始まりの時
マップ、理論上無限。
登場人物、数十億人。
時間制限、およそ百年以内。
こんなゲームをプレイしたことがあるだろうか?
そんなゲームは存在しない?
まだなにも知らない子供ならそう言うのかもしれない。
だが、この壮大なスケールのゲームは確かに存在する。
そして、本人の意思に関わらず、今、この瞬間にも世界中のすべての人間が参加している。
第1章 暗黒
「な、なんだこの暗闇は!?」
僕は、意識が覚醒した瞬間に視界に飛び込んで来た光景に驚き、思わず叫んでいた。
「これって、、、宇宙か!?」
暗黒の世界。その暗黒の中に異様にギラつく光が見えるが、あれは星、、というか太陽のような恒星か?
そして眼下には青い大きな球体が見える。
地球。
よくテレビなんかで見た、あの宇宙船からの映像そのまんまの地球だ。
「やっぱり宇宙か。だけど、僕はなんでこんなところに、、そもそもなんで僕は生きていられる?」
不思議だった。
宇宙船に乗っているわけでもない。
なにか不思議な力に守られているわけでもない。
いつもの学生服、そして鞄くらいしか持っていない。
「そんな僕がなぜ生きていられる?」
疑問は果てしない。だが、いくら考えても答えは見当たらない。
その時、地球の上で何かが光った。
それは強烈な光だった。
大陸の、ある一点を中心として柔らかい、暖かみのある光がゆっくりと広がっていく。
「なんだろう、あれ、すごく優しい感じがする。」
僕は、暗黒の世界に突如現れたその光に魅せられた。
気が付くと両手を伸ばしてその光を求めていた。
そして、その僕の意思に呼応するように、僕の体は漆黒の宇宙に浮かぶ青い奇跡の星。地球に向けて落下を始めていた。