◇盗み聞き◇
今回はかなり短いです。しかも急展開。
「……誰だい」
力なく眠る少女を抱えたエルフが静かに呟く。
「……すみません、聞いてしまいました」
浴室の戸の手前――
そこにいるのは、水色の綺麗な髪をした女性だった。
「その声は――クラリスか」
「はい」
「ふむ」
エルフが天井に向かって息を吐く。
「盗み聞きはよくないな」
「……申し訳ありません」
洗面所にいる女性が頭を下げる。
「どのあたりから聞いていたんだ?」
「……全てです」
「そうか」
エルフが少女の頭を撫でる。
「クラリス、君はどう思う? もう、ずっと前から理解していたんじゃないか」
「私はユーノさんと一緒にいたいと思います。今までも、これからも」
「……つまり、私と殆ど同意見ということだな」
「ええ。恐らく」
洗面台の前にある椅子に、水色の髪をした女性が腰かける。
「この子が目を覚まさないといけないこと、わかってくれるかい?」
「……」
「死んでしまっては意味がないんだ」
「勿論分かっていますけど……」
「早く物語を終わらせないと、いつまで経っても目を覚まさない。またループしてしまう。無理やり捻じ曲げるしかない」
「……無理やり捻じ曲げる?」
「ああ。私たちにできることは限られているからな」
何かに気が付いたのか、水色髪の女性が椅子から立ち上がって浴室の戸を開ける。
「心配しなくてもいい。この子が消えることはないからな」
「……そ、そうでしょうか」
「大丈夫だ。……最後は眠ってもらうだけだから」
「……」
水色髪の女性が黙り込む。
静かに戸を閉めて、再び椅子に座った。
「安心してくれ。傷つけはしないから」
「そうですか……」
「クラリス、君はもう寝な」
「はい……。ユーノさんをお願いします。ユリエルさん」
「……ああ、任せておくれ」
そうして、水色髪の女性は脱衣所から出て行った。
「……行ったか」
ふぅっと息を吐くエルフの女性。
静かに眠る少女の顔を優しく撫でる。
「そろそろか……。明美ちゃん。自分を投影しすぎてはいけないよ」
そう言って、エルフが少女の体を揺らした。
次最終章です。(早い)
次話もよろしくお願いいたします!




