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分岐点 「いつもどおりだな」
「い、いつもどおりだな」
「そ、そう……」
確かに美味いけど。 どう答えていいか分からず、そう答えてしまった。
「ほら見なさい。次からは私が作るわ。そして、にぃから、お褒めの言葉をー」
従姉妹の目がキラキラしている。やばい世界に入ってるのは俺でもよく分かった。
俺の勘違いでなければ、俺がスゲェクサイ台詞を吐いてる筈だ。
「じゃ……じゃあ……わた…しも……」
「ん? どうした美咲?」
何か言っているのは分かったが何を話しているのかは聞き取れなかった。
「美咲ちゃんはね。私も作るって言ったのよ」
代わりに千尋さんが答えてくれる。それに便乗するようにコクコクと頷いている。
「ああ、そう…か。た、楽しみにしてるよ」
ここではなぜか不安しか浮かばなかった。