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虚ろな善
戦争を
「被害者」として生きてきた
そんな人らも亡くなって
いずれはどんな形であれ
戦争を知らぬ人たちが
戦争について語り出す
そこに魂 核となる
事実はあるか?
確固たる理由もなく
「悪いことは悪い」じゃ
話にならんぜ
念仏みたいに唱えてりゃ
そりゃ記憶には残るだろうよ
でもそうやって空っぽの連中を
既に産み出してきただろ
「平和に賛成しないもの
戦争連想させるもの
みんなみんな サディスト」じゃ
平和の名を借りたファシズムだろ
何でもかんでも劇場で
感情だけの 思考抜き
キャッチコピーを念仏みたく
刷り込むテレビは確かに
SFの中の脅威そのもの
虚ろな器
砂上の楼閣
「南無阿弥陀仏」の
「こころ」が消えて
戦争を知らぬ知識人
彼らの浅薄に比べりゃ
戦場を知る軍人の
心構えを踏まえた希求のが
重いってのは道理だね
銃後で戦争すべしとか
旗振るだけの奴らも
悲惨さばかり感情で語る
刺々しい平和の声も
結局同じもんなのさ