Case) だれもかれもがきつねさん
誰もかれもが
きつねさん
昨今萌えキャラと化す
おいなりさまのような
純粋無垢でなく
立場や権威に縋っては
威張って怒鳴るきつねさん
目上の人にはヘコヘコと
格下のものには胸を張り
威張る父親
家長制度を
復活させようと今日もDV
子供の権威の由来と言えば
「己の拳だけだ」と言えば
ソコソコかっこいいのだが
勉強・スポーツ・腕力と
加えて親のステイタス
社会的地位に依存し
子供の頃から同級生に
マウンティングを試みる
小学校という名のウサギ小屋
最初に学ぶはマウンティング
高校受験が転換期
学歴というステイタスが
そのまま社会的ステイタスに
繋がるとなって目を変える
きょうだい・親のならまだかわいいが
恋人のまで自慢するのは
さすがに呆れを通り越す
やってきました
社会人
昔はみんな就職できたが
今度は小さなパイを巡って
椅子取りゲームが始まって
最初に蹴りだされるのはニート
無職・フリーターと続いてく
この頃合コン開くとき
まず初めには学校の名を
聞き出すことから始まる模様
無事正社員になれたなら
たとえ相手が先輩だろうと
上司だろうとお構いなしに
学歴のブランドで、勝負
それが無理ならパートや派遣
契約社員という地位を
見下し嘲笑してみよう
そんな新成人にはもちろん
老人どもも黙っていない
誕生日には落ち込むくせに
歳の数すら権威に入れる
自分より学があるやつを
呼び出し叱責してみたり
はたまた面接でいびってみたり
やろうと思えば楽しくやれる
だれもかれもが
きつねさん
楽しくやろうよ
弱いものいじめ
劣った相手を見下して
蹴とばし踏んづけストレス解消
ボケ老人が回顧して曰く
「昔はよかった
戦時中
嫌いな奴をいくら殴っても
『非国民』とさえレッテルを張れば
自分はいじめの主犯どころか
愛国者にすらなれたのに
お上の権威が失墜するとは
何たるザマか
情けない」
だれもかれもが
きつねさん
迫害されたらこぞって神へ
祈っていわゆる『ルサンチマン』
「選ばれるのは自分たち
神は自分の側にある
正義は自分の側にある」
この批判
やった男は西洋人だが
つい最近できたばかりの
新興宗教ですらこの
伝統的な理屈をもとに
マウンティングをやってるってさ
楽しくやろうよ
弱いものいじめ
楽しくやろうよ
選民思想
楽しくやろうよ
こうでもしないと
やってられない世の中だもの
「やっぱり一番怖いのは
人間だね」とおいなりさん
そろって体を震わせる