遅れてきた少年
未だに離れられないのが
戦後日本という呪縛
ずっとずっと掻き立てられる
あるのは焦燥と失望
近代日本のすべての歪が
あたかもそこにあるかのように
考えようとする自分
生まれたまえの話なら
責任について押し付けられる
絶好の相手だろうしな
我ら遅れてきた青年
今の不条理を嘆き
断片的な過去を見て
同じく断片的な今を
無意識に否定するものなり
情報増えたといえども
解釈バイアス先入観
不完全なる現実を
積み上げられずに立ち尽くす
「今の日本を救うのは
司令官でも大臣でもなく
死すら厭わぬ忠誠を
見せつけられる諸君若者」
特攻の意義と戦略と
あるいは成功率さえも
予見しえたろう将軍も
戦局を打開すべきは「上」と
言わなかったのは公人ゆえか
悼む心と奮起の声と
終戦によってなあなあで
「死人に口なし」とした人
情報をフィルタリングして
自分の都合ありきで推測
楽観論で亡国へ
天皇の威光「タテマエ」と
知って利用した者や
本気で信じていた者と
信じずも声を上げられないもの
すべての過去を賛歌できず
評価定まらぬ「今」は否定し
己の印象のみに賭け
憑りつく権威を探してる
歪な自分を知っている
その歪さを学ぼうと
過去へ過去へと埋もれるうちに
帰れなくなった一人の男
見極めるまではまだ帰れぬと
「帰れない」から目を逸らし