Trauma) 死後の世界
死にたいと思うことはいつも
けれど恐怖が邪魔をする
行きつく先のない無に対する
想像力がオレを襲う
時にぼんやり考える
今まで暮らした自分の人生
選ばなかった選択肢
そのすべてを総決算しなけりゃ
「その先」すらも進めないとか
あたかも漫画のタイムリープ
より真実味を帯びた地獄は
まさしく絶望の果てにある
だとしたらオレはあと何度
心療内科でキチガイと
診断されなきゃならなくなるのか
小説の中の主人公
タイムリープにふさわしい
生き方や乗り越える壁が
オレの人生にゃ何もない
周回すればするほどに
荒んでいくはず
オレのアタマは
それとも人生やり直しにて
イカれたアタマもリセットで
少しはマシな「やり直し」
待っているか?と思っても
挫折と絶望
無気力は
ココロになおも刻まれたまま
あるいは伝統的なヤツ
輪廻転生
楽しくもない人生を
再び繰り返すってやつなのか
人間の決めた時代や国や
そんなくびきをすっ飛ばし
現代っ子が記憶をなくして
室町時代に放り込まれたり
罰としての輪廻すら
ポジティブに考えていた
ご先祖様らがうらやましい
あるいは肉体
滅びても
意識はずっと留まるか?
死んでもなおも
自由はなくて
ただただ見守り続けるのか
三十年を過ぎてなお
此岸に足止めされ続け
「死後はしらん」と
賢明に
言った孔子は
今どこに
「やり直したい」という思い
「社会」に顔向けできないという
今の羞恥の最後のあがき
仮に死んでみて
生まれ変わってなおも
二の足踏むようなザマならば
バカは死んでも治らぬと
自嘲するのが関の山
死後の世界は恐ろしや
死後の己の在り方の
保証無き事、恐ろしや
生と死
相反する二つ
どちらも何も保証もなくて
「そこに放り込まれる」だけなのだと
人間は
衝動こそあれ
行動も
意志すら後付けにすぎぬ
ならばなおさら感じるものは
己を生み出す何者かに向け
怒りと恐怖とやるせなさ
諸行無常はこの世もあの世も
人間の影となり付き纏う