表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/68

◇とりあえず、解決◇

かなり短めです。

 ……結局、迷いに迷って町に帰ったのは夕方頃になった。

 快星の草原のアンデッド量、かなり減っていた。

 大体が死霊の森に戻って行ったらしい。

 あの統率能力の恐ろしさがよく分かる。

 何の策もなかったら、逆にミイラにされていた。


「お、おかえりなさい!」


 突然受付から飛び出してきた受付さん。


「大丈夫ですか、お怪我はありませんか!? なんか火傷の数増えていません!? ハッ――なんですかその真っ赤な服は!? あれ、それってカザネさんの冒険者証明手帳ですよね!! 一体どうしたんですか!?」


 私の体を大袈裟に揺さぶる。


「う、受付さん! 落ち着いてください」


 クラリスが受付さんの体をガッチリホールドする。


「お部屋でゆっくりお話ししますから。一回深呼吸をしましょう」

「はぁ、ふぅ――」


 受付さんが深呼吸をする。


「取り乱してしまい、すみませんでした」


 深呼吸ってすごい。

 1、2回やるだけでここまで落ち着けるものなのか。


 それから私たちは、受付さんの部屋へと歩いて行った。





「なるほど。やはり、カザネさんが犯人だったのですね……」


 私は事実を全て受付さんに伝えた。


「それにしても、世界を征服なんて……このご時世という感じはありますね」


 その通り。

 魔族長はいても魔王なんていないのに、よく言うよって話。

 悪い心を持った魔物や魔族以外は皆平和に暮らしている。

 正直、世界を手に収めるなんて古いのだ。


「そうなんですよね。数百年も前に戦争は終わったというのに」


 クラリスと受付さんがうんうんと2回頷く。

 あれ……ナズチ、ナズミ?

 まさか知らないのか?

 まぁ、2人とも平和主義だからいいか。


「では、私は情報屋さんに色々と伝えてきますね! すぐに記事を作ってもらわなければ! すぐに戻ってきますね!」


 受付さんが立ち上がり、カザネの手帳と服を持って行った。


「戻ってくるまでの間にご飯を食べよう。さすがにお腹空いたよ」


 ――ぐるるるる。


 誰かのお腹が鳴る。


「そ、そうですね。そうしましょう!」


 クラリスが顔をほんのり赤くして、部屋からササッと出て行った。

 ……クラリスだな。


「いきましょう。私もお腹すきました!」


 ナズチが小走りでクラリスを追いかける。

 部屋に残った私とナズミは顔を見交わし、吹き出すように笑った。


「行きましょう、ユーノ」

「うん」


 そうして、私たちも続けて部屋を出た。



 ――それから少し経って、昼食兼夕食を摂っている間に受付さんが帰ってきた。


「信じてもらえました! これで酒場の評判も戻ると思います! ありがとうございました!」


 なんて綺麗なお辞儀だ。

 腰から90度ピッタリで、しかも丁寧に手を重ねて。


「ああそうです。解決のお祝いに今日は宴を開きましょう! ここではなんですから、私の部屋で!」


 それは宴というよりも打ち上げだろうと言いたい。

 いや……、ただの飲み会なのでは?


 ――その後、町でお酒や夜食を買い漁り、受付さんの部屋へと戻ってきた。


 そして、私たちの宴が始まりを迎えたのだった――

次話もよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