クエストっ☆
「クルクルクル~♪蝶の様に舞う我」
機嫌良さそうにパタマは踊りながら町の出口へ向かっていた。
その時1つの看板がパタマの目を引いた。
~君もSランク目指して爆走しよう!冒険者ギルド~
「爆走!良い響きじゃ!」
ためらいもなく冒険者ギルドの扉を開けるパタマ。
「たのも~!我はパタマ。汝らと共に爆走するものなり!」
「ぷっ、はっはっは!なんだあいつは!今時あんな看板みて入ろうとするやついるなんてな!」
「笑っちゃ悪いわよっ。相手はまだ子供じゃない!」
笑う大男の冒険者とそのメンバーと思われる魔法を使いそうな女性が話しているが、パタマは何も気にしていない。
「はいはーい、初心者さん?ギルドの登録でよいかしら?」
「お頼みもうす!」
「じゃこの水晶に手をかざして~。」
「ほい!」
一瞬ぴかっと光り、水晶の台座部分から1枚の銀製のプレートが出てきた。
「はい、これがあなたの冒険者カードよ。最初はFランクね。鎖をあげるからネックレスみたいに首にかけるといいわ。」
「ありがとうなのだ!ほなばいちゃ!」
「ちょっと待ちなさい!依頼も受けずにどこ行くの!カード作るだけじゃ意味ないわよ!とりあえず薬草採取とゴブリン退治の2つの依頼を受注してみなさい?期限は1週間。1週間を超えると違約金が発生するから気を付けて。質問は受け付けません。はい、行った行った!」
「おおぅ、なかなかのつわもの。イヤクキン、コワイ。。」
パタマは何度も違約金と唱えながらギルドを後にした。
~~~~~~~
「グサグサグサっ!蜂の様に刺す我!」
ジャンピング膝蹴りをしながら町の外へ出たパタマ。
当然どこに行けば良いかもわかっていない。
そこへ馬車を率いた行商人が通る。
「おや?君は・・パタマちゃん、だったかな?」
「いかにも!我はパタマなり!なぜそれを?」
「おぉ!やはりか!大盛激辛鍋を食べただろう?それを見て君のファンになったのさ。」
「ほぅ!おぬし、なかなか見る目があるな。」
「はは、ありがとう。で、どこに行くんだい?」
「行き先などない。天に導かれるまま進むのみ。」
「その破天荒っぷり、ますます気に入った!おや?その紙は・・ギルドの依頼書かな?なになに、薬草採取にゴブリン退治か。よし!おじさんがその場所まで連れてってあげるよ。」
「なんと!感謝する。」
「構わんよ。さ、乗りな!いくよ!」
~~~~~~~
「はい、到着!フォレストの森だよ。ここならその2つの依頼がこなせるはずだよ。申し訳ないけど、帰りは1人で帰ってね。頑張ってな!じゃあ、また!」
「ばいちゃ!」
~フォレストの森~
「でっかい森だ~。とりあえず前進あるのみ!」
何も考えず突き進むパタマ。
途中で綺麗な花をいくつか見つけたので採取しておく。
すると正面にゴブリンらしき姿が3体見えた。
もちろんパタマは薬草もゴブリンもどんなものか知らない。
「疑わしきはバクサツっ!!!」
短刀と石の摩擦で火をつけ、爆竹に点火し、それをゴブリンに投げる。
ッドゴォ―――ン!!
ゴブリン3体は訳が分からぬまま消し炭になった。
その消し炭をとりあえずカバンに入れる。
「どんどんいくぜ!!!」
更に森の奥へ進むと、洞窟が見えたのでとりあえず入り奥へ進む。
「洞窟は冒険感があって良いな~♪」
のんきなことをしゃべりながら奥へ到達すると人間らしきものが2人倒れていた。
近くに寄ると先ほどパタマを笑った大男と、イケメン風な男だった。
「だいじょうぶ?ほ~れ回復しろ~」
パタマは道具屋の店長からもらった回復薬を3人にふりかけた。
「くっ、俺は。。はっ!ナオン!ナオンはどこだっ!?」
イケメンが叫ぶ。
「まさか、奥へ連れていかれたか!さっき依頼を受けたお前がここにいるってことは・・まだそんなに時間は経っていないはず!行くぞリョウ!」
「っ分かった!君!ありがとう!後で礼はさせてもらう!」
2人の男は全速力で奥へ向かった。
パタマはなんだかおもしろそうなので付いていった。
読んでいただきありがとうございます!