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◇机上人形戦争 ~擬音戦線(結)~◇

※一人称になります。(主人公視点)

 ……この人たちは何をしているんだろう。

 前にもこういうことしていなかったっけ。

 いや、絶対やってた。


 確か『私が攻撃役いない』って悩んでいる時にやっていた遊びだよね。

 そもそもどういう設定なのこれ。

 って、なんで私が魔王になったの?


「オセチカッター! スパアアアァァン!!」

「いたっ!」


 い、いたた……。

 殆どナズチの攻撃みたいなものだ。

 あとその効果音は一体何の音なの。


「やはり、体力が桁違いですね……!」


 クラリスが、人形をテクテクと歩かせながらそう言った。 

 そもそもこの世界観がよく分からない。

 私はデ〇タム―アみたいな役割なのか?

 それともバラ〇ス?

 まさか〇ドー?

 〇―マ?


「(ユーノさん。攻撃をしてください!)」


 手を合わせて私にお願いするクラリス。

 うーん。攻撃と言われてもなぁ……。


「んー……」


 足を使うのもなんだし、息を吹くか。


「ふー!」

「「「きゃああああああっ!!」」」


 な、なにその悲鳴!

 クラリス、ナズチ、ナズミが悲鳴を上げる。


「や、やはり攻撃もかなり強いですね……!」


 オーバーリアクションだって!

 私、ふぅっと息を吐いただけだよね!?


「やはり、3人で連携するしかないようですね!」


 なんだ、人形3つが近寄って……。


「「「合体!」」」


 が、合体?

 3つの人形をナズミが捏ね合わせ、1つの大きな人形へと形を変える。

 ……鎧を着て剣を持った――騎士?


「【聖騎士ナナク】、いざ参ります!」


 ナナクって、ナズチ、ナズミ、クラリスの頭文字をとったのか。

 それに聖騎士だったなんて。


「とおおおぉ! チャキイイイィィィン!」


 人形の剣が私のおでこに当たる。


「いてっ!」


 だからその効果音は何なの!


「ふー! ふー!」


 私は激しく息を吹く。

 酸欠になりそうだ。頭痛い。


「そんな攻撃はもうくらいません!」


 え、何そのご都合てきなアレ。


「いきましょう! 皆さん!」

「「はい!」」


 クラリスの掛け声を起点に、3人が人形を一緒に持つ。


「魔王ユノー、覚悟してください!」


 な、なにが始まるんだ。


「伝説技能――()()()()!」

「「ボオオオオォォン!!」」


 クラリス、ナズチ、ナズミが、人形を私の顔面に目掛けて放り投げる。


「ちょ――」


 ――そして、その人形は私の顔面に直撃した。

 その衝撃で椅子と共に後ろに倒れた私。

 床に後頭部を打ち付けた。


「う、うぅ……」


 視界がボヤけてきた。


「だ、大丈夫ですか!?」

「わああっ! ユーノさぁぁん!」


 クラリスとナズチとドタドタと駆け寄ってくる。

 くぅ、朝から森を散歩して帰ってきただけなのにこんなことになるなんて……。

 だ、ダメだ。段々意識が朦朧として――


「……さん! しっかり……てください」


 クラリス、ごめん。

 せっかく美味しい木の実を自力でとってきたのに……。

 こんな意味不明な事でくたばるなんて……。


 意識が朦朧とする中、私は1つ、あることを考えた



 もう色々、夢であってほしい――と。







『ホーホー』


 ツバネの鳴き声がした。

 ツバネとは、夜に鳴く鳥のことだ。

 この森にのみ生息する希少な鳥種であるが、肉食という一面も持ち合わせているので、下手に手を出すと食べられる危険性がある。

 そんな無駄な豆知識は置いといて、もう夜になったのか。


「うぅ……」


 私は布団の上に運ばれていたらしい。

 お昼の件は――どうなったんだろうか。


「ようやくお目覚めですね。そろそろご飯が出来上がりますよ。ユーノさん」


 ナズチがキッチンに立っていた。

 私のすぐ傍にはクラリスが座っている。

 ナズミは――私の隣でぐっすりと眠っているらしい。


「あれ……私、確か床に頭をぶつけて――」

「……夢を見ていたのではありませんか?」


 クラリスがふふっと笑う。

 そういえば頭の痛みもないしな……。


「ユーノさん、()()()()()()()()()ずぅっと寝ておられましたよ」

「……そっか」


 なんだ、アレは夢だったのか。

 それならよかった……。

 あんなイミフな事が現実だったらどうしようかと思った。

 それにせよ、私ずっと寝ていたんだな。

 最近はちょっと頑張り過ぎていたか。

 カザネの件もあったし。


「できましたよ。みんなで食べましょう!」


 出来上がった料理を次々とテーブルに並べるナズチ。

 みんな、何もなかったような顔しているし……あれは本当に夢だったんだな。


「食べましょう? ユーノさん、今日は私が食べさせてあげます」


 クラリスが私を抱える。


「ナズミちゃん、起きてください。ご飯です、食べましょう」


 眠たそうに目を擦ってナズミが目を覚ます。


「……はい」


 そうして、私たちはテーブルを囲むように座った。


「「いただきます!」」


 みんなで一斉にそう言って、夕食を摂り始めた。


「ふーふー、ユーノさん、あーんしてください、あーん」


 私は口を大きく開けた。

 とろみがかったスープだ。

 コーンスープのような甘い香りがする。


「はいっ」


 クラリスが私の唇にスプーンを当てて液体を流し込む。


「――あちっ」


 私は思わず椅子から立ち上がった。

 その拍子に、パーカーのポケットから何かが出てきた。


「あれ……これ私が夢の中で取った木の実じゃ――」


 どういうことだ。

 夢の中のものが現実に残るわけがないよな。

 ……ということは――


「3人とも。ちょっとお話があるんですけどよろしいですかね」


 ナズミは首を傾げていたが、クラリスとナズチは苦笑いして私を見ていた。


「ど、どうしたのですユーノさん。何かありましたか?」


 クラリスの顔からにじみ出る冷や汗。

 それが全てを物語っている。


「ナズミ。私、今日どうしてた?」


 ナズチとクラリスの2人が、ナズミにウィンクをしている。

 アイコンタクト……なのか。


「……? ユーノ、今日は森でお散歩してから帰ってきて、色々あって気を失」

「――ナズミちゃん!」


 ナズチがナズミの口を抑える。


「なるほど。私の夢は現実だったわけだ。クラリスくん?」


 私はクラリスをじっと見つめた。


「…………そ、そうみたいですね!」


 「そうみたいですね!」とは。


「後でじっくり話をしようか。2人とも」

「えぇ、何で私たちだけなんですかぁ!」

「ナズミは正直者だから許す」

「えー!」


 ナズチが口を大きく開けて口角を下げた。


「とまぁ、それは一先ずね。まずはご飯を食べないと。冷める前にね」


 私は椅子に座った。


「そうですね。一番美味しい時に食べないと……ですからね!」


 クラリスが安堵のため息を吐いて席に座る。


「改めまして、いただきます!」


 私は大きめの声で挨拶をして、夕食を再び食べ始めた。




 ――食後このあとめちゃくちゃ説教した。

次話もよろしくお願いいたします!

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