかは濃い感じの見ているとどこか穏やかになって眠くなる・・・ハッ!寝てはだめだ。こんな道中で寝たら変な目で見られる。


でもなんだろこれ?二つに割れているとは言え綺麗な玉だから何かしらの価値がでるかもしれないし、うん持っていこう。俺はズボンのポケットに割れた玉を二つ入れて学校に歩いた。

この割れた玉が、俺の学生生活を変えてしまった。


学校につき、俺のクラスの2年2組の教室に入り、俺の席に座った。俺の席は窓際で後ろから2番目の席で後ろの席は誰も座っていない。


机に自分の鞄をおき、イヤホンを外し色々と準備をしていると


「よぉ」


俺に挨拶をしてきた男が俺の隣の席のやつで親友って思っている1人の、林翠 渉だった。


「おう、おはよ」


挨拶されたから挨拶で返した。


渉は自分の席に座ってスクールバッグを横にかけてすぐに机に腕を枕代わりにして寝た。


「お前、また寝るのかよ」


こうやって渉が寝るのはお決まりのパターンだ。いつもねむそうにしているから仕方ないと思っているけど、寝るのが速すぎる。


「別にいいだろ、授業まだ始まらねーし」


まだ起きていたようだ。しかしこいつは授業中でも寝るやつだけど何か問題を出されて当てられたら起きて答えて正解をだすやつだから正直せこい。


渉が寝た時に


「蒼君、おはよう」


前から清々しい声が聞こえた。俺におはよって言ってくれた人は間違いない、白石しらいし 佐奈さなさんだ。


「さ、佐奈さん、おはよう」


挨拶でも緊張する。顔を見るたびドキドキしてしまう。顔が可愛すぎるよ佐奈さん、性格もだけど。


佐奈さんはリュックを机の横にかけて寝ている渉に挨拶をした。


「渉君、おはよう。相変わらず寝ているね」


佐奈さんも渉がいつも寝ているのを知っている。


渉は声は出さなかったけど、腕を少し上げて挨拶をするようにしてまた腕を枕替わりにした。


俺は羨ましいと思っている。佐奈さんと渉の関係は俺以上にある。いや別に俺も学校で話すぐらいで特別2人で遊びに行ったりとかはしていないけど、渉と佐奈さんは小学校のころから知っている仲で中学は別々だったけど高校で再開して何回か遊んだこともあるらしい。俺だってまだ1、2回ぐらいしか遊んだことないのに、しかもその2回とも渉がいたしよ、多分付き合っては無いと思うけど、そもそも渉は・・・


「・・・君・・・蒼君!」


どうやら俺はボーッとしていたらしい、それをこっちの世界に戻したのは俺の幼なじみの山吹やまぶき 鈴音すずねだ。


鈴音は俺の斜め前の席、つまり佐奈さんの隣になる。


「何考えていたの?怖いわよ少し」


俺に対してはこんな感じで少しキツめの言葉をかけてくる。別に俺はいいけどさ、幼なじみだし女子でまともに話せるのは鈴音ぐらいだし。


あっ、そうだ何か返さないと。


「いや、別にただボーッとしていただけだ」


「ふ〜ん、そう」


冷たい目で俺を見てきた。何も悪いことしてないのに。


「鈴音ちゃん、おはよう」


「うん、おはよう」


佐奈さんにはちゃんと普通に挨拶をする


2人ははっきり言って親友レベルだから、俺と渉ぐらい仲がいい。佐奈さんより鈴音と一緒に遊んだ経験の方がある。まあ幼なじみだから当たり前か。ただ鈴音といたから佐奈さんとも友達になれたから結構俺も鈴音とは仲がいいのかもしれない。腐れ縁ってやつなのかもな。


鈴音との関係を少し考えていると斜め後ろから


「おはよ〜今日も一日頑張ろうね〜」


朝からゆるやかな声であいさつをしてきた女の人、この人は桃谷ももや 花梨かりんさん。いつもこんな感じでほんわかしており周りを何かとなごやかにさせている。


口を開け挨拶をしようとすると


「相変わらずだね」


横入りしてきた男が来た。


「おー冬君。おはよ〜」


彼は雨宮あまみや ふゆ、俺の右隣の右隣だから渉の横の席になるかな。


「うん、おはよ」


冬とは高校の時に知り合ったけど人見知りか何かは知らないけどあんまり人と関わらないようにしていたけど俺と少し仲良くなるとよく喋るようになった。心の入り口は狭いけど入ったら広いって感じなのかな。この周りには基本的に心を開いているからよく話す。


