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中二ポエム  作者: 九四山井耐排夢
うぇっひゃひゃひゃひゃひゃァ! シャレだよシャレぇ!
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Folklore) 神社でお告げは聞こえない

夏祭りも終わりかけ

境内に並ぶ無数の出店は

早くも手仕舞いをはじめ

残された俺はただ一人

薄暗い境内の中で

一人腰を下ろしている



キチガイと診断されたとき

意地でも神社を無視してた

「シネ」と言ってた数学教師が

転校間際にこう言った

「人生、回り道のほうが学ぶべきことは多い」



オレの求める幸せはただ

普通の人生を送り

普通に進学卒業しては

ソコソコ名の知れた企業に勤め

食い扶持自分で稼ぐことだった

今じゃその夢叶うことなく

学生時代に患った

病気に今も振り回される


8年10年過ぎていくうちに

同級生には追い越され

一方のオレは日中の睡魔

鉛のような体の重さに

今日も今日とて一喜一憂



それでも主治医は

「病気の治療を最優先に」と

言われ続けて何年が経つ?

いつまで待てばいいのだろう



祭囃子が遠ざかり

神社の境内静まり返り

脇道に捨てられた

串に紙コップにペットボトル

本殿を背にじっと眺める



スピリチュアルを信じてる

わけでもないが

いつの間にやら

神社に通うようになっている

神社に寄ってはお守りと

おみくじを必ず買っている

自分の中で自力救済の

困難さに気づかされたのか



神社に通ったところで

託宣とやらお告げやら

何一つ信じているわけではないが

お神酒を買ってお供えをして

少しでも何か「気づき」を得ようと

下心と共に今日も往く



「狂人日記」のあの人は

私小説でもありながら

自分のできる最善を

仕事として生きていた

オレはまだ

そのスタートラインにすら立てぬ



「自分を見つけてほしい」とばかりに

神社を見つけては拝めてる。

いつになったらそれが無駄だと

気づけるときがくるだろか?



今日も今日とて神社へ向かう

もはや最後の神頼み

そのくせ心のどこかでは

神の存在信じられずに

常に疑う自分がいる



そんな時

おみくじの裏に何げなく

目を通しては考える

「常に神に感謝の気持ちを」

「たとえ信じることはなくとも

 礼儀はいずれ本物に

 習慣はやがて本物に」



目には見えないスピリチュアル

宗教という曖昧模糊を

突き詰めようと親鸞の

弟子が残した歎異抄

表紙をなぞり

そこにまた

一般人と何ら変わらぬ

聖職者の本音というやつを

等身大の悩みの吐露を

たった一人の友として



神社でお告げは聞こえない

泥沼のようなスピリチュアルに

今日も今日とて振り回されて

宗教勧誘に言われるがまま

仏壇買ってるおばちゃんと

オレとはいったいどう違う?


神社でお告げは聞こえない

結局最後は神頼み

生き抜くためには何かしら

縋りつけるものが欲しくて


それでも

今でも

神社でお告げは聞こえない

祭囃子が消えた今でも

神社の境内に座ったままで

立ち上がれないオレがいる

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