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不信心
教会に唾吐き
拾った玉砂利を鳥居に投げる
蹴とばした地蔵に呟いて曰く
この世に神あれ
天照らす神よ
ご照覧あれ
不届きな
一人の曲がった信者を
祖父は猟銃を咥えて
祖母は祝詞を神棚に捧げ
孫は家族の脛をかじって
傲慢に理想を弄ぶ
小運を神に感謝して
苔に躓き神を罵り
引き裂かれる自己の矮小な
悲しき弱者のルサンチマン
神よあれ
ゆえに天罰が下る
神よあれ
ゆえに救われる
転倒しただけの願掛け
絵馬はハルシオン
ロザリオは向精神薬
現代のカルマ
それでも生きていく
人造人間
サイボーグ
薬で生かされる奴は
きっとそれらでできている
生きるため
「自然」に不自然な奴ら
注連縄さえも踏み躙り
掻き破る皮膚とついた血と
神を求めるがゆえに学んだ
呪いとまじないとを掲げ
神は在るとただ祈ってる
不信心ゆえに罰あれと
我らに神あれ