俺の周りの席の人達はこんな感じだ。

個性が強すぎる。


全員が席に座って色々と準備をしていると


「キーンコーンカーンコーン」


朝のチャイムが鳴り、扉から先生が入ってきた。話をしていた人達も立っていた人も全員が座って先生の方を見た。もちろん渉も起きて先生を見ている。


「はーい、それじゃあ挨拶をまずやろうか」


日直の人が「起立」と言ったら全員立ち上がって「礼」頭を下げて皆座っていった。


先生が何かと話をしていて、俺はポケットに手を入れたらあの割れた玉が入っていた事に気づいた。そういえばそうだった、これを渉に聞こうと思っていた。


先生の話を聞いている渉に小さな声で


「なぁ、渉」


「なんだよ?」


渉も小さな声で聞き返した。


俺はポケットから割れた玉を取り出して


「これ、綺麗だろ。朝拾ったんだけど何かしらね?」


渉は割れた玉の片方を掴んでじっと見つめたけど


「いや、知らないな」


割れた玉を俺の手に返した。


「どこで拾ったんだよ?」


この手の事に少し興味を持ち出した。


「朝に歩いていたら踏んで割れた」


「お前が割ったのかよ」


「しょうがないだろ、足元なんかあんま見ないよ」


「そうか?」


俺が口を開いて渉に言葉を言おうとすると


「ここで、皆にお知らせがありまーす」


先生が少し大きな声で俺達に呼びかけた。


俺と渉は先生の方に向いた。


「実は今日転校生がやってきましたー」


全員が突然のこと過ぎて驚きを隠していなくてざわざわと声を出していた。


俺も渉に


「転校生?女子かな男子かな?」


「どっちでもいいだろ、来たところで仲良くなるかわからないし」


「いやまあそうだけど、きになるじゃん」


渉とそんな話をしていると


「じゃあ来てー、天使さんー」


天使?今先生、天使って言わなかった?


すると教室の扉が開いて一人の女子生徒が入ってきた。


その子はポニーテールでニコニコとしている可愛らしい子だ。


先生の隣に行って俺達に挨拶をしてきた。


「初めまして、私は神原かみはら 天使てんしと言います」


そう言うと黒板に自分の名前を書いた。


書き終わるとさらに挨拶をした。


「私は皆と仲良くなりたい。積極的にクラスの行事に関わるつもりだから、これからよろしくお願いします」


頭を下げた。


この時の皆の印象はめちゃくちゃいい子だなと思っていた。俺もその1人だ。


「じゃあ天使さんは一番後ろの窓側に座ってくれるかな」


「はい」


窓側の一番後ろって事は俺の後ろで花梨さんの隣ってことか。


天使さんは自分の席に歩いていく。


この子が俺の後ろか、顔は確かに可愛いけど俺は顔で決めないからなぁ〜。まあ俺は佐奈さんしか見ていないからな。


そんなことを考えていると天使さんが俺の隣まで歩いてきた。


俺は横目で天使さんを見ると顔を俺の耳元まで近づけて


「放課後、屋上まで来てくれないかな?

ちょっと、話があるの」


と、耳元でささやかれた。


俺は顔を横に向けると、もう顔を離して自分の席に座っていた。


まだ話しても無いのに話ってなんだろ?まさか・・・告白!?いやいやそれはさすがに無いだろ。なんで話したこともなくて会ったことも無い人から告白をしてもらうんだ。でも・・・じゃあ話ってなんだろ?


