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問題点「現場より」

誤字脱字があると思います。温かい目で見てください。

現場からの技術継承の歪みの推論


問題点「現場より」

① 現代の「技術的問題点」の根本原理

❶ 「機械化」によって変質し、失われゆく「暗黙知」

技術の歴史は機械化の歴史である。かつて職人が手作業で長い時間をかけて作っていた道具や部品は、科学の発展により機械が代替するようになった。現代の最新工作機械は極めて優秀であり、プログラムさえ完璧であれば、職人の手技に迫る、あるいはそれを超えるミクロン単位の精度(10割の完成度)を短時間で大量に叩き出すことができる。

しかし、ここに異質な問題が潜んでいる。機械が高性能化する一方で失われつつあるのが、「完璧なプログラムを打ち込むための知識と経験」、すなわち素材の癖、気温による収縮、刃物の摩耗などを肌感覚で読み取る職人の「暗黙知」である。手先の器用さが不要になっても、機械のポテンシャルを極限まで引き出すための「技術」は依然として必要なのに、それが軽視され始めているのだ。

❷ 生産技術と職人技術の「評価軸の分断」

現代は大量生産・効率化の時代であり、複数の機械を同時並行で動かし、システム全体を管理・最適化する人材が重宝される。彼らは単なる「作業者」ではなく、現代の「生産技術者システムエンジニア」として高く評価される。

しかし問題は、社会がこの「システムを回す技術」ばかりを評価し、一つの物を極め、機械に命を吹き込む「職人の技術」と評価軸を分断してしまったことだ。現場にはどちらの役割も不可欠だが、短期的な利益を生みやすい前者ばかりが優遇される傾向にある。

② 組織構造が引き起こす継承の断絶

❸ 社会で求められる「技術者」と「職人」の相違と高齢化

現在の日本は少子高齢化が極まり、本物の技術を持つ職人は引退間近か、特殊な単品生産を請け負う便利屋のような扱いを受けている。本来であれば、その技術を受け継いだ30代・40代の中堅層が、次の20代へと技術を繋ぐべきである。

❹ 「技術者」を「管理者」にする日本企業の悪手

しかし、少子化による人手不足がそれを許さない。企業は「色々な経験を積ませる」「責任ある立場にする」という名目で、技術の脂が乗り切った30代・40代を「プレイングマネージャー(管理者)」にしてしまう。彼らは本来、現場で職人として技術を極めることで責任を果たすべき存在だ。しかし管理業務に忙殺され、先達から技術を教わる時間も、後進を育てる時間も奪われてしまう。

❺ 現場の「現実」から目を背ける連鎖

管理業務に慣れた頃には、上の世代の職人は引退してしまう。焦った管理者が上司に「このままでは技術が途絶える」と直訴しても、元技術者であるはずの上司すら「君にはもう重要な仕事を任せている(今さら現場には戻せない)」「君も昔教わったのだから、20代にも隙間時間で教えられるだろう」と楽観視する。現代の機械加工における応用レベルは昔より格段に上がっているにもかかわらず、教える側も教えられる側も「時間的コスト」の試算を見誤り、現実から目を背ける。これが「失われた30年」の技術現場における、多角的な負のループである。

③ 現代の価値観とサプライチェーンの歪み

❻ 若者の「タイパ・コスパ志向」と企業の論理の合致

この負のループを加速させているのが、現代の若者の「タイパ(タイムパフォーマンス)」「コスパ(コストパフォーマンス)」重視の価値観だ。少ない労力と短い時間で、いかに市場価値の高いスキルを得るか。彼らにとっての最適解は、長年の泥臭い修行が必要な「職人」ではなく、複数の機械を操作し大量生産を管理する「生産技術者」になることだ。そして大企業もまた、育成コストがかからず、すぐに利益を出せるそのスキルを求めている。若者の価値観と企業の低コスト志向が、ここで悪魔的な合致を見せている。

❼ 大企業の「ホワイト化」と、割を食う優良な中小企業

技術を残そうと、愚直に職人を育てようとする気骨のある中小企業も存在する。しかし、現代の「働き方改革」が彼らを追い詰める。大企業が自社の労働時間を削減し「ホワイト企業」としての体裁を保つ一方、その分の業務や、機械化しきれない難易度の高い仕事(コストのかかる仕事)は、下請けである中小企業へと丸投げされる。国も「下請法」の厳格化などで是正に動いてはいるが、現場のスピードには全く追いついていない。

❽ 若者の「職人になりたい」を叩き潰す現場の現実

本気で職人を目指し、あえて中小企業に飛び込んだ若者はどうなるか。彼らを待っているのは、大企業から押し付けられた膨大な仕事量による忙殺である。

大先輩の職人は、その難題をいとも簡単にこなしてしまう。企業はその技術力を武器にさらに難しい仕事を受注する。若者は先輩との圧倒的な技術力の差に絶望し、学ぼうにも目の前の仕事をこなすだけで精一杯になる。経験を積むための「時間」が圧倒的に足りないのだ。結果、心身を壊すか、その前に辞めてしまう。

❾ 崩壊する現場と「価値のない企業」の末路

このサイクルを繰り返すうち、その中小企業は「若者を使い捨てる企業」というレッテルを貼られ、新たな人材が寄り付かなくなる。やがて頼みの綱であった高齢の職人が引退した時、そこには「お金(一時的な売上)はあるが、技術という価値を完全に失った企業」だけが残る。これが、現代日本社会の至る所で起きている技術継承の歪みの正体である。

読んでくれて、ありがとうございます。主人公たちが考えた日本を救う案を【エッセイ】として、随時投稿していきます。お楽しみに。

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