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Prologue モテ期とは引き寄せるもの

「まーくん、あたしと付き合ってよ。ずっと昔から……、出会った時から、あたし、まーくんのことが好きだったんだよ?」


「先輩、そろそろ私たちはきちっとした関係になるべきですね。具体的には恋人同士になりましょう。前から実質的にそうだったのはもちろん私も分かっていますが、形は大切ですから」


「付き合ってあげる」


今日、誕生日の七月十日のこの日、俺は唐突に三人の美少女から告白された。

幼馴染の不動優理香ふどうゆりか、後輩の佐々岡凛ささおかりん、生徒会会長の城咲しろさきブレンナーの順で、まるで示し合わせたかのごとくだ。


 正直、一体全体どうなっているんだという気持ちしかない。

 俺は自分の芽岸正幸という名前を、幸運に恵まれそうだからなんて安直な理由で気に入っているが、まさにそのご利益を今日授かったとでもいうのだろうか?

 それとも、人生のうちに三度訪れると噂される“モテ期”が来たのだろうか?

 はたまた、季節遅れのエイプリルフールのネタを三人がやりたくなったのだろうか?

 もっと単純に偶然の重なり、とか?


 疑問と困惑は尽きない一方、全てについて俺は、

「いきなりなんで、少し時間をください」

 と、お茶を濁す答えを返した。


 我ながら男らしくないと思わないではないけれども、俺は今の関係、つまり優理香とは気の置けない幼馴染同士、佐々岡とは水泳部の元先輩後輩、城咲会長とは……、あの人とは何とも言えないが、とりあえず現状の状態を誰とも崩したくなかった。

 もちろん、あの三人は美少女属性に加え、優理香は抜群のプロポーション、佐々岡はボーイッシュな凛々しさ、会長は妖しいカリスマというそれぞれ独自のセールスポイントを持っており、一高校生男児として、非常にくるものはある。それにいったんは保留にしたとはいえ、いずれはそれなりの返事をしなくてはいけないだろう。


 さて、どうすれば丸くおさまるのか。

 答えはなく、万事塞翁が馬の精神では先々困ることになるだろうから、ここは備えあれば患いなしの心持ちでいき、少なくとも俺を好きになってくれた不動優理香、佐々岡凛、城咲ブレンナーの三人をがっかりさせないようにはしたい。


 ……が、しかし、実際問題、大団円ルート、もといハーレムエンドはあるのか?

いや、そんな贅沢なことは言わずとも、五体無事で俺は高校生活を終えることが出来るのか?

 何せあの三人、心の中では――


“あいつ優柔不断なところあるけど、家が金持ちでなかなかスペックも高いのは評価できるかな。ここらで粉かけて、夢の専業主婦コースへの第一歩とするのもありかも。あんな奴、別に全然好きじゃないけど”


“もし万が一にも、そんなことはありえないとは思いますが、付き合ってくれないとなったら一緒に死ぬしかない。だから早く告白にイエスの一言を。じゃないと刺し殺すことになりますよ、先輩”


“お母様は私にそろそろ恋を知れとおっしゃった。だから恋なるものを経験しないと。大丈夫ですよ、お母様、ブレンナーは必ず言いつけを守ります。芽岸君には十分優しく、そして好意的にしてきました。私には恋愛感はありませんが、きっと彼はうんと言ってくれるでしょう”


 ――とか、思ってそうだからな。

 何というか、ツンデレとヤンデレとクーデレから告白され、俺の高校生活は実に楽しくなりそうだな!


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