考えているといつの間にか昼休みになっていた。授業なんにも聞いてなかったーー!まあ、また渉にノートとか見せてもらえばいいか。寝てるくせにノートは書いてるってどういうことだよ・・・今はそんなことじゃない。


う〜ん・・・今は天使さんは席を外しているし、聞かれる前に渉に聞いてみるか。


渉は自分の弁当を食べてもう寝ていた。


そんな渉を無理矢理起こした。


「渉・・・渉!」


だるそうに体を起き上がらせ


「なんだようるせーな」


俺を睨みつけてきた。


「いやさ・・・」


俺は渉に天使さんの事を全部話した。


「へぇ〜あっそ」


「あっそじゃないよ!何か意見とかないの?」


「めんどくせえな自分で考えろよ、何かも俺に押し付けるなよ」


た、確かに何か困ったことがあれば基本的に渉に押し付けたりとか相談していた。こういうゆうのはやっぱ自分で解決しないとダメなのかな・・・


「どうしたの、そんな難しい顔をして?」


声をかけられその方向に向くと、冬が俺に声をかけた。


冬も俺の相談相手の1人だから冬にも言ってみるか。


「あのさ冬、実はさ・・・」


渉と一緒のように冬にも話した。


「そうなんだ、昔何かあったりとかないの?」


渉とは違いしっかりと話を聞いて意見をしてきた。


「やっぱ渉とは違うな」


「だまれ」


俺を睨みつけてきた。


「昔って言ってもあの人と何も無いからなぁ」


「そっか・・・こればっかりは僕もどうすることもできないよ」


冬は的確なアドバイスをいつもくれるが今回はお手上げのようだ。


「お前が行って確かめるしか無い」


まあそうだよな、二人の言う通りだな。

俺が行くしかないか。


「よっしゃ、俺も男だ。ちょっと頑張ってくるよ」


俺は決意を胸に拳を作った。


冬はそんな俺を見て微笑んでいた。


一方の渉はもう寝ていた。


興味ないんだな、俺の話。



そして俺は放課後、屋上の扉の前に来た。

心臓がドキドキするこれが告白なら俺はなんて受け答えしたらいいんだ・・・でも違うにしても何か言われるんだよな。


深呼吸をして扉のドアに手をかけ扉を開くと少し先に天使さんが恥ずかしそうに立っていた。


俺は心臓が破裂しそうだ。こんなこと初めてだ。


俺はゆっくりと前に歩き、天使さんの前に来た。


そして、高鳴る鼓動を胸に俺は口を開いた。


「は、話って何?」


あまりの緊張に口が上手く回らない。


あっちも緊張しているに違いないと思っていたけどそうでも無かったのかな?


しばらくして沈黙が続くと思っていたけどすんなりと内容に入った。しかもその内容がいきなりのこと過ぎて正直引いた。


「単刀直入に言う。私は天界から来た天使、ミカエルだ」


・・・え?今っえ?天界?ミカエル?

訳のわからないことに最初に思ったことはこの子は中二病なんだと。


「な、何馬鹿な事を言ってるのさ?

天使なんてこの世にいるわけないだろ?」


正直俺はこの世に天使なんて存在しないと思っている。おとぎ話なんだと思っている。


しかし、天使さんはとぼけたような顔をして


「天使がこの世にいない?いるじゃないか、あなたの目の前に」


この子かなりの重症だな。


馬鹿らしいと思い、さっきのまでのドキドキが嘘のように収まり

俺は現実を突きつける言葉をかけた。


「そういうの冗談でも言わない方が良いよ。

色々と苦労すると思うから」


そう言って俺は天使さんの方から振り返り屋上の扉の方に歩いた。


こんな事で呼ばれたなんて正直恥ずかしい。なんで俺にそんなこと言ったのかわからないけど・・・もしかしてこの中二病を直したいから俺に相談を?

いやいやだとしたら同性とするだろ。わざわざ話してもない男と相談を持ち込まないだろ?だとしたら単なる中二病報告なのかな?


と、俺は歩きながら口元に手を当てながら自己解釈をしていたが、まさに一瞬だった。


瞬きをした時だった、俺は目を疑った。目の前に直にはえているのかわからないけど

天使さんの背中に絵でも見たことのあるような、右と左にありきたりでベタな天使の羽が見えた。しかも上下に動かしていて、それのおかげかどうかはわからないけど10センチぐらい浮いている。


俺は開いた口が塞がらなかった。変な汗もかいている。人生で初・・・いや、多分人類史上初だろう。信じていなかったけどこんな姿を見たら信じるしかないよな。天使はいるんだって事を。


彼女は羽を動かしながら俺に喋ってきた。


「これでわかった?本物の天使はいるってこと」


口は動かなかったが、静かに頷いた。

今までの話が全部本当だってこともわかった。


頷いた途端、彼女は地上に降りた時、背中の羽が一瞬のうちに消えてしまった。


どういう仕組みなんだ・・・


「さて、本題に移りましょう」


あっちはかなり冷静に話しているけど、俺はまだ動揺している。勝手に話を進められているけど・・・


「もう一度言うけど、私は天界から来た天使ミカエル」


ここまで来たらなんでも信じてしまうな。


「それで私がここに来たわけは・・・」


そうだよ、俺が一番知りたいのはなんで俺だけにそんな姿を見せたこととか、この学校になんで来たこととか、とにかく色々と知りたい。


「あなた、今朝何かキラキラした玉を踏んで割らなかった?」


ようやく俺は口が動くようになり、喋ることが出来るようになったけど


「あ、ああこれのことだろ?」


そう言ってポケットから割れた玉を出した。


すると、彼女は驚いたような顔を見せて、なにも喋らなくなった。


しばらく沈黙が続くと、俺の手から割れた玉を取ってこの玉について語りはじめた。


「あなた、この玉を知っている?」


「いや、知らないけど」


「この玉は自分が天使であることを証明する玉、名前は天星玉てんせいだま

今朝、私が天界で色々としていたら私の天星玉が間違って地上に落ちてしまった。

急いで拾おうとしたら、誰かが踏んでしまって、その割れた玉を持って行った人がいた」


話を聞いていると、その人ってどう考えても・・・


「それって、俺のこと?」


自分のことを指差すと、いきなり怒りだした。


「当たり前じゃない!あなたがこの玉を持っていたってことは、あなたしかいないじゃない!」


た、確かに俺しかいないか。


「まったく・・・でも割れてしまったのは仕方ない。

でも、この玉が割れてたり無くしたりしたら私は天界から追放される」


「追放?追放ってどういうことなんだ?」


「天星玉は自分が天使である証明。それに何かあったらそれは天使の名折れ、つまり私に天使の資格が無くなってしまったってわけ。

つまり天界にはいられないってこと」


そ、そんな・・・半分俺のせいではあるけどまさかこの玉がそんな重要な役割を果たしているなんて知らなかった。

いやでもさすがに知るわけないか。


「ど、どうするんだよ、これから?」


「いや別に天星玉はすぐでは無いけど、直るから大丈夫よ」


「直るのかよ!」


思わずツッコんでしまった。

大切な物って意外と直るんだな、俺こういうのは直らないとばかり思っていた。


「私の知り合いに天星玉を直す人がいるからその人に頼んでみるわ。その人も天使だけどね」


逆に普通の人間が直したらすげーよ。


「でも、なんでこの学校に入学したんだよ?」


天使であることとか色々わかったけどなんで学校に入学した理由がよくわからない。俺に用があるなら別に俺を道とかで聞いたらいいだけなのに、どうして入学なんてめんどうな真似を?


「話したわよね?天界にはいられないって、つまり地上界にいるしか無いの。ただ何もしないって単なる暇なだけなの、だから学校に入学して友達とか作って楽しみたいの」


なんだその理由、身勝手すぎるだろ。


「まあさすがに自分が天使だって事は隠すけどね。普通の女の子と一緒に混じりたいの」


でも普通の女の子だと思うけどこう見たら。

だってあの羽さえ無かったらただの普通の女の子だから、しかも見てたら結構馴染んでいたから多分友達作りは苦労しないだろう。


まあ、色々と聞いたけど話を聞く限り何か悪さをしに来たって訳でも無さそうだし、普通に学園生活を楽しみに来たみたいな感じだしな。

俺も少しは責任を感じてるし、これを機に天使さん・・・いや、ミカエルさんと仲良くなれるかもしれないな。呼ばれたのはこの話をしたかったのだからかな?


「そして、あなたを呼び出しのはあなたが私の天星玉を割った償いをしてもらいたいの」


・・・え、償い?


「償いって言っても、別に死ねって言う訳では無いけど、今からあなた、風間 蒼は天星玉が直るまで私の下僕として生きなさい」


げ、下僕?俺が召使いってことになるってこと?


「とりあえず今は帰るわ。じゃあまたね」


そう言ってミカエルさんは後ろを振り向いて扉の方に歩いていく。


整理のつかない状態になっていた俺は彼女を


「ちょ、まっ・・・」


手を差し伸べ引きとめようとすると、彼女は天使の羽をどこからともなく背中から広げたら、右足の一歩先ぐらいのコンクリートの地面がいきなりひび割れした。


その地面を見て俺はまた開いた口が塞がらなかった。今回は俺は震えていた。この震えは多分恐怖かそれとも・・・


そして、彼女は羽を先ほど一緒で一瞬で消して俺に背中を見せている状態だが、顔半分を俺に見せて


「何か文句でも?」


今まで見たことの無いような、鬼のような目で睨みつけてきた。


俺は反抗するなんてできずに


「は、ハイ・・・」


思わず敬語で言ってしまった。


返事を聞いたミカエルさんは横顔で満面の笑顔を俺に見せて、その場を立ち去った。


俺はしばらくその場から動かずにずっと黙ったままだった。

色々ありすぎて何から片付けていいかわからないけど・・・渉に相談しよっかな・・・とりあえず家に帰ろう。明日のことは明日考えよう。

俺はようやく足が動きその場から離れた。



「ハァ・・・」


帰り道俺はイヤホンで音楽を聴きながら帰っていたが、どうもノリノリにはなれない。

好きな曲が流れて来ても、ため息しか出ない。俺はこれからどうなっていくんだろ?

学園生活が楽しくなるんだろうか?

うーん、でもあの子多分いい人なんだよな?

俺が見ていた範囲だけど、呼び出される前は佐奈さんや鈴音や花梨さんとかとかなり仲良く話してたし、来た時に積極的に行事に参加するって言ってたし、俺も前向きでいいか。

下僕って言ってもどうせ宿題見せてとか、ここの計算なんだっけとか、勉強面の事だろう。こういうのだったら別になんともないだろう、俺の学園生活も変わらないだろ。


そう考えると気がすごい楽になった。


その時、好きな歌が流れて来た、運がいい。

ノリノリで帰っていると、いつの間にか家の前に来ていた。


玄関の扉に手をかけ


「ただいま〜」


と、特に声を大きく出すつもりもなくいつも通りに帰ってきた。

しかし、俺が靴を脱ごうとして、下を向いたら見慣れない靴があった。母さんが新しい靴を買ったとは考えにくい。この靴だってはっきり言って今時の女子高校生が履くような靴だし、なんかハートのアクセサリーがついてるし・・・誰のだ?


すると


「あ、蒼。なんかお客さん来てるわよ。

誰々あの女の子?もしかして彼女?」


え?女の子?いや俺彼女いないし、家に来る女子って言ったら鈴音ぐらいだしな。母さんは鈴音のこと知ってるから、誰って言わないしな。

じゃあ・・・まさか、な。


「その女の子、今どこにいる?」


俺は慌ててその女の子が今いる場所を聞いた。


「あなたの部屋で蒼を待ってるって」


母さんを尻目に、家の中でも走って階段を上がって、俺の部屋の扉を開けると


「あら、遅かったわね」


そこにはなぜか優雅に地面に座っているミカエルさんがいた。


「な、なんでいるんだよ!」


考える前に聞いておこう。なんでいるのかを。


「私、地上界に身内はいないの、だからと言って天界にはいられない。

だから天星玉が直るまであなたの家に居候させてもらうわ。

これからよろしくね」


・・・・・もうどんな反応をしたらいいかわからない。驚き疲れたよ、もう今日は。

苦情とかそういうの関係無しに、今思う事を心の底から叫んだ。


「なんでなんだよーーーー!!!」



こうして俺の日常は一人の天使によってぶち壊された。

ここからが俺の少し変わった日常の話だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 日常ラブコメかな……と思わせてからの天使の登場に意表をつかれました。 学生らしい日常生活が良く書かれていると感じました。 [気になる点] 最初の前説部分から物語が始まる間が空行のみなので、…
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