パトロールの時間
浴室に足を踏み入れアヒルの整備主任に敬礼。
地球の雑菌を宇宙に持ち出さないように、隅々まで身体と頭を洗う。
湯船に腰を下ろし計器類をチェック。
パトロール艇の加速に耐えられるように、僕の身体を液体の緩衝材が包み込む。
全ての計器類のチェックを終えたら、アヒルの整備主任に親指を上に向けて合図を送る。
頭上に目を向けると、秘密基地の天井がウィィーンと左右に開いて行くのが見えた。
天井が開き切った事を確認して操縦桿を前に引き、パトロール艇を上昇させる。
機体が一定の高さまで上昇したらアクセルを踏む。
パトロール艇が宇宙に向けて飛んで行く。
地球の大気圏から宇宙空間に飛び出て僕は、三日月の上でギターを奏でるカウボーイに手を振る。
ギターから顔を上げたカウボーイのお兄ちゃんが、笑顔で手を振り替えしてくれた。
機首を太陽の方へ向ける。
地球と太陽の間には、天の川銀河だけでなくアンドロメダ星雲など他の銀河から来た沢山の観光客を乗せた観光船が多数停泊していて、青い宝石地球を鑑賞していた。
色々な形をした観光船の乗客が僕に手を振って来る。
だから僕はそんな彼らに敬礼を返す。
太陽の脇を通過してパトロールを続ける。
木星の裏側で観光旅行中の宇宙船が海賊に襲われていた。
現場に急行して海賊たちに向けてシャンプー光線を発射。
海賊たちは目を押さえて泣き叫びながらのたうち回る。
海賊たちを縛り上げていたら、銀河パトロール隊のパトロール船が到着。
銀河パトロール隊の隊員に海賊たちを引き渡す。
パトロールを続けようとしたら、無線機から基地司令官の命令が聞こえて来た。
「何時までお風呂に入っているの? 早くあがって寝なさい」
「了解」って返事を返し、機首を地球に向ける。
月の脇を通り過ぎるとき月の上を見たら、カウボーイのお兄ちゃんが帽子を顔の上に乗せてギターを抱えて寝ているのが見えた。
だから起こさないように小さな声で「おやすみ」って声をかける。
秘密基地に到着。
パトロール艇を所定の位置に着陸させ、湯船から出て洗い場に足を下ろす。
アヒルの整備主任に敬礼して僕は浴室から出た。