557/769
口上という芸術
歯切れ良い
あの口上も
今じゃ映画や
落語の中さ
「がまの油」の口上の
立て板に水のあのリズム
言葉のセンスと威勢とが
調和のとれた見事な芸術
まさに口語の文学さ
だからこそだかなんなのか
未だにモノにはできぬまま
シェイクスピアのセリフ群
西洋は未だ遥かに遠く
横たわるのは文化の違い
それでも古典ともなれば
十分「異文化」と言えるけど
無論西洋人が皆
シェイクスピアの言い回しにて
暮らしてるはずもないけれど
どうにも馴染めぬ大仰さ
また立ちはだかる文化の壁に
あの口上を真似たいと
悩んで落語を聞いてみりゃ
見事なシャレがまた一つ
「覚えるために随分と
金を払ったものですが」
そう易々とは学べない
それが芸ってやつですナ




