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わきまえろ
奴隷になれないルサンチマン
負け組の開き直りと化して
聞こえのいい言葉ゆえ
氾濫しててもお構いなしさ
社会に上手く適応し
波に乗れればそれなりの暮らし
しかし脱落したやつは
「フツウ」のハードル仰ぎ見る
適応していたあの頃は
抱くことない疑問らに
今や埋め尽くされている
「何をしないといけないか」
途端に広く見える世界
見えない流れを追い出され
立ち尽くす肩にずっしりと
「社会」が重たい手を載せる
何を買っても喜びはなく
カートに入れるは虚無だろか
まともな薬もないままに
虚しく上げる ボリュームを
ひどく疲れる 人のなか
見慣れたスーパーにひとり
腹の重さと全身の軋み
よちよちあるきで踏み出して
やり遂げたって思うとき
昨日よかましと思うとき
オヤジの声が聞こえるのさ
「引き時をいつもわきまえろ」
引き時をいつも弁えろ
確かにそいつは正しいな
耐えて絶えて振り向いて
虚無が広がることを知る




