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人と猿の間

作者: 清水進ノ介

人と猿の間


 はるかな昔、宇宙にはたくさんの神様がいた。大体の神様は真面目で立派だったが、やはりどこにでも、落ちこぼれはいる。宇宙の辺境にある、小さな惑星の神様は、さぼり癖のある呑気な神様だったので、惑星の管理をするのが面倒になってしまった。そこで神様は自分の代わりに、仕事をさせる為の、従順な生物を創り出した。言われたことを、もくもくとやり続けるだけの、奴隷のような生物だ。その生物を、神様は「人」と名付け、惑星を管理する役目を与えた。人は喧嘩をした空と海の争いを諫めたり、噴火した山の機嫌を取ったり、毎日文句も言わずに、働き続けた。神様はそれをいいことに、毎日なにもせず、寝て過ごすようになった。


 それを見ていた、近隣の惑星の神様は、言われるがままに働き続ける、人のことが気の毒になってしまい、知恵を授けることにした。自分の頭で考えることが出来るように、ぐうたらな神様の言いなりになどならぬように、知恵の実を食べさせてやることにしたのだ。知恵の実を食べた人は、自分で考えることが出来るようになったが、同時に悪知恵も身に着けてしまった。惑星を、自分のものにしようと考え始めたのだ。こうなるともう、手が付けられない。人は自分の欲望に忠実に、好き放題に暴れ始めた。


 神様が介入しようとしても、もはや手遅れだった。人は神様が制御出来ないほどの、強欲な生物へと変貌していた。人は惑星の支配者となる為に、子孫を増やそうとしていた。惑星の上を、人で一杯にするつもりだったのだ。そして手当たり次第に、動物との間に、子供を作ろうとしたが、ほとんどが失敗に終わった。しかし猿との間にだけは、奇跡的に子供を作ることが出来た。こうして次第に惑星は、人と猿の間に生まれた生物が支配するようになった。その生物は、人と猿の間、「人間」と呼ばれるようになり、今でもどこかの惑星の上で、傍若無人に振る舞い続けているらしい。


おわり

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