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たった一人の歴史改竄者
記憶のなかの一つ一つ
イベントを引き出してきて
今の記憶と能力をもって
理想の記憶へ塗り替える
こびりつくのはヤな記憶
はたまた在った 非日常
淘汰を受けた日常こそを
改変できれば 事実上
擬似的タイムリープってね
改変された過去の記憶
死守さえできれば 幻の
「ありえないはずの」歴史となって
広がる視界は 二重の展望
結局自分とは 積み重ね
改変前と後とにて
断絶したり繋げたり
いい加減な脳の 一人遊び
自発的なる改竄は
必死に拒もうとするのに
自分を惨めにする改変は
進んで作り出そうとする
裏切り者は脳ってね
書き換えてみて 保持をして
つくづく思うは タイムリープの
なんと疲れることだろう
やり直したいと思うより
「死にたい」と思う方が楽